じゃくの音楽日記帳

2016/09/25(日)14:37

きらクラ!第204回 長岡での公開収録、上原さんと池松さん (2016年9月18日放送)

きらクラ!(147)

きらクラ!第204回は、新潟県長岡市での公開収録(9月11日)の放送でした。 長岡市といえば花火で有名です。我が家も昔、小さい子供を連れて泊りがけで見に行きました。気合を入れて早くから、打ちあげ地点のかなりそばの河原まで行き、始まるのを楽しみに待っていました。しかし始まったとたん、花火の「どん」という腹にひびくほどの大きな音に驚いた子供が泣き始め、まったく泣き止まないので、音がどんどんと続く中を、子供を抱きかかえて遠くに避難しました。 放送が始まっていきなり、オープニングのショパンの「子犬のワルツ」が、いつもと違うヴァージョンです。ピアノ・ソロかと思っていると途中からチェロも加わりました。ゲストの上原彩子さんと真理さんによる生演奏(上柴はじめ編曲)という、贅沢なオープニングでした。続いてきらクラ生ドンです。ドヴォルザークの「新世界より」の第四楽章、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番第一楽章、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」の第一楽章と、いずれも短い出題でしたが会場の方の正解が続きました。そして中トロは、ヨハン・シュトラウス二世の「美しく青きドナウ」でした。ちなみに今回のふかわさんの掛け声は、第200回放送の中トロ祭りの経験を踏まえてか、真理さんと一緒にすっきりと「ぁ中トロドン」1回だけのご発声で、安心して聴けました(^^)。 ここで一人目のゲスト上原彩子さんが改めてご登場、ラフマニノフの 前奏曲 作品3-2 「鐘」が演奏されました。上原さんと真理さんは、三浦友里恵さんを通じて友達になったということでした。 ロシア音楽が大好きという上原さんが語るロシア音楽の魅力は、「何層にも分かれた暗さ」と。 続いて真理さんのチェロと上原さんのピアノで、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタから 第2楽章が演奏されました。 3人のお子さんがいらっしゃる上原さんは、子供たちのために、絵と音楽と語りのコラボの上演を重ねているということです、素敵な活動ですね。上原さんご自身で編曲された、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」から「花のワルツ」が演奏してくださいました。さてさてBGM選手権です。太宰治の「酒の追憶」に、3枠採用でした。 ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」冒頭 (ディジーさん) カバレフスキーの組曲「道化師」からギャロップ (コッヘルさん) 芥川也寸志のバイオリンとピアノのためのバラード (ちはやふるさん)3種3様の酔いっぷりの音楽でした。会場の拍手で選ばれたベストは、芥川也寸志でした。前半の悲しい雰囲気の描写も含めて、深みがあって、見事でした。 番組後半は、二人目のゲスト、コントラバスの池松宏さんのご登場です。しかもハープの篠崎和子さんが伴奏という豪華な内容で、ここからしばらく、見事な演奏と面白すぎるトークの池松タイムが繰り広げられました。 まずハープとの二重奏で、ポンセの「エストレリータ」が演奏されました。続いて池松さんのお話です。中学でクラシックが好きになり、高校で弱小オケに入って、1年目はクラリネット、2年目はチェロを、3年目は指揮者をやり、指揮者になりたいと思った。先生に相談したら、指揮者になりたいんだったら何かオケの楽器をやった方が良い、コントラバスをやったらどうか、と言われて、迷った末に覚悟して始めた。とにかく嫌いでたまらなかった。それが大学2年のときにクーセヴィツキー作曲のコントラバス協奏曲に出会って、好きになった、ということでした。 オケでは一番端で高いところにいるので、オケや客席をきょろきょろ眺めて楽しんでいるというお話のあと、2曲目にハープの篠崎和子さんとともに演奏されたのが、モンティの「チャールダーシュ」でした。チャールダッシュは居酒屋という意味だそうで、池松さんいわく、居酒屋風の踊りにかこつけて、普段オケでわがままで勝手に弾くヴァイオリンの伴奏をさせられて腹が立っているので、今日はいい機会とばかりにハーピストを困らせよう、と。そして始まった演奏が、超絶技巧とともに、やりたい放題のポルタメントとテンポ・ルバート、くしゃみ入りという、自由奔放・抱腹絶倒の演奏でした。演奏後の池松さんが「普段の鬱憤を晴らした」というと、真理さんが「ちょっとゆがんではいるが音楽への愛がある」とコメント。このごろ真理さんのコメントに、辛みのスパイスがちらほらと加わって面白く、聴き逃せません(^^)。池松さんはかつてN響首席を飛び出してニュージーランドに移住し、そこのオケで演奏したということです。ニュージーランドのオケの最初の印象は、オケがざわざわしていて驚いたが、だんだんとそれが普通だと思えてきた、とのお話でした。 続いて真理さんのチェロとの二重奏で、ロッシーニのチェロとコントラバスのための二重奏曲から第3楽章、池松さんと真理さんとの楽しい戦いがあったようです。 池松さんへの質問コーナー。練習して行き詰ったら?→「すぐ諦める、5年間寝かせる。」すぐやらなければいけないときはどうするか?→「最初からごまかす」。一番好きなことは?→「釣り」。 そして池松さんの演奏でもう1曲、マイヤーズの「カヴァティーナ」。映画「ディアハンター」の主題曲で、池松さんがもっとも好きな曲ということです。池松さんが、「師匠のゲリー・カーがリサイタルのアンコールにいつもこの曲を弾いていて、それを聞いて涙するような日があって、当時、楽譜もなかったので耳で楽譜を起こして自分も弾くようになった。自分もアンコールで良く弾くが、ずっとクラシックの曲を弾いて最後にアンコールでこの曲を弾くと、これを弾いているときが一番幸せ」とお話されていました。ハープの篠崎和子さんとの二重奏が、なんとも素晴らしく、「これを弾いているときが一番幸せ」と仰ることがすごくよく伝わってきて、心に沁み、落涙しました。この曲は僕も大好きで、先日のBGM選手権(ふかわさんのお題)に投稿しました。 最後は、全員による、中村八大・作曲、上柴はじめ・編曲、「上を向いて歩こう」。上原さんのピアノ、池松さんのコントラバス、篠崎さんのハープ、真理さんのチェロ、ふかわさんのソプラノリコーダーとウィンドチャイム、そして会場のみなさんの口笛で、味わいある音楽でした。 今回も、笑いと感動に包まれた、とても素敵な公開収録でした! 

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