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じゃくの音楽日記帳

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マーラー演奏会(2011年)

2011.12.31
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その1の続きです。

4番:今年は沢山の4番を聴けました。白眉は、6月のハーディング&マーラー室内管の演奏会でした。この演奏会、オールマーラープログラムで、前半が花の章と、「子供の不思議な角笛」から抜粋して何曲かの歌曲、そして後半が4番でした。マーラー室内管のしなやかな音の美しさも非常にすばらしかったですし、さらに驚いたのは、最初の花の章が始まるときに、ソプラノも一緒に入場してきて、指揮者のすぐ左に座って待っていたことです。そして花の章が終わって、拍手が起こる前に、ごく自然に歌手が立ってそのまま歌曲が始まったのです。この異例とも言える曲間のアタッカ!にこだわったハーディングのこだわりは見事。歌もすばらしかったです。後半の4番も、もはや記憶がさだかでありませんが、確か第三楽章の始まる前にソプラノがしずしずと入場してきましたが、聴衆も心得たもので拍手なしで迎え、そのまま第三楽章が始まるという理想的なものでした。演奏も、第一、第二楽章はややもたついた感がありましたが、第三楽章からすごくオケも音楽ものってきて、第四楽章の歌もすばらしく、これまでに僕の聴いた中でベストの4番でした。演奏が終わってから、ハーディングは長いこと手を下ろさず、その間ずっと長い沈黙が会場を支配しました。相当長い時間がたって、まだハーディングは手を下ろさなかったときに、ひとりの不心得者が「ブラボー」と叫んだのですが、すぐ他から「シッ!」というお咎め(むしろ「チッ!」という感じにも聞こえました)がはいり、ふたたび会場は長い沈黙へ。そのあとしばらくしてからようやくハーディングが手をゆっくりとおろし、そして拍手が始まりました。お咎めした人、あなたはえらい。このコンサートのとき、途中の休憩中にはハーディング自身やマーラー室内管のオーボエ奏者の吉井さんが、ロビーで募金箱を持って、募金を募っていました。ハーディングの心意気には本当に頭が下がります。ありがとう。

他の4番では、1月の金聖響&神奈川フィルが、かなり良かったです。11月の準メルクルは期待したほどではなかったです。あとの4番は、聴いていてしんどいものでしたが、これは詳しく書くのをやめておきます。

5番:震災直後、東京では演奏会がことごとく中止となりました。3~4月に上野で予定されていた「東京・春・音楽祭」も、目玉のコンサートが軒並み中止となりました。4月2日には、もともとマーラーの大地の歌が、ボーダー指揮、読響、外人歌手で予定されていました。このチケットは買っていましたが、外人が来ないだろうし当然中止になるだろう、と思っていました。そうしたら、代わりに急遽、読響が尾高さんの指揮でマーラー5番を演奏する、と発表されました(払い戻し希望の人には払い戻しするということでした)。僕はこの時期は音楽を聴こうという余裕がまったくなく、余震のこわさもあったので、行くつもりはありませんでした。しかし一緒にチケットを買っていた友人が、めげずに行こう、という意欲を見せたので、それでは僕も、ということで聴きにいきました。震災後に初めて行った演奏会でした。演奏会は、まずバーバーのアダージョが追悼として演奏され、それから短い休憩をおいて5番でした。

この5番、不条理の災害に対する、やりばのない、ぎすぎすした怒りに満ちた音楽でした。こういう音楽を聴く体験は初めてだったし、今後もおそらくないと思います。音楽の感動というより、惨憺たる気持ちをその場の人々が共有した、そういう体験でした。心に重く刻まれ、繰り返し聞こうとは思わない、そういう体験でした。大植さんの5番と、違いもありますが共通点もある、忘れ得ない5番となりました。演奏終了後には、エルガーのエニグマからニムロッドが、再び追悼として演奏されました。

そして5月、ふたたび読響が5番を。指揮は、予定されていたマーカルに代わって、ブロンスキーという人。これは野生的な、土俗的なパワーのある演奏で、僕としてはマーカルよりも好きなタイプの演奏でした。(これが気に入ったので、会場で売られていたブロンスキー指揮の6番のCDを買って聴きましたが、これは細部の荒さが目立ち、それほどでもない演奏でした。)

