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夢の先々(ゆめのさきざき)

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2024.04.28
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『本山よろず屋本舗』​で紹介されていた山納銀之輔著『天を味方につける生き方』から一部抜粋

p82~

 3月20日 食べ物の話 Part 1

 村から街に戻ってきて、日本からのお土産のカップラーメンをみんなで食べた。うんまくて懐かしくて嬉しかった。これ考えた人って天才!

 そして同時に、俺たちがどれだけ研ぎ澄まされていたかが良くわかった。

 食べた後、突然ぼんやりして体がだるくなり、全員が眠くなった。

 たぶん化学調味料のせい。原材料名に書いてある(アミノ酸等)。

 俺たちは自然界にある恵みだけを食べて45日間暮らしてきた。マサイ族ほどでは無いけど、身体が研ぎ澄まされて、五感だけじゃなく第六感までキレキレだった。

 化学調味料がこんなにぼんやりするとは思わなかった。

 日本人は、慣れすぎて、ほとんどの人がぼんやりしている。朝から晩まで化学調味料を食べてるから、ぼんやりしてることにすら気づかない。じゃなかったら、こんなに洗脳されるはずがない。外食だけじゃなく、コンビニやスーパーに食べ物を買いに行っても、化学調味料がほとんど入っている。化学調味料がなくても、食材がよかったらとても美味しいものがたくさんあるのに、アミノ酸等が入っていないものを探す方が大変な国だ。世界的にも珍しい国。

 もし俺が総理大臣だったら一気に廃止するけどな。

 俺んちでは、母ちゃんが昔から健康を気にしていた。マクロビなんて言葉が日本に無い頃から、自然食を主食にしてたから、子どもの頃から化学調味料がない家庭で育った。そのおかげで絶対味覚を持てていて、料理研究家になれたから今は感謝しかない。

 化学調味料は、舌で感じるうま味がぼんやりするだけじゃなく、身体も脳もぼんやりする。

 本当にうまいものは、身体が喜ぶ。身体が喜ぶと、心が喜ぶ。

 人間が幸せになるために必要なもの。

 ≪食欲≫ ≪性欲≫ ≪睡眠欲≫

 それを満たすために必要なもの。

 ≪衣≫ ≪食≫ ≪住≫

 どっちにも≪食≫が入っている。食が満たされたら人は幸せの3分の1が満たされる。

 とっても大切なことだ。俺はこれからもずっと、人々に本当の豊かさを伝えるために、世界中の食材と料理文化を研究し続ける。

 タンザニアの田舎には添加物がない。一体どう添加したらいいかわかんない。そもそも添加物って、長持ちさせるため?

 タンザニアのように、その日その日に食べられるものを食べてる人たちは、いつでも食べたい時に新鮮なものが食べられる。

 日本も本来ならいつでも新鮮なものが食べたい時に食べられる。だって四季がある。山も川も海もある。だから本当は、旬のものを食べるだけで生きていける。旬のものとは、その季節に一番美味しいものだ。だから美味しいものしか食べない。美味しいと感じるものを食べることが、健康に生きるということ。

 日本では夏でも冬野菜を食べる。冬でも夏野菜を食べる。本来なら夏に夏野菜や夏の果物を食べると体を冷やして、冬に冬野菜を食べると体を温める。そして身体を休めることができる。それはDNAに深く刻み込まれているから、人類は長生きになっていった。今は一年中なんでも食べられるようになったけど、そのせいで体内温度計が壊れてるからみんな疲れてるし、病気にもなる。

 マサイ族は1日に何キロも歩く。3キロ離れた水汲み場から20リットルの水を持ち帰る。

 なのに疲れてない。そして、病院も薬局もないのに、みんな元気だ。

 マサイの食生活は、見方によれば日本人よりも質素な食生活かも知れない。でも、その日に採れた旬のものを一度も冷蔵庫に入れずに食べるから、大地の生命エネルギーが瞬時に入る。

 結局何が言いたいかというと、日本で習うビタミンとかミネラルとかの栄養学は、必要ない知識とまでは言わないが、ままごとレベルだっていうこと。そんな知識よりも大事なことは、食べたもののエネルギーが、体を動かして、体の部品を作っているということだ。

