ワッハ新春大会大入り御礼
昨日はワッハ上方で、新春恒例の浪曲大会でした。恒例と行っても、ここ三年ほどのことですが、今年初めて大入りとなりました。今年は特に変わったことをやったわけでもなかったのですが、昨年末芸術祭新人賞が転がり込んできた菊地まどか君が幸いってん君と掛合いで「一本刀土俵入り」を語りました。精一杯の声を張り上げるというのが若手には何よりでそれはそれでいいのですが、こういう名作を「人がよく知っているから」「ウケる話だから」というだけで新人に安易に語らせてしまうことには、一抹の疑問を感じないわけではありません。その昔、三波先生が、新歌舞伎座初出演の時劇場が一本刀の芝居を企画したのを、原作者の長谷川伸が「三波を潰す気か」といって止めたという有名なエピソードを思いだします。そのおかげで、三波先生はオリジナルの新作を掛け続け堂々二十何年東西の歌舞伎座を一ヶ月満員にし続けたのです。多くの名人が手がけた名作を未だ表現力の未熟な新人にやらせてもそれに伍した物ができようはずはないのですから、余り安易なことはするべきではないと思うのですが。今回は、出演者がずらりと並んで年頭の御挨拶を述べる口上を一幕加えました。なかなか作法に叶ったことはできませんでしたがお客様への我々の気持ちということでお目こぼし願えたのでは。松浦四郎若さんは例によって僕の年賀状をフシをつけてマクラで披露してくれました。終演後は、おいで下さった友人達と浪曲教室の稽古場でもある歌舞伎座裏のスナック同想会を開けてもらって、覆いに呑んで食い歌い、俄の新年会となりました。みなさんありがとうございました。