そしてもう一つ、5番といえばハーディング&新日フィル。震災当日に演奏会が予定通り決行され、ごく少数の聴衆のもとで演奏されたということは以前書きましたし、6月にあらためてハーディングが新日フィルと演奏した5番を聴きに行ったことも書きました。ハーディング、本当にありがとう。それにしても、マーラー5番に限らないですが、名曲は、作曲者の意図を超えた、さまざまなメッセージを伝えることができるんですね。

8番:さすがN響の底力を見せてくれた演奏でした。僕は2階の中ほどで聴きましたが、バンダの音が高貴に響きました。演奏が終わってからバンダの位置を確認したら、2階の右ブロックのなかほどの通路で吹いていました。

9番:金さんの9番は照明の演出が凝っていました。終楽章の最後、だんだんと暗くなっていて、最後は弦楽器の譜面台に付けたライトだけになり、最後の音とともに全部消えてまっくらになるという演出でした。この演出、1回は体験してもいけど、やはり普通の照明の方が良いかな。

大地の歌:今年はすばらしい大地の歌が3回聞けました。しかも全てが同じ週のうちにです!奇跡の大地の歌週間でした。大植さんのマーラー、今年は1番、4番ときて、いよいよ大地の歌。初日(11月9日)はオルガン席で聴きました。シュトゥッツマンの代役として急遽登場した小川さんの歌唱が見事でした。オルガン席でしたので歌はあまり聴けないだろうと覚悟していましたが、第二楽章冒頭から引き込まれました。そして第四、第六としり上がりにさらに良かったです。それに大植さんのマーラーのすばらしいこと!特に第二楽章や終楽章での弱音部での寂寥感は、迫るものがありました。終楽章の途中、歌手が座ってオケだけの長い間奏部分では、まさに大植さんが歌っているかのような、味わい深いマーラーでした。この日は僕の周囲の聴衆の集中もすばらしく、大植さんのマーラー世界に没入できました。大地の歌はそれほど沢山聴いていませんが、マイ・ベストの演奏でした。会場で偶然ぐすたふさんと会い、東京チーム一同、ぐすたふさんとともにアフターコンサートの楽しいひとときをすごさせていただきました。深謝です。
二日目(10日)は、歌をききたくて1階平土間、しかしさすがに端の方しかとれなくて、中ほどの右よりの席で聴きました。オケは中間楽章でアンサンブルがやや乱れましたが、小川さんの歌唱は前日に増す、すばらしいものでした。二日連続の大植さんのマーラーを充分に味わえ、幸せな体験でした。(どちらかを、と言われたら、僕としては席のことも含めて、初日の演奏により感銘を受けました。)

翌々日の12日は、N響で大地の歌を聴きました。指揮は、当初予定されていたコウトが怪我して、シナイスキーに変更されていました。コウトのマーラーを楽しみにしていたので残念でしたし、正直大植さんの大地の歌の余韻がありましたので、聴きに行かないほうが良いかも、などと思っていました。演奏会の前半は、10番の第一楽章。どちらかといえば柔らかな手触りの感じで、なかなか良い第一楽章でした。そして後半の大地の歌。親切に字幕があったので、わかりやすかったです。シナイスキーは、割合に淡々と振っていきますが、要所は程よくテンポを落として、悪くないです。そして特筆すべきは、マーンケさんというアルト。格調高く品のある声で、すばらしいです。世界にはいろいろな人がいるのだなぁとつくづく思いました。というわけでこの週は、夢のような、奇跡の大地の歌週間でした。

歌曲集:4月のキルヒシュラーガーのマーラー他のリサイタルが中止、11月のシュトゥッツマンのリサイタルも中止、となかなか機会がなかったですが、ゲルネ、ゲルハーエルの男声陣が充実のマーラーを聴かせてくれました。

ゲルネは、2007年に東京交響楽団と、「角笛」で強烈な歌唱を聴かせてくれました。今回は、シューマンの歌曲と1曲ずつ交代に歌うという、考えられたプログラムで、精緻な研ぎ澄まされた歌で、シューマンも、マーラーも、良かったです。ゲルハーエルは、盟友のピアニストフーバーとの、息のあった暖かい歌で、二日にわたってマーラーの歌を聴かせてくれました。フーバーさんのピアノがまた陰影に富んですばらしく、「トランペットが美しく鳴り響くところ」のトランペットなど、本当に美しかったです。初日はアンコールに「原光」。二日目は、大地の歌のピアノ伴奏による終楽章をメインにしたプログラム。解説も詳しくて、オケ版とピアノ伴奏版との歌詞の違う点なども書いてあって興味深いものでした。ゲルハーエルは、このピアノ版大地の歌を大事にしているということで、その気持ちがとても伝わってくる歌でした。この日はアンコールもなく、余韻をたたえて終わりました。

