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坂東市進学塾 スタディ・ポート 港日記

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2020.05.15
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カテゴリ:読書・本
以前ブログで購入したことを書いて積読になっていた本を読んでみました。

子どもの貧困や格差についての問題提起が強く意識された作品です。

その分、物語としての面白さはいまひとつ。ただ文章そのものはとても読みやすいです。

あらすじは書きません。
登場人物だけを書いておけば十分だと思います。

和真。中学3年生男子。超難関中高一貫校に在籍していたが、いくら勉強しても成績が伸びず、先生に呼び出され、自分にあった中学への転校を勧められる。現在は公立中学校の3年生。

高入できる一流高校への進学を目指している。(家族から強制されている。)

医師である父親と家族は一流高校から一流大学へということにしか価値を置かない。

前に在籍していた中学で自信を失ってしまったこともあり、将来が見えず、毎日悶々とし苦しんでいる。

その転校先の中学校で出会った中3女子がもう一人の主人公である樹希。

寂れたスナックをやっていた父親が小5のとき、母親のお腹に子どもを残し事故死。現在、母親は鬱病で働くことができず、妹の保育園の送迎から、食事などの家事、母親の世話まで一人でこなす。

和真の苦しみなんか樹希の苦しみに比べたらなんのこともないだろうというわけではないのが、この年代の難しさ。

酔って歩道橋から飛び降りようとしている和真を樹希が引きずりおろして助けるところから話が始まります。

本の内容が途中から生活保護制度の解説書のような様相を呈してくるのは、灘中に1桁順位で入学した中島らも氏の名作『今夜すべてのバーで』がはじめは文学作品として快調に飛ばしながら途中から医学書のようになってしまうのを思い出させます。

結局、2人の中学生、それぞれに明るい光がさして物語は終わります。

興味のある方は読んでください。

灘中の問題ということもあるのか、現在、重版かかかっているらしいです。

作者の安田夏菜さんのプロフィールが兵庫県西宮市生まれ大阪教育大学ということからして、この中退した難関私立中というのは、元西宮市民である私としては、やはり「灘中」をイメージしてしまいます。

いやー、灘中が灘中と思われる中学校をどちらかといえば敵役として扱われている作品を出題するというだけで自分としては驚き桃の木なんですけど。

「出題予想的中!」なんて言っている人もいるので、こういうのがトレンドなんでしょうか。難関私立中の受験というのには疎いので自分にはよくわかりません。

正解選択肢の選び方のテクニックだとか記述問題への答え方なんかが、あちこちで「対策」として行われていることについては作者はどんな思いなんでしょうかねえ…

私の大学時代の友人で書くことを仕事にしている人の中には「絶対に問題集とかに使われたくない。」と言っている人もいますが、ちょっとわかる気がします。

なんだか小説のテーマ以外もいろいろ考えさせられました。


『むこう岸』(安田夏菜著、講談社)





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最終更新日  2020.05.16 01:06:26
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