これまでにも何度かご紹介したことのある,宮城県出身の津軽三味線奏者,浅野祥君が,同じく宮城県の津軽三味線奏者で,全国大会での優勝経験のある,柴田雅人君と,ライブを行いました。
「津軽三味線 伊達の決戦・壱」というタイトルです。
昨日までの1週間,行われたのですが,私は土曜日に,聴きに行ってきました。
柴田雅人君のことは,全然知らなかったのですが,柴田三兄弟として,三味線界では有名みたいです。
1週間,二人の演奏に加えて,ゲストを迎えています。
私が行った日のゲストは,柴田雅人君の所属する,「閃雷」というグループでした。
閃雷って,名前は聞いたことあったのですが,構成メンバーも曲も知りませんでした。
仙台を拠点とした,和太鼓と津軽三味線のバンドというのでしょうかね。メンバーはみんな若くて,最年長のリーダーでも22歳です。最年少は,この日中学を卒業したてというほど。
若いんだけど,日本の伝統を大切にし,そこに新しい風を入れていくってコンセプトのグループみたいです。
目的はもちろん,浅野君の三味線を聴くことだったのですが,柴田君も,閃雷も,ものすごく素晴らしかったです!
宮城県庁や,勾当台公園の近くにある,パークスクエアという小さなライブハウスでのステージでした。
客席は60席で,自由席です。私が着いた頃,既に半分ほど埋まっていたのですが,皆さん遠慮がちなので,前の方もずいぶん空いています。スタッフさんは,前の方から詰めて…とおっしゃっているので,でも遠慮がちに,一番前の左端に陣取りました。ステージに足をかけられるほどの近さです。
お客さんは,関係者や家族,知り合いなんかが多いらしく,おばちゃんおじちゃん年代が多いです。
私の隣にいたおばさんコンビは,娘さんが今日中学卒業だったようで,開演までの間,式の様子やこれまでの学校生活について,あれこれ思い出話が尽きませんでした。
この1週間,交互に浅野祥DAYと柴田雅人DAYを設けていたようで,この日は柴田雅人DAY。最初に柴田君が出てきて,それから浅野君が出てきました。やっぱり,おばちゃんに大人気です(笑)
二人とも,袴なんかじゃなく普通の,今時の若者スタイル。軽装です。
三味線も,アンプにつなぐ,エレキ三味線で,立って演奏していました。
二人で演奏していても,一人じゃないかというほどピッタリ合っていて,でもたまに,アンサンブルがあって,すごくいい演奏でした。
最初は,津軽よされ節という民謡の定番,次に柴田君のオリジナル曲,そして,浅野君のオリジナル曲が演奏されました。3曲目の前には,閃雷のリーダー,三浦公規君が出てきて,タムを叩いていました。これがまた,すごいんですよね。この三浦君が,1週間ステージのMCを務めていたそうなのですが,これがまた,ノリをつかむのがうまいんですよ。今時の若者の雰囲気バリバリなのに,おじさんおばさんウケもバッチリなんです。
ここまでが前半で,後半は,閃雷のステージになりました。
和太鼓が4人,三味線が3人で,太鼓も種類があります。ドラムセットみたいに,いろいろな太鼓を組み合わせたものを叩いていました。ほんとに,びっくりするぐらい素晴らしいバチさばきとパフォーマンスなんですよ。
日本の伝統をすごく大事にしているんだけど,そこに,現代の若いパワーが織り交ぜられていて,古くささがないんです。ロックのライブみたいに,会場一体となって,手拍子に歓声。大盛り上がりでした。
こんなにすごいグループだったのに,今まで聴いてこなかったことを悔やみました。
仙台にも,こんなすごい人たちがいたんだ~!って,浅野君の時も思いましたが。
最後の方は,浅野君も加わって,さらにバージョンアップした閃雷でした。
アンコールも終え,閃雷メンバーが去ったあと,さらに,サプライズがありました。
予定では,柴田君のソロ弾きだったようなのですが,急遽,本人にもサプライズで,浅野君との三味線バトルを行ってくれたのです。
曲は,津軽じょんから節。これ,大好きです。
これまでのエレキ三味線から,生三味線に持ち替え,マイクも無し,イスに座っての,純粋に津軽三味線の演奏です。
津軽三味線て,即興演奏が重視される楽器なのだそうで,同じ津軽じょんから節でも,柴田君のと浅野君の演奏は,違う感じがしました。
最初は二人で合わせ,柴田君が演奏し,浅野君が演奏し…。
それだけでも,とても素晴らしかったのですが,その後がものすごかったです。
打合せも無しだったそうですが,今までもやったことあるんでしょうかね。
掛け合いのようにワンフレーズずつ弾いたり,アンサンブルしたり,わざと音を崩したり,遊び心たっぷり,でも,基本はしっかり押さえての演奏でした。
すっかり引き込まれて,前のめりになって二人の指先を凝視してしまっていました。
この人達,ほんとすごいわ…。
会場のみんな,私も含めて,息をするのをすっかり忘れていたみたいに,終わった瞬間,一斉にため息をつきました。
閃雷の演奏で終わっていたら,若いパワー炸裂の,和太鼓のイメージが鮮烈に残ったでしょうが,この津軽じょんから節バトルで,一気にまた,三味線の魅力というか,この人達のすごさに引き戻されました。
帰り際,出口で浅野君と閃雷メンバーが握手しながらお礼を言ってくれていて,みんなに,「とってもよかったです!」って伝えて帰りました。そう言わずにはいられないほど,すごくよかったですもの。
浅野君は,この春から慶応ボーイ,東京に行ってしまうので,しばらくは演奏を聴けなくなりそうです。ちょっと残念。でも,東京でもがんばってね☆
これからは,機会があれば,閃雷の演奏も聴いてみたいな~と思います。
ちなみに,「伊達の決戦・壱」ってことは,「弐」もあるのかな?
楽しみに待ってるよ♪