2009/04/25(土)23:13
CRC 【その1:薬ができるまで】
私の仕事の一つ、「治験コーディネーター」。
英語でClinical Research Coordinatorといい、略してCRCといいます。
どんな仕事?と聞かれると「医薬品の開発」と答えますが、たいてい研究職と思われるようです。
まだまだ一般的に知られていない仕事のため、説明に時間がかかります。
というのも、まずは「治験とは何ぞや?」「薬の開発とはどんなもの?」という疑問に答えていく必要があるからです。
興味の無い人にとってはつまらない話かな・・・と思いながらも説明すると、
意外にも「へ~!そんな仕事があるんだ!」とか「もっと詳しく教えて」と言ってくださる方が多いです。
これまで、このブログではあえてこの仕事については触れませんでした。
理由は色々とありますが・・・それは後ほど。
けれど、知識として、情報として持っておくのは全く損ではありませんし、
むしろもっと世に知られるべき仕事なのかなとも感じるので、文章として残してみようと思いました。
まず、今回はその1として「薬ができるまで」をご紹介します。
1.薬の素(もと)を見つける。
研究開発職が、この仕事です。
ものすごい数の化合物の中から見つけ出す・たまたま何かの拍子に効果が発見される・・・など。
2.動物実験を行う。
安全性を確かめます(危険性を見る、という表現の方が正しい気はしますが)。
3.臨床試験を行う。
これが、治験というものです。
実際に患者さんに服用して頂き、その効果や安全性を確かめる試験です。
「人体実験!?」と言う人もいらっしゃいますが・・・それは、ナンセンス。
人体実験は、安全性も何も保証されていないものを開発する中で、被験者を説明もなく無理に実験台にしてしまうもの。
安全性がある程度確認されているものだけが治験を行うことを許可され(“治験審査委員会”という治験実施の可否を問う委員会も設置されています)、
被験者さんには必ず説明を行い、同意を得ないと実施できません。
もちろん、途中辞退の権利もあります。
そして、治験には3段階あります。
第1相:健康な成人男性の方を対象に、薬の体内での動きを確かめる。
第2相:少数の患者さんを対象に、効果を確かめ既存の薬との比較を行う。
第3相:多数の患者さんを対象に長期間(1年くらい)服用して頂き、その安全性と効果を見る。
4.これまでのデータを厚生労働省へ提出する。
5.承認が下りたら、製造・販売される。
以上の経過を辿りますが、1つの薬が世に出るまでには、多大な時間と費用がかかるんです。
その中でも、治験は科学的な信憑性と同時に人権やプライバシーについても絡んでくるので、
最も大変な段階です。
では、この治験をよりスムーズに行うためにはどうするか?
・・・ここからが、CRCの出番です。
次回、【その2:CRCという仕事とは】をご紹介しますね。
(もういいって?・・・ま、ご興味がありましたら、読んでください♪)