昨日NHK-FMで「2011年のマーラーを振り返る」という4時間半の特集番組をやってました。朝目覚めてラジオのスイッチをつけたら3番の第一楽章の夏の行進が流れてきたので、びっくりして目が覚めて、そのあとながらで聴きました。この番組の中で、交響曲を全曲流したのは3番だけでした。未曾有の災害にさいなまれた年、来年にも人々の苦しみとさまざまな難題が持ち越されてしまう年の最後に、マーラー特集で3番を流してくれたのは、3番の生命肯定性、希望につながる内容から、とてもふさわしい選曲だと思うし、きいていて、個人的にもややしんどい状況の中で、元気をもらった放送でした。来年は、より希望の見える状況のなかで、マーラーを聴ければ、と願います。






Last updated  2012.01.01 22:53:50
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忙しいのと、いろいろあって気持ちに余裕がないのとで、ブログを書けずに、もう年末を迎えてしまいました。今年のコンサートのまとめ、書けるだけ書いておこうと思います。まずはマーラー演奏会。

1番 4月19日 大植英次/大フィル (京都コンサートホール)
   8月24日 コバケン/読響   (サントリー)

3番 2月11日 チョン・ミョンフン/N響 (NHKホール)
   2月12日 同上
   4月24日 黒岩秀臣/名古屋ムジークフェライン管 (名古屋マーラー音楽祭,愛知県芸術劇場)
   6月17日 佐渡裕/兵庫芸術文化センター管&マーラー室内管/ヤング (兵庫県立芸術文化センター)
   6月18日 同上
   6月19日 同上
   7月24日 大野和士/京響   (京都コンサートホール)
   8月 6日 金子建志/千葉フィル (習志野文化ホール)
   9月 2日 インキネン/日フィル (サントリー)
   9月 3日 同上

4番 1月22日 金聖響/神奈川フィル (みなとみらい)
   2月13日 飯森範親/東響 (ミューザ川崎)
   4月22日 山田和樹/日フィル (サントリー)
   6月 7日 ハーディング/マーラー室内管/モイツァ・エルトマン(S) (オーチャード)
   7月28日 大植/大フィル (兵庫県立芸術文化センター)
   11月26日 準メルクル/N響 (NHKホール)

5番 2月19日 金聖響/神奈川フィル (みなとみらい)
   4月 2日 尾高忠明/読響 (東京文化会館)
   5月23日 ブロンスキー/読響 (サントリー)
   6月20日 ハーディング/新日フィル (すみだトリフォニー)

8番 12月3日 デュトワ/N響 (NHKホール)

9番 5月28日 金聖響/神奈川フィル (みなとみらい)

大地 11月 9日 大植英次/大フィル/小川明子(Mes),ジョン・ヴィラーズ(T) (シンフォニーホール)
   11月10日 大植英次/大フィル/小川明子(Mes),ジョン・ヴィラーズ(T) (シンフォニーホール)
   11月12日 シナイスキー/N響/クラウディア・マーンケ(A),ジョン・トレレーベン(T) (NHKホール)

歌曲集 10月26日 ゲルネ(Bar),シュマルツ(P) (シューマンとマーラーの歌曲) (東京オペラシティ)
    12月 5日 ゲルハーエル(Bar),フーバー(P) (さすらう若人、亡き子、角笛から) (王子ホール)
    12月 7日 ゲルハーエル(Bar),フーバー(P) (最新の7つの歌曲、大地の歌から) (王子ホール)

