中国侵略の空白 三光作戦と細菌戦
中国侵略の空白 三光作戦と細菌戦戦争犠牲者を心に刻む会 編 東方出版「三光作戦」とその背景 藤原彰 著より抜粋日中戦争と「三光作戦」日中戦争は、日本軍が中国民衆に対して大規模な残虐行為を行ったことで特徴づけられている。よく知られる南京大虐殺や731部隊より、犠牲者の数でも、民衆への攻撃それ自体を目標とした残虐行為であったという点でも、最も大規模で深刻な内容をもっているのは、「三光作戦」である。日本軍が主として華北で展開した中国共産党軍の根拠地にたいする燼滅掃蕩作戦のことを、中国側が「三光作戦」と名づけた。敵軍すなわち武装した軍隊を攻撃する過程で、一般民衆も巻き込まれて被害をうけたというのではなく、初めから民衆を敵とした作戦が展開されたことにこそ問題がある。つまり戦時国際法が禁止している非武装の民衆を殺傷し、民衆を焼き払うことを目標とする行動を、日本軍が大規模に行なったのが三光作戦なのである。