 だから本当の意味で、≪良い食べ物≫を食べたら、病気にもかからないし、怪我をしてもすぐ治る。

 タンザニアの大地で、自然の中にあるものだけを食べる生活を2週間したら、目も耳も鼻も良くなる。五感が優れる。暗闇でも見えるし、遠くの動物の足音が聞こえる。遠くの匂いを嗅ぎ分ける。それは一緒に行った全員が体験した。

 1ヶ月続けると、第六感も研ぎ澄まされる。そして、その第六感は日本に戻っても維持できるだろう。

 身体が進化したわけではなく、本来の身体能力を取り戻せたってことだ。

 日本の食生活は、食べ物を選べる。だからこそ、選び方を間違ってはいけない。

 本当の意味で≪良い食べ物≫を選んだら、この国はもっと健康になると思う。病院に行く人も9割くらい減るだろう。

 そして、身体の余裕ができたら、心の余裕もできて、ずっと豊かに暮らせるだろう。死ぬ日まで。


 3月24日 食べ物の話 Part 2

 45日間の滞在中に、俺とトッシィ以外はみんな一度は街に出た。

 みんないろんなものを食べてきたけど、具合が悪くなって帰ってきた。頭と体がバラバラになってることに気づいて帰って来る。頭で考えてることと、体が感じてることがこんなにも違うんだってことに。

 村の食材は、食べるものこんだけしかないの? って思うけど、ここにあるものがこの場所に一番あってる。

 街に出たみんなは、頭では食べたいと思っていたけど、食べたら別に思ったほど美味しく感じなかった。それは食べられない恐怖から出た欲望だった。頭では足りない足りない、食べたい食べたいって思ってるけど、結局はここにいつもあるもので身体は十分満足してしまう。それは行った人にしかわからない。

 日本は、食べものが溢(あふ)れていて、世界各国の美味しいものが楽しめて、世界の料理を作ることができる幸せな国だ。

 でも、子どものうちから糖尿病になる人もいる。本当に満たされる食べものは、舌ではなくて身体の声を素直に聞くと、わかる。

 45日間タンザニアでは、みんな怪我や病気に悩まされた。でもここにあるものが、治してくれる。

 その気候の、その旬なものを、朝採れたそのまんま、冷蔵庫に一度も入れないで食べられることが本当の豊かな食だと思う。一度でも冷蔵庫に入れてしまった物は、どういうわけか生命エネルギーが無くなる。

 例えば、野生のイノシシや鹿の肉は、めまいがして三切れぐらいしか食べられない。でも冷蔵庫に入れたらいくらでも食べられる。鶏の卵は、一旦冷蔵庫に入れるとすぐ腐る。入れないと半年くらいもつ。捕れたばかりの魚は少ししか食べないでも元気になる。冷蔵庫に入れるとただの魚。発泡スチロールに氷を入れて保存した場合は元気になれる。野菜も野草もおんなじ。

 タンザニアではほとんどの人が冷蔵庫を持っていない。

 旬なものを旬な時にすぐに食べられる環境こそが、豊かな食生活。

 狩猟採集しなくても、土に種が落ちたら芽が出て野菜が出来る。

 日本では誰でもそれが出来る。四季があるから。

 日本は本当にいい国だ。


p122~

 6粒のトウモロコシ

 ここで衝撃的な出来事がありました。

 ホームステイするところが、何とアメリカ先住民の村だったんです。

 さっきの写真のように草がちょっとだけ生えている砂漠地帯に、トウモロコシが2本だけ生えていました。そのドライフラワー売り場で売っているような小さなかたいトウモロコシをむしって、6粒俺に見せるんです。「きれいだね」と言ったら「食え」と言う。「生で?」と思うよね。カチカチです。「いいから食え」と言われて、まさかこれがきょうの晩飯じゃないよね(笑)。着いた日にこれだったら、すぐに脱走だよと思ったら、まさかの晩飯だった。味つけも何もない。「いいから食ってみろ」というんです。