1番:今年は大植さんのマーラーは極力聴こうと思っていました。その第一弾が4月のこの巨人でした。震災と原発事故で、家族を関西に避難させようかと迷ったりした時期でした。コンサートにも行けるかどうか、こころもとなかったですが、幸いに聴くことができました。この演奏会、前半は小曽根さんとの共演によるモーツァルトのピアノ協奏曲で、ジャジーなのりが冴えていました。後半の巨人は、アゴーギグ変化がかなり大きくて、少々違和感を感ずるところもありましたが、第三楽章の中間部ほか、大植さんならではの歌が聴けて、なかなか良かったです。演奏が終わって、大植さんがマイクを持って登場し、朗読を始めました。「畑を耕そう」で終わるその朗読は、そう、キャンディードの一節でした!朗読のあと、キャンディードの一部が演奏されました。この時期精力的にチャリティコンサートを繰り返していた大植さんからの、熱いメッセージが、忘れられない演奏会となりました。コンサート後に、ぐすたふさんとも初めてお会いでき、貴重なひとときをすごしました。
8月のコバケンの巨人は、申し分ないコバケン節を堪能できました。コバケンの巨人を聴くのは2回目でした。今回も前回同様、曲の最後に金官群総立ちとなるパフォーマンスもあり、コバケン健在ぶりを確認できました。コバケンのマーラーは、本当にすばらしいです。このごろあまりやってくれない中で、貴重な体験でした。

3番:今年もまた、佐渡さんの最終日とインキネンというすばらしい演奏を聴けてありがたかったです。特にインキネンは本当にこれからが楽しみです。それから、2月のチョンミョンフン&N響公演では、二日目が終わってから楽屋に福田善亮氏のサインをもらいに言って、昨年の札幌に引き続いてお話ができたことも、個人的にとてもうれしいことでした。

あと記事にできませんでしたが、4月の名古屋マーラー音楽祭でのアマオケの3番も、オケの力量が非常に高く、充実した3番演奏でした。この時期はまだ僕の心的状況が普通でなく、あまりちゃんとした感想は書けませんが、指揮者が、楽章のアタッカを無視して完全な休止をいれたり、曲解釈が僕には疑問を感ずる点が少なからずありました。しかしともかくオケの頑張りがすばらしかったです。名古屋マーラー音楽祭、僕は今年結局3番しか聴けませんでした(10番全曲は是非聴きたかったのですが、風邪であえなくダウン。)が、アマオケ史に輝く大偉業だと思います。名古屋の皆様に大きな拍手を送りたいと思います。おみやげにセンスのいいマーラーの似顔絵のマグカップも買ってきて、大満足でした。名古屋マーラー音楽祭第二部、来年の8番は行きたいと思います。

アマオケの3番をもう一つ、8月に千葉フィルで聴きました。こだわりの金子建志さんが指揮をするというので非常に期待して聴きにいきました。第一楽章は巨大でがっちりとした感じがある演奏で、打楽器などぴしっと引き締まっていて、かなり良かったです。後続の楽章がやや疲れ気味だったかもしれません。第三楽章のポストホルンパートは、楽器もおそらく実際にポストホルンを使って、果敢に挑戦していました。傷はそれなりに多々ありましたが、チャレンジ精神を称えたいと思います。問題だったのは終楽章の最後近くの金管コラール。これ、旋律を吹く1番トランペットのパートを、舞台上のトランペット奏者は吹かず、なんと舞台裏から聞こえてきたのです!おそらくポストホルンパートを吹いた奏者が舞台裏で吹いたのだと思います。これ、当然金子さんのアイデアでしょうけれど、音の響き方として舞台上と舞台裏と一緒にごっちゃになって響いてしまい、すごく不自然で違和感がありました。ポストホルンを吹いた奏者が舞台上に戻ってきて舞台上で吹けばすむことですし、そのように演奏されることは良くみかけます。それをせず、あの大事な旋律が舞台裏から聞こえてくるようにしたというのは、マーラーの意図を無視した、大きな疑問です。こだわりの金子氏がやることですから、なにか根拠があるのかもしれませんが。。。







Last updated  2012.01.01 23:44:07
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2011.09.11
インキネン&日フィルのマーラー3番二日目(9月3日サントリーホール)です。

昨日と同様に、インキネンの棒は本当に魅力的です。きょうは僕も二日目で少し余裕を持って聴けて、昨日いつのまにか速くなったり遅くなったりと感じたところが、なるほどここで速く、ここで遅くなるんだ、ということがわかり、納得しながらほれぼれと聴いていく、という感じでした。

