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カテゴリ:坂東巡礼
【坂東】
第4番札所 山号:海光山(かいこうざん) 宗派:浄土宗 本尊:十一面観世音菩薩 巡拝日:2008年7月25日 ----------------------------------------------------------------- 第三番・安養院から第四番へ向かうには、 鎌倉の市街地を東から西へ横断するかたちになる。 ふたつの札所が一本道で結ばれているところを見ると、 きっと巡礼の便を考えた順番付けがなされたのだろう。 江ノ電の線路を越え、ひたすら西進すれば、 第四番・長谷寺の入り口に突き当たる。 なんといっても、ここは鎌倉随一の観光地。 これまでの3つの札所とは違って、 老若男女に外国人まで多くの観光客で賑わっている。 個人的には、高校時代以来およそ20年ぶりの参拝。 自動精算機を備えた有料駐車場に車を停め、拝観料300円を払って、 境内へ足を進める。 境内へ入りまず目の前に広がっているのは、美しく整備された庭園。 ふたつの池が並んだ回遊式庭園で、四季折々さまざまな花で彩られるという。 水面のさざなみや流れ落ちる水の音が、真夏の暑さを少し和らげてくれる。 人出が多く静寂に身を委ねることができる雰囲気ではないのが残念だ。 長谷寺の境内は、三方を山に囲まれた鎌倉の、西側の山の傾斜に沿って広がっている。 したがって、境内の奥へ進むほどに石段を登ることになる。 途中、まだ真新しく見える地蔵堂が立っていて、その脇に卍池という池があった。 なるほど、上から見れば、これが本当に卍の形に作られている。 そこからさらに20段ほど上がれば、そこが観音堂だ。 現在のお堂は1986年完成。鉄筋コンクリート製の重厚な造りである。 観音堂の中に足を踏み入れると、正面奥にご本尊が現れる。 が、高さ10mを超えるという巨体ゆえ、天井が邪魔をして、すぐにお顔は拝めない。 その足元まで歩み寄らないと、全身を見渡すことができないのだ。 しかし、大きいものというのは、それだけで見る人を威圧するものである。 この観音さまも、まさに我々を圧倒する大きさ。 しかしこの観音さま、威圧感というものは、不思議なほどに感じない。 包容力があるのである。金色に輝くその体から、 慈愛のフェロモンを出しているかのようだった。 観音堂入り口でご朱印をいただき、境内へ出てさらに奥へ進む。 すると、そこは展望台になっていて、 由比ガ浜から材木座、そして逗子にかけての海が一望できる。 鎌倉随一のこの風光明媚さこそ、長谷寺の人気の由縁である。 その展望台のほとりに、作家・久米正雄の胸像が立っている。 第二番・岩殿寺には“鏡花の池”なるものがあったけれど、 かつて鎌倉が文人たちの聖地であったことを、あらためて実感する。 久米正雄は我が故郷にもゆかりの深い人物で、 鎌倉にあった旧久米邸は今、そのゆかりの地へ移築され、記念館になっている。 そんなこともあり、勝手に親近感をおぼえたのだった。 境内にはそのほか、阿弥陀堂や大黒堂、経蔵が、 さらに庭園脇には弁天窟などがある。 みどころが多い長谷寺は、これまでの3番までと違い、 また秩父の34ヶ所とも違って、非常に開かれた、華やかな印象の寺だった。 それは決して悪いことではなく、むしろ寺というのはより開かれるべき、 と常々思っているのだけれど、 霊場としての威厳、札所としての意義のようなものが、 観光地化することで薄れるということもあるのだなぁと、 寂しい札所に行けばすぐ心細くなるくせに、思ったりする。 この長谷寺で、鎌倉の札所はおしまい。 第5番以降の数ヶ所は、神奈川のさらに西部を旅することになる。 そこへはあらためて出かけることにして、帰路についた。 海光山長谷寺 神奈川県鎌倉市長谷3-11-2 tel.0467-22-6300 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年09月25日 16時30分02秒
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