私とあなた・私とそれ
前回ご紹介した、日野原重明先生の本を読んでいます。言葉の一つ一つが丁寧で、文章からも優しさが伝わってくるようです。まだまだ読み始めですが、とても印象的だった文章があったので、ご紹介します。* * * * * * * * * *20世紀最高の哲学者とされたマルティン・ブーバーから教えられたことがあります。彼が著書『我と汝』のなかで述べていることで、要約すると「人は二つの世界に住んでいる。一つは私とあなた、もう一つは私とそれ」。医師が研究を目的に患者を見る眼は科学者としての冷たい眼。もう一方は病む患者に対して慈しみの心で接する我。一つは悪魔の自己。一つは慈しみの情で病人に接する自己。人間は、二つの自己をもち、その葛藤から逃れられない運命にあります。* * * * * * * * * *「私とそれ」という眼を持ってしまうことを、情けなく思っていました。この文章を読み、「他の人にも、そんな葛藤があるんだ…」と、ちょっと心が軽くなりました