第一楽章が終わったあと、オケは初日にはしなかったチューニングをしました。初日の演奏でピッチが不安定になるところがあったのを踏まえて、きょうは万全を期したのでしょう。

第三楽章、今日の僕の席は1階平土間だったので、ポストホルンのときに開いたドアが良く見えました。昨日の友人の話どおり、2階客席LAブロックの後ろのドアでした。普通はドアを開けるだけですが、今回は、開いたドアの真ん中に何か大きめの物体が置かれています。ポストホルン奏者が指揮を見るためのテレビモニターなのか、あるいは単に金属板のようなものなのかは良くわかりませんが、この物体が存在することによって、ポストホルンの音が直接ホール内に入りにくくなり、より間接的に、遠くから響くような効果が生じていたかもしれません。僕の席にはほどよい距離感をもって、聞こえてきました。(ポストホルンが終わってドアが閉められるときに、この物体もドアの外にさっと運び出され消えていきました。)なお友人は、今日は丁度そのLAブロックで聴いていましたので、あとで様子を尋ねたら、さすがに非常な至近距離から聞こえてしまった、と言っていました(^^;)。

このポストホルンを、インキネンは昨日同様にじっくりと歌いまわしさせて、素敵です。その音色は、昨日よりは随分やわらかく、本来のポストホルン的に聞こえてきて、なかなか良かったです。

合唱の起立や独唱者の入場のタイミングは昨日とまったく同じ。今日も聴衆のエライことに、独唱者入場時に拍手が起こりませんでした。

第五楽章で、独唱者の着席するタイミングを、きのうは見逃しましたが、今日は自分の座席から良く見えたので、わかりました。自分の出番が終わってすぐにさっと座ってしまうのではなく、その後の音楽の流れを意識して、音楽の邪魔にならないタイミングで、ゆっくりそーっと座るという、とても感じの良い座り方でした。(昨年のヤンソンス&コンセルトヘボウのときのラーソンさんも、これと似たような、「心得た」素敵な座り方でしたっけ。)

合唱は、児童、女声とも、きょうもすばらしかったです。杉並児童合唱団は、見たところでは、男子は今日の出演者の中では小さな子が一人だけで、最後列の真ん中で歌っていました。貴重な男児としてこれからも頑張ってくださいね。

第四、第五、第六楽章のアタッカは、昨日と同様に静寂と緊張が保たれたすばらしいものでしたし、合唱団はやはり曲の最後まで立ちっぱなしでした。(まれに、座るはずだった合唱団が座るタイミングを逸してしまい、やむを得ず最後まで立ちっぱなしになってしまったというケースもなくはないので、今日の演奏でどうなるかを一応注意していましたが、うれしいことに最後まで立たせっぱなしでした。やはりインキネンは、明確な意図をもって「インキネン方式」を実行していたのでした。)

終楽章は、おそらく初日より相当に遅いテンポとなり、じっくりと演奏されました。本当にすばらしい演奏です。

そして今日も、充実した最後の主和音の残響が消えたあと、インキネンの棒が高い位置で止まっている間、ホールは完全な静寂に包まれました。このようなすばらしい場を、二日連続で経験できるなんて、なんとありがたいことでしょうか。

今日のオケの出来は、初日よりも細かいところがしっかり演奏され、さすがに二日目のメリットがいろいろ出ていました。昨日のような大事故はまったくなく、より完成度の高いパフォーマンスでした。昨日が日フィル120%の力を発揮したとすれば、今日は150%でしょうか。 

インキネンの演奏は二日とも基本方向は同じで、新鮮な感覚にあふれた、自然な流れで、柔にして剛の、魅力あふれるマーラーでした。昨日感じた「天性の新世代マーラー振り」という印象は、今日の演奏でますます強く確信しました。そのなかで両日の違いをあげると、インキネンは初日は、かなり自由にのびのびと演奏していたのに対して、二日目はより完璧なものを求めようと、初日に比べればやや慎重というか、丁寧に演奏したという感じです。それはたとえば終楽章のテンポの違いに、良く現れていました。

両日ともすばらしい演奏で、僕は大満足で大きな感銘を受けました。客観的にみれば、二日目のほうがオケの充実も上だったし、終楽章のじっくりとしたテンポの遅さも良かったし、二日目のほうがうまくいった演奏、といえるかと思います。でも僕は個人的には、初日の、初めてインキネンのマーラーに接して驚きつつ「良くわからないけどすごい!」とドキドキするような幸せを感じながら聴いた体験のすばらしさがあまりに強烈だったので、どちらかを選ぶとすれば初日をとります。