 それを1粒口に入れた瞬間に、栄養ドリンクを10本飲んだぐらいグワーッとなった。

 「何これ?」

 胃で消化して、腸から吸収されてないですよ。口に入れた瞬間です。

 これが生命エネルギーなんだなと思いました。

 結局、ビタミンとか栄養学とか関係なくて、枯れた大地ですごいエネルギーを吸い取って生き延びた2本のトウモロコシ、それが本当の真実のエネルギーなんです。このアメリカ先住民の村の人たちは、みんなすごくタフで元気で健康です。だってこれを食べているんだもんね。すご過ぎて、結局は6粒も食えなかったです。

 そこの村で2週間暮らしました。病院も薬局もないのに、寝たきり老人は1人もいない。怪我もすぐに治るし、誰も病気にならない。俺が日本で今までやってきたことは、一体何だったんだろう。

 俺はその頃、マクロビオティックというのをやっていたんです。きっとこうあるべきだ、こうじゃなくちゃいけないの塊だったんでしょうね。体が喜ぶのではなくて、こうやっているから俺は幸せでいられるんだという安心を脳で食べていました。

 でもこの村に行って、それが完全にままごとだったと気づくんです。だってみんな、すごく元気で幸せそうなんだもん。

 結局、この人たちが食べていたのは、今、世界でスーパーフードと呼ばれている、セレブが食べているやつだったんです。彼らは知っていたんだよね。


 聖地で起きた全自動の奇跡

 アメリカ先住民の人は働いてないんですよ。たまにサンタフェで、日曜日にゴザを広げてアクセサリーを売っている人はいますが、俺が行ったところはその必要がなかったんです。なんで毎日、食べ物が手に入るのか。聖地があるんです。

 砂漠の中にちょっとした丘みたいなところがあって、同じ気候なのになぜかそこだけ緑がある。森になっていて、そこに入ったら、見えない線があって「あっ、聖地だ」とわかる場所がある。そこに行くと、その日食べる分が絶対に手に入る。ウサギとか、シカが捕れるときもある。いろいろなものが絶対に手に入るんです。神様がいるからとか、魔法使いの長老がいるからとかじゃなくて、当た前のように普通にそうなっている。

 ある日、出産があって、出血多量でお母さんが死にそうになったんですね。病院はないし、助産婦さんもいないから、ヤバいぞとなった。そのときに、「行くぞ」と男たちが言うので、俺もついていったら、聖域に入ったところの小道に鹿があらわれて、頭をうなだれるんです。捷毛が長くて二重瞼で可愛いなと俺は思ったけど、「授かった」と言って平気で狩るんです。お礼を言って、感謝をして、そのお母さんは生き延びるんです。

 これはスゲエなと思いました。でも、アメリカ先住民だけがそんな特殊能力を持っているはずがない。ほかにもそういう人がいるんじゃないかと後からいろいろ考えたら、アボリジニもそうだし、ミャンマーのシャン族とか、ピグミー族とか、パプアニューギニアにもいるし、そういう少数民族はいっぱいいます。いつからどの境目でその能力がなくなるのか。もっと調べたいという欲求から、いまだに世界中を回っていますけど、本当にすごいのは「全自動」なんです。


 なんのためにいっぱい貯め込むのか

 アルバカーキでは最高の2週間を過ごしました。

 アメリカ先住民の人たちにお世話になったから、「お礼にいいことを教えるよ。トウモロコシ、小さいじゃない。俺は自然農というのを日本で教えているから、どうやったらいっぱい大きいのが育つか教えたいんだよね」と通訳の人に言ったら、「本当にそれを言うの」と言われた。

 「教えたいよ、お礼だから」と言うと、「じゃ、一応、言っておくよ」

 通訳の人が「こういうふうに畑を耕したら、野菜がいっぱいできるとあの日本人が言っているよ」と言うと、「そんなこと、とっくに知っているよ。耕したら、空気が入ってバクテリアがふえて野菜がデカくなるんだろ?」

 学校も本もないところで、よく知っているなとびっくりして、

 「じゃ、何でやらないの」

 「じゃ、逆に聞くけど、何で日本人は必要以上のものを取ろうとするんだい。おまえは俺たちと2週間暮らして、一回も食べ物に困らなかったろう。ちゃんとおいしいものを毎日食えたのに、何でそれ以上のものを欲しがるんだい」

