幻の香水♪
ニナリッチパルファンから、幻の逸品『ニナ』をご紹介。私の生まれた年の翌年、1987年に発売された香水で、現在は廃番の為、一切出回っていない、極めて貴重な逸品。地元のリサイクルショップで偶然見つけ、思わず購入。この香水は、ロベール・リッチが関わった最後の作品で、この香水が発売されたその翌年、彼は天国へと旅立った。彼の母であり、偉大なクチュリエであった、マリア・ニナ・リッチへの最大のオマージュとして作られた物だそう。まさに『母に捧ぐ香水』。香りは、レールデュタンと似ているけれど、こちらはやや趣きが違い、ややスパイシーな香りが抑え目。母親をイメージしてか、柔らかく包み込む様な、ふんわりとしたフラワリーノートといったところ。グリーンノートも入っていて、お花畑に佇んでいるかの様。レールデュタンもニナも、上品な香りがこのニナリッチパルファンの持ち味なのだが、ニナリッチが買収されてからは、若者へターゲットを変えて、香水そのものも若者向けへとガラリと変えてしまった。レールデュタンは、今もあるけれど、このニナに限っては、リニューアルしたは良いが、香りもボトルも若者向けの何だか安っぽい物に成り果ててしまい、往年のニナリッチの風情が失われてしまって残念極まりない。ロベール・リッチが在世の頃のニナリッチは、数年に一度というペースで香水を発表していたし、ボトルも香りも非常に凝った物が多かった。かつては『香水界の最右翼』と言われた程、昔ながらの香水というものをとても大切にして来たブランドだったそう。親子二代で作り上げてきたブランドイメージがいとも簡単に崩れ去ってしまったのは、実に残念。もし、オリジナルのニナを見掛けたら、是非とも購入してみては如何だろうか?香りの美しさもさる事ながら、ドレープの布を掛けたような、ラリックボトルも美しく、正に芸術品と言っても過言ではない。香水本来の在り方を教えてくれる一品だと私は思う。