終演後、インキネンのサイン会に参列しました。たどたどしい英語で、とてもすばらしい3番でした、ありがとうございましたと言って握手を求めたら、快く握手してくれました。笑顔のさわやかな若い美青年、これから人気沸騰する可能性大とみました。

インキネンが、はたしてマーラーに強い愛着があるのかどうかは知りません。二日間の音楽を聴き、ステージ上のふるまいをみたりして、総合的な印象から勝手に推測すると、まったくの推測ですが、特にマーラーに強いこだわりや思い入れがあるというわけではないように感じます。もちろん自分と相性のいい音楽とは思っているでしょうが、特別な熱い思い入れというのではなく、自然体でさらっと、こういうすばらしい音楽を実現してしまうのかな、という気がします。どちらにせよ大したものです。

インキネン&日フィルのマーラー撰集、今後大注目です。次は来年4月に5番ということです。あとナクソスから出ているというインキネンのCD、シベリウス、ラウタヴァーラなどの交響曲も聴いてみたいと思います。

天性の新世代マーラー振りに、乾杯!








Last updated  2011.09.12 02:27:25
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2011.09.08
インキネン&日フィルのマーラー3番初日、その2(第四楽章以後)です。

第三楽章が終わったあと、インキネンは合唱団を起立させ、合唱団に照明が照らされました。このように第四楽章の始まる前にあらかじめ合唱団を立たせておくのは、これまでにも書いてきたとおり、第四楽章以後のアタッカをしっかり実行するためにはとても良い方法です。インキネンはうれしいことにこの方法を採用してくれたわけです。

合唱団の起立がおさまって雰囲気がかなり静まったあと、独唱者が入場してきて、指揮者のすぐ左前に立ちました。普通なら拍手が少々生じても無理からぬ入場方式です。しかもここまでの会場の雰囲気は、寝息が聞こえたり、不注意による小さなノイズが響いたりと、あまり聴衆の緊迫感が感じられなかったので、「いつもの定期演奏会としてのんびりと聴いている人も多々いるのだろう、拍手が起こっても仕方ないだろうな」とあきらめていました。しかししかし意外にも、拍手がまったく起こりません!思いがけずもうれしい、きちんと静寂が保たれるなかでの独唱者入場でした。インキネンの音楽の魅力がそうさせたのでしょうか。

第四楽章。歌い出しからしばらくはオケと独唱の音程が合わずヒヤリとしましたが、ほどなくあってきて、あとはしっかり聴かせてくれました。きょうの独唱者はインキネンの指名ということです。どちらかと言えば朗々とした歌いっぷりでした。コンミスのソロもそれとあわせてか、やや骨太の朗々系でした。僕としては、ここの歌はもう少しひそやかな雰囲気があったほうが好きですが、でもこれはこれで美しい第四楽章でした。

第四楽章の最後の長い音がやんで、短く完璧な静寂のあと、アタッカで第五楽章が始まりました。チューブラーベルが、明るく良く通る、いい音です。そしてそして、合唱が絶美!杉並児童合唱団も、栗友会の女声合唱も、発声が無理なく、透明感があり、とてもきれいな声です。合唱団自体がもちろん優秀なのだろうと思いますが、それにしても栗友会によるこの曲の女声合唱は何回も聴いているはずなのに、これほどきれいと思うことは、なかなかありません。思うに、インキネンの指示が良いのではないかと。女声合唱は60人の大人数だったので、人数を生かして、一人一人にはあまり大きな声を出させず、透明感を優先させたのではないか、と思いました。北欧は合唱のレベルが高いですから、もしかしてインキネンは合唱の指導にもたけているのかもしれない、そんなことも思わせる、素晴らしい合唱の響きでした。途中、独唱の最後の出番のところ(練習番号5)では音楽のテンポがぐっと落とされ、ここも聴き物でした。なお独唱者は自分の出番が終わったあと、楽章の途中で、僕が音楽に聞き惚れているうちにいつのまにか座っていました。充実した第五楽章でした。(あえて贅沢を言えば、チューブラーベルが高い位置に置かれていたら、言うことなしでした。)