 何にも言えなくなったね。そういえば、何でだっけと思った。この人たちが、何ででっかくする必要があるのと俺も思った。全然お礼にもなってないよね。それを7世代前から習っているから、7世代後までそれを伝えなきゃならない。

 「もし耕したら、でっかくなる。でも、今年はそうだとしても、来年は大地のエネルギーがなくなって採れなくなるんだよ。そのときどうするんだよ」と言われたんです。

 日本人はそこで、多分お金を使うでしょうね。それをやらなかったから、この人たちはお金が必要ないんです。

 何のためにいっぱいため込むのか、何のために余計なものを手に入れる必要があるのか、大きな間違いがあることをここで俺は学びました。


p130~

 おいしい話には裏が有る。6400万持ち逃げ事件

 高田馬場のじいちゃんが、日本の代表になるっていった26歳のときに、さっきも言ったけど、俺は全国大会で優秀賞をもらって、その流れで20代の経営者の代表になって小渕総理と対談しました。本当に起こったんです。

 その頃は金儲けをしていたんですよ(笑)。スーツを着て、外車を乗り回して、車が12台あったから、毎月車検でした。今はその頃の自分が本当に大っ嫌いですね。みんなにチヤホヤされて、テレビにも出ていたから、調子に乗っていた。いろんな人が寄ってきて、ものすごくいろんな電話がかかってきて。持ち上げられて、誰がいい人で誰が悪い人か全然分からなくなりました。

 今考えると下心のある人がいっぱい現れてたんです。そんなときにとてつもなく大きな仕事が舞い込んで、下請けまで雇ってやりました。そうしたらね。その中間に入った会社がいなくなっちゃって6400万円が消えちゃった。

 持ち逃げされた6400万円、全部俺の借金。だって俺が元請けでしたから。俺が払わなきゃなんないから、下請けに。大損害なんてもんじゃなかったです。どうにもならなくて悔しさと怒りと悲しみの毎日。

 もうこれ死ぬしかねえって思ったんですけど、でもそのときはこらえたんですね。何とかなるだろうと思って。頑張って稼ごう、俺ならやれるって。

 月末の集金と支払いの心配だけ考え続けて、従業員全員に仕事が行き渡ってるか目を配って、ずっと計算し続けて3年間。毎日3カ所の銀行が金を取りに来て全然面白くも何ともないよね。3年間で十二指腸潰瘍に8回もなりました。


 人生最初のどん底、俺はお金の奴隷をやめた

 もしこのまま70歳になったら、俺は多分お墓に入るときにすっげえ後悔すると思った。
 「一生に1回しかない人生がこれかって。経営者としての俺は、売り上げやお金を増やしたその先に幸せがないと気づいちゃったんです。それで会社を解散することに決めました。車も家も、実家も事務所も会社も、借金のかたになくなった。ゼロから出直しだって思いました。会社を解散するときに、従業員のことがどうしても引っかかってたから、全員いい会社に紹介して、それから解散しました。俺は無職になり、子どもが3人いる幸せな家庭ともお別れすることになりました。

 そして、新しい人生を歩むために村づくりを始めたんです。お金が無くても心配事がないように、すごく気の合う仲間で、いつもみんなと笑って暮らせる村をつくりたい。みんなが自給自足で暮らせるようにしよう。「村づくり」なんて聞いたこともなかったころの話です。「エコビレッジ」と今は言われていますが、そのころはエコビレッジなんて名前もないし、DASH村もなかった。変わり者扱いでした。

 「みんな、ついてきてくれよ。一緒にやろうぜ」と言っても誰も来なかった。親友と思っていたやつも来なかった。俺に話しかけてくれる人もいないし、優しくしてくれる人もいない。会社を解散したとたん、仲良いと思ってた人たちが全員冷たくなって、それがあまりにも悲しくて俺の心はそのときズタズタになっちゃった。


 6回の自殺未遂。だけど……死ねない!

 それまでの仲良くしていたみんなに背を向けられて、そのとき完全に死のうと思って。

 首つりしたんです。最初はヒモで。でも毎回切れちゃう。ヒモを太くして、これは切れないだろうっていうヒモが切れちゃうんです。最後はタオルでやったの。そうしたらうまくいって、俺はやっと意識を失いました。6回目だった。

 でも気が付いたら、あれまだ俺生きてるっていう状態。タオルがちぎれていました。6回やって死ねなかった。

 もう分かった。人は寿命が決まっていて、そんときまでは絶対死ねないようになってるんだと思った。どんなにつらくても生きるしかないんだって思いました。

 それで俺が本当に幸せを感じることはなんだろうって考えました。

 俺はやっぱり誰かが喜んでくれることが大好きなんです。家の医者を始めたのも誰かに喜んでもらえたからだった。

 もうこんな孤独は終わりにしたかった。でもどうやって?


 お金は人生ゲームの券 ただの紙切れだ

 そう思ったときに、友達のナイジェリア人のサムエルのことを思い出した。サムエルはよく俺ん家に来て衛星放送でBBCニュースやCNNニュースを見てた。そしたら全然日本のニュースと違うこと言ってるんです。日本では「戦後最大の好景気です」なんて言ってるのに、「日本は韓国に追い抜かれるでしょう。日本の借金は2兆円になります」とか言ってる。「何それ。聞き間違いじゃないの?」「本当だよ」って、それをサムエルが全部説明してくれるんです。通訳して。あれ? 日本のニュースって嘘つくことあるんだ。

 それで俺たちはコントロールされてる、ってわかっちゃったんですね。コントロールされていることを知って、そのときに急にお金が人生ゲームの紙切れに見えたんです。日本のコインには日本国って書いてあるのに、紙幣には日本銀行券って書いてあったの。券なのただの。俺をあんなに苦しめて、俺の周りの人間がいなくなった人生ゲームの券。ただのチラシと同じ紙切れに見えた。そのことを思い出したんです。

 お金ってなんなんだって思いました。なんでお金が必要なんだろうって。食っていくため。それならもし食べものが溢れてたらって考えた。じゃあ家は。みんながローンを組んで家を建てているけど、じゃあ家も余る程あったり、つくるのが簡単だったらローンも組まなくていいよねっていう所に行きついたんですね。

 だから、全部つくっちゃおうと思ったんです。広い所でみんなでつくれば、もし日本円が紙切れになったとしても何とかなるだろうって。どうせもう誰もいない。俺はひとりぼっちだから今から仲間を集めて、友達をこれから作っていこうと。今度は本当の友達を作ろうと。その村で本当の幸せを手に入れようって。

 全てが金だった20代で俺は人の裏切りを知った。金が全てじゃないこと、もっと大事なことがあるってことが分かった。だから俺の村は金が必要ない楽園にしようと思ったんです。衣食住、全部そこでまかなえて。生きるために必要な物は全てそこにあって、俺が大好きな人たちと笑顔で暮らせる村をつくろうって思ったんです。その時、俺は30歳でした。


p144~

 食料自給率90%以上のエコビレッジ


 栃木の村には徐々に全国から仲間が集まってきた。気づけば、食料自給率90%以上の本当のエコビレッジだということがわかったんです。買うのは塩とか砂糖とか油で、それ以外は全部つくれます、もしくは採れますという状態にすると、一生食べていける。「やった、ここで一生、みんなで食べていこうぜ」と思った。

 でも日本人である限りは、ガソリン代と電気代がかかる。あとスマホ代もかかるし、服もマサイみたいに布をかぶるだけじゃダメだから、買わなきゃならない。じゃ、どうするのか。ちょっとのお金を稼げばいいんです。4000万のローンを組むほどいっぱい稼がなくていい。

 俺はエコビレッジ研究家だから、いろいろ研究しました。いろいろな国に行って、日本でもいろいろな村づくりに参加して、わかったことがある。

 例えば、この20人全員で「一緒に村づくりしよう。うちのじいちゃんが死んで余っている土地があるから、そこでみんなでやろうよ」ということでやったとします。そして90%以上の自給率まで一気に畑をつくって、家もつくったとしたら、1カ月幾ら稼げばいいか。

 みんな悩むんです。だってスマホ代がかかるじゃない。ガソリン代や子どもの養育費はどうするの、となってくる。4人から20人の村があったら、1カ月の収入は一人幾らあったらいいと思いますか。

 答えは一人3万円です。4人で12万円あったら、その村は電気代もガソリン代も全員のスマホ代も、子どもを学校に行かせるのも全部大丈夫です。そうなっています。20人いてもです。

 問題は20人を超えたときです。実際は12人を超えたときから厄介です。いろいろな村を見てきて思うのは、11人までがすごくいい村づくりになりますね。12人になると、突然、何もしない人が出てきます。ただいるだけ。だけど御飯は誰よりも食う(笑)。これは本当の話です。12人以上になると、大体そうなってきます。

 20人、30人になっているところがイタリアにもあるんですけど、人数が増えるとどんどん決まり事がふえていくんです。そして会議が開かれる。会議が開かれるとどうなるかというと、必ずマイナスの人が出てくるんです。「これはダメだと思うよ」が出てくる。決まり事をつくっちゃうと楽しくなくなるし、村づくりがとまっちゃう理由になります。だから会議は開いちゃダメです。そして、11人でとめておいたはうがいい。

 もしふえた場合は、しょうがないから、1日4時間、村のことをしてねと。4時間やれば大丈夫です。あとは自分の好きなことをやる。何もしないで寝ていてもいい。一人4時間、村のことを何でもいいからやる。料理でもいいし、片づけでもいいし、家づくりでもいいし、畑作業でもいい。釣りに行くのでもいい。何でもいいんです。4時間やれば、日本では成り立ちます。


 2度目のどん底~3・11で村が全滅

 順調に育っていた栃木の村は、ある日終わりを迎えることになります。

 俺は今ごろ栃木で村長になって、ずっと幸せに暮らしていたはずが、東日本大震災があって全滅です。何で栃木が関係あるのと思ったら、福島原発から透明なにおいもしないやつが流れてきてた。

 2011年10月に弟子たちが血便を出して、周りの犬が死に始めた。なんかおかしい。植物が奇形なんです。お茶の新芽が、葉っぱの先からもう一個出たり、ツクシが全部茶色になったりして、これはなんかおかしいなと思って市役所に電話したら、ガイガーカウンターを持って来てくれて、「除染区域です。チェルノブイリの倍ですね」。じゃ、避難区域でしょうと思うんだけど、危険値の規定の数値が上がっていて除染区域なんです。何のための数値? と思うけど、それで結局、野菜もつくれない。10年かかって作り上げた、全てをつぎ込んだ村が全滅です。

 もう泣くしかない。村は持っていけない。仲間は帰ってこない。これから俺はどうやって生きていったらいいのか。村づくりしか得意なものはないし、この村が全財産だしと思って、悲しくて泣いていたら、「全国を回って、それを伝えてみたらどうですか」と言う人があらわれたんです。確かに避難した人はみんな、仕事も家も失っているし、親戚も友達もいないところで、新しい人生を始めている。そのときに古民家の直し方を教えてあげたり、半年で自給自足がうまくいくような仕組みを伝えていこうと思って、北海道から九州まで回ることにしたのです。


 最初は「土地が余っているから、自由に使っていいよ」と言ってたんです。だけど、道ができて小屋も建って、畑もできて素晴らしい場所になってきたら、「これは売れるぞ」となって乗っ取られた。

 今まで手伝ってくれた人たちや、仲がよかった人たちもかばってくれなかった。その乗っ取りは、なんと6人組だったんです。道具も全部取られて、追い出されるかたちで本当にすべてを失った。それで人間不信になりました。これは震災で村を失うのとは全然違う。人生で一番つらかったですね。人間に裏切られるというのはどれだけ悲しいか。怒りと悲しみと執着が襲ってきて。楽しかったあの頃にどうやったら戻れるか、いくら考えても出てこない。どうしようもない。残ったものは、怒りと喪失感。

 必要とされなくなった時、生きがいをなくした時、人間は一番苦しい。


 3度目で気づいた「どん底って広いな」

 それで、行くあてのない俺はドングリの木の下で寝ました。

 家も水道も何もないし、このまま野たれ死んで、1年半後か10年後かわからないけど
、白骨で見つかるんだろうな。父ちゃん母ちゃんが、ちゃんと育ててくれて、わがままも聞いてくれたのに、俺はどこに行ったかわからない。探し回っても見つからずに、10年後に白骨で見つかったりしたら、父ちゃん母ちゃんに悪いなと一番先に思いました。

 あとは裏切った人たちへの怒り、何もなくなった悲しみ、誰もいなくなった悲しみ、それとやっとつくった村というすてきな場所への執着です。

 このとき、喉が渇いて、たまっていた水を飲んだら、食中毒になってしまいました。

 高熱を出して、吐いて、下痢して、おなかが痛くて……。感情爆発の上にさらに胃潰瘍にもなっているんじゃないかというぐらい辛かった。

 苦しくて、泣きながらどんぐりの木の下に横たわっていました。ずっと涙が出てくるんです。水を飲んだ量よりも涙が出てくる。泣きながら、悔しくて悲しくて、いろんなことがグルグルグルグル回って全然眠れない。怒りと悲しみと執着が次々襲ってくる。

 それが何日か続いて、本当に自分が弱っていることに気づいて、衰弱してこのまま死ぬんだなと覚悟を決めました。

 覚悟を決めたとき、

 「どん底って広いな」

 と思いました。どん底より下がないから、何も怖いものがない。

 「これ以下はねえんだ」

 それまでどん底に落ちたくないと思って必死でしがみついていた崖っぷちは、ただのとんがった山だったということに気づきました。

 全部見えるんです。

 「何だよ、こういうことか」と思いました。

 俺は善も悪もないと決めた

 俺はそのときに、多分このまま1週間も生きられないだろうと思って、神様に何を言おうか決めました。

 どん底に落ちたらどうなるかというと、『神様がいるんだったら殺してやる』と本当に思います。こんなつらい思いをするんだったら、何でひと思いに俺を死なせないんだと絶対文句言ってやると思いました。今でも、死んだ後に神様に会ったら言おうと思っている文句が四つぐらいあるんだけどね。

 そしてそのときに気づいたのは、『私たちは光の存在だ』と言って正義感を振りかざしている人は、複数人集まるとどんな悪いことでも平気でするということです。それが正義と思っているから、何でもできる。

 そもそも戦争は、宗教争いとか領土争いとかでしょう。自分が正しい、自分が善と思っている人がやるんです。

 だから俺は、悪魔に魂を売ってでも、これからの人生を生きられるのだったら、10日でも1カ月でも生きられる分は、悪魔とも仲よくしようと決めたんです。善も悪もないと決めました。


 死は生きるを見つける

 人はどん底に落ちると開き直ります。

 本当に自分が死を覚悟したとき、死を恐れるんじゃなくて、どうやって死ぬまで生きていこうか……と考える。死ぬしかないとなった時、

 『俺の人生がこんなふうに終わるのなら、したらいけないと言われたこと全部やって、人生をもっと楽しむ生き方を選んでいたのに』と思いました。

 結局、本当に死を覚悟したときに、生きるを見つけるんです。死は生でもある。

 生きるを見つける旅がそこから始まるんですね。

 俺は、とりあえず神様に立ちションをひっかけようと思ったんです。そのぐらい全てが嫌だった。とにかく人間が大っ嫌いになってました。

 1週間寝たきりで、8日目の朝になりました。

 森の中にいると、日の出がわかるんです。最初、虫が鳴きます。そしてピタッととまってシーンとなる。その次、鳥が鳴きます。そしてまたピタッととまってシーンとなる。次に両方鳴くんです。そのときが日の出です。世界中どこに行ってもそうです。

 俺は日の出とともに太陽に向かって立ちションすると決めていました。

 「今だー!」となったとき、丘の上で太陽に向かって立ちションした。

 そうしたら、ピカーッとなって、とてつもない気持ちいい風が吹いて、鳥がバタバタバタとなった。夜露でクモの巣がキラキラ光って、ものすごく美しい。

 「こんな美しい景色を見せてくれてありがとう! 神様」

 と、思わず感謝しちゃったんです。ついうっかり裏切った6人にまで。

 よくスピリチュアルな人が、雲を見て龍がいるとか言うけど、あれは雲だよねと俺は思っているけどね、立ちションしたときに吹いたものすごい風、あれはたしかに龍っぽかったんです。本当に龍だなと思うぐらい、こうなって、あそこら辺にとまったんだなという感じがあった。これは二度と言わない。俺はスピリチュアルな人と思われたくないから(笑)。今日だけ言います。本当にそう思いましたね。

 今思うと、この時に善も悪もどっちでもいいって思えるようになってから、イラッとしなくなりました。


p176~

 乙事主(おつことぬし)の魂を授かる

 狩猟採集生活の中で、イノシシもさばけるようになりました。

 もののけ姫の「乙事主」みたいな、とてつもなくでっかいイノシシが山にいるんですよ。何を食べているのというぐらい衝撃的に大きいのがいる。食うものがないから、そういうでっかいイノシシを一度さばく羽目になりました。

 ものすごい恐怖です。生と死の向き合い。怖いもののない俺だからいけたけど、向こうも命がけなので、やられる人もいる。新聞に年に1回ぐらい、イノシシに殺された人のことが載っているけど、「多分、こいつだな、犯人」と思うぐらいデカかった。

 俺は銃とかは使わないから、槍で心臓を刺す。普通は10分ぐらいで出血多量で死にます。

 だけど乙事主は、しばらくしたら、キョトンと治っちゃった。「こいつ、生き延びたんだ」と思った。だけどここまで怪我をさせたから、やっぱり責任をとって向き合おうと思って、一回抜いて、もう一回刺しました。そうしたら今度は、全く暴れずにジーッと俺の目を見る。そこから15分間見詰め合った。絶対に目を離せない。「この野郎、俺を殺しやがって」という目で見ると思うでしょう。恨みとか恐れはありません。死ぬのが怖いとも思ってない。

 ジーッと俺の目を見て何を訴えるかというと、「俺の命をおまえに託したぞ。あとは頼んだぞ」という目をするんです。15分間、死ぬまでずっと、1秒も目を離さない。そして、死んだなとわかるんです。

 死んだ後、まだ温かいうちにさばくんですね。そうしたら見たことのないゼリー状の泡がありました。何だろうと思ったら、これが1回目の心臓の穴を塞いでいた。生命力が強いんです。野生に帰ったら病気にならないのがわかる。人間も相当強くなります。

 そのときのイノシシは、アメリカ先住民の村のトウモロコシよりももっとすごいエネル
ギーだった。一口、口に入れた瞬間に、まだ飲み込んでないのにブワーッとなる。魂があるとしたら、この人間のボディの形を完全に超えています。そのときに完全にイノシシの魂を授かったと思いました。それから元気に生きて、今あれから9年たっていますが、ピンピンしています。すごいでしょう。



p195~

 病院と薬局が病気をつくっている!?

 「じゃ病院はどうするのよ」とみんな言いますが、代替医療です。インドの奥地の人は5000年前からアーユルヴェーダ、中国は4000年の歴史の鍼灸、そういうのがいっぱいある。

 ギリシャのサントリーニ島は午後3時で仕事が終わりなんです。そこのじいちゃんは家に帰って、わざわざカッコいいスーツにピシッと着がえて、杖をついてパスタを食べに行く。ワインを飲みながらパスタを食べるのが日課なんです。その島は病院も薬局もありません。だけど10人にひとりが100歳を超えていて、寝たきり老人はいません。毎日パスタとワインなんですよ。

 日本人は、どこか間違っていませんか。毎日おしゃれして、好きなものを食って、ワインを飲んで、ばあちゃんをナンパしている人だらけの島が、元気な長寿の地です。日本は「これを食ったらいい」、「こうしなきゃダメだ」、「こうあるべきだ」が多過ぎます。

 この後、俺は中国の巴馬(バーマ)というところに行きました。でっかい川がある村で、ガソリンも何もないところで、馬で農耕している民族です。そこは世界5大長寿村のひとつで、元気な高齢者が世界一多いといわれている村です。100歳超えても山や畑や手仕事など現役で働いている。巴馬では120歳を超えている人もいますが、寝たきり老人はいません。病院も薬局もない。

 ということは、病院と薬局が病気をつくっているんじゃないの。アメリカ先住民の村にもなかったもの。





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Last updated  2024.04.28 20:58:16
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