そして第五楽章が静寂に消えていき、合唱団はそのまま立ったまま、またしても短くも完全な静寂ののち、アタッカで終楽章が始まりました。これぞ真のアタッカです!このところ第五楽章が終わったあと、合唱団を座らせてから終楽章を始める演奏が続いていました。それが絶対だめというわけではないけれど、今日のようなアタッカを体験すると、やっぱりこれが本当だと思います。

なお、第六楽章を聴きながら、合唱団をいつ座らせるのだろうかと思っていたら、結局最後まで立たせたままでした。これもインキネンの見識ですね。さまざまな指揮者が合唱団をいつ座らせるか、工夫をこらしています。これも前に書いてますが、僕のもっとも感心した方法は、シャイー&コンセルトヘボウの来日公演です。第五楽章の最後近くに、全合唱団の短い休み(3小節弱)があります。その僅かな休みを利用して合唱団を素早く座らせ、そのあと第五楽章最後までの11小節を、座ったまま歌わせる方式でした。これだと、そのあとに続くアタッカの静寂も保たれるし、第六楽章の途中で合唱団を座らせる必要もないので、音楽の邪魔になることがまったくありません。ちなみにシャイーも、第四楽章の始まる前にあらかじめ合唱団を立たせていました。シャイーはこういう工夫によって、第四・第五・第六楽章のアタッカを静寂と緊張に満ちたすばらしいものとしていました。これを個人的に「シャイー方式」と呼んでいました。今回のインキネンは、合唱の起立はシャイーと同じ第四楽章の始まる前というタイミングで、そして全曲の終わりまで立たせっぱなし、という逆転の発想でした。小さい子にとっては立ち続けるのがちょっと大変かもしれませんが、アタッカの静寂・緊張と音楽を最大限に尊重する意味では、シャイー方式と同様の、すばらしい方法だと思います。今後「インキネン方式」と呼ぼうと思います(^^)。

終楽章の音楽。これも本当に素晴らしかったです。基本テンポは普通かやや遅めといったところ。しなやかに美しく、そしてやはり気がつけばテンポが速くなっていたり、気がつけばゆっくりになっていて、緩急の変化は大きいのですが、それが曲想にぴったりと完璧にあっているので、ごく自然に響きます。途中の打楽器による雷鳴の轟きは充分な力強さと深さで胸に響きます。この終楽章の演奏、本当に、聴いていて幸せを感じます。

そして最後の難所、金管コラール。インキネンはここはぐっとテンポを落とし、コラールをゆったりと歌わせていきます。一番トランペットはもはや体力の限界を越えていて、へとへとになり苦しみながらも、なんとかここを吹ききりました。そしてそのまま、ゆったりと大きく音楽は進み、最後の主和音が充実して響き、全曲が結ばれました。

そのあとです。
最後の残響が鳴りやんでも拍手がまったく起こりません。完全な静寂がホールを包みました。やがてインキネンが指揮棒を降ろすまで、その静寂は続きました。
居合わせたすべての聴衆の心に、この音楽のすばらしさがしみこんでいたのでしょうか。そうでなければありえない、しばしの幸福な静寂のひとときでした。

細かなキズは多々ありました。すばらしかったホルン首席も、終楽章の途中で音が突然欠落するというまさかの大事故もありました。でも、音楽に完全に引き込まれていたので、僕としてはそれらのキズでいささかも感動が損なわれませんでした。もちろんオケの技術というか、音の美しさとしては、もっとハイレベルな3番はいろいろあります。直近で言うと、去年のヤンソンス&コンセルトヘボウしかり、今年の佐渡&PCA・MCOしかり。でも、インキネンに導かれ、100%、いや 120%の力を出した日フィルのひたむきな頑張りは、それらに勝るとも劣らない感動をあたえてくれました。技術はとても大事ですが、感動の本質は技術それ自体とは異なるところにある、ということを、今回も実感しました。

拍手が続き、オケ奏者を一人ずつ立たせるときになり、まず立たせたのはトロンボーン首席。この方、涙を拭う仕草をされてました。インキネンはかなり長いことこのトロンボーン奏者を一人で立たせて称えていましたので、もしかしていろいろな苦労があり→それを乗り越えての演奏→男泣き、という心境だったのだろうか、と想像を巡らせました。そのあと何人か立たせてから、ホルン首席が立ちました。アシストなしで、すばらしいホルンでした。トロンボーンをまねて涙を拭う仕草をして、ほほえましい笑いを誘っていました(^o^)。終楽章の痛恨の大事故を意識しての、涙ぬぐいだったのでしょう。やがて、舞台下手から登場したのはバルブつきのポストホルンを持った外人奏者でした。客演首席奏者のオッタビアーノ・クリストーフォリさんでしょうか。きょうの演奏を聴いたとき、音色的にはポストホルンではないだろうな、と思っていたので、楽器を見てちょっと驚きました。

ともかく、総力戦で力を出し切ってくださった日フィルの皆様、ありがとうございました。

そしてなんといってもインキネンのマーラーは素晴らしい!奇抜なことは全然やっていないし、変なリキミもない、自然で柔軟な、それでいて従来とは違う、みずみずしい魅力にあふれた説得力あるマーラーでした。この3番を聴く限り、ワタクシ独断と偏見で、インキネンは天性の新世代マーラー振り、と断定いたします!

今回、インキネンの若い感性が、これまでとは違う新しいマーラー音楽の魅力を拓いてくれている、そんなことを感じながら聴いていたら、そういえばかつてこの曲のサロネン&ロサンゼルスフィル盤(1997年録音)を聴いたときも、こういう感じがしたなぁ、と思い出しました。サロネン盤も、新しい感性で、3番の新しい魅力を描き出してくれていました。どちらも同じフィンランド人、何か共通するものがあるのかもしれません。

このところ3番の複数日公演で、初日の公演は「はずれ」ということが続いていたので、久しぶりに、「初日なのにすばらしい!」ということと、「この3番が明日もう一度聴ける!」という喜びにやや興奮しながら、帰路につきました。インキネンと日フィルと合唱団の皆様、ありがとう!また明日よろしく!!







Last updated  2011.09.09 00:57:28
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2011.09.07
インキネン&日フィルによるマーラー3番を聴きました。

日本フィルハーモニー交響楽団 第633回定期演奏会
9月2日、3日 サントリーホール

指揮:ピエタリ・インキネン
メゾ・ソプラノ:アンネリー・ペーボ
女声合唱:栗友会
児童合唱:杉並児童合唱団

インキネンは若いフィンランドの指揮者でヴァイオリン奏者でもあるそうです。2009年9月に日本フィル首席客演指揮者に就任し、マーラー撰集としてマーラーを取り上げ始めたところです。第1回は昨年12月の巨人。これは僕は聴きませんでした。第2回が今年4月に6番の予定でしたが、震災の影響でインキネンが来日不能となってしまい、山田和樹指揮によるマーラーの4番ほかに変更されました。したがって今回が、インキネンによるマーラー撰集の実質2回目で、僕が初めて耳にするインキネンのマーラーです。

どんなマーラーになるのでしょうか。まず初日(9月2日)から。

オケの弦楽器は通常配置で、下手から第一第二のヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバスです。ハープ2台は下手で、ハープの後ろにチューブラーベル。
また独唱者用の椅子は指揮者のすぐ左前に置かれていました。合唱団は普通にPブロック(オルガンと舞台の間の客席)。すなわちオーソドックスな配置です。

開演時間となり、オーケストラ団員の入場と一緒に合唱団も入場してきました。Pブロックの中央に3列で児童合唱30名が並び、女声合唱はその左右に、児童合唱をはさむように並ぶという、左右対称の配置となりました。女声合唱は総勢60人という大部隊です。(したがって高さでいうと児童合唱と女声合唱は同じ高さになりました。チューブラーベルは舞台上でしたし、インキネンは配置の高さについてはあまりこだわっていませんでした。しかし左右対称というのはなかなか見た目も良い配置です。)

オケでちょっと驚いたのは、ホルンがアシストなしの8人だったことです。

さてインキネンが入場し、演奏がはじまりました。
インキネンの指揮がすばらしい!

基本テンポはやや早めでしたが、緩急変化が、決して小さいものではなかったです。この緩急変化が、曲調に非常に良くマッチしていて絶妙で、自然なので、聴いていてテンポが変化してもすぐには気づかず、そのうちにあれっ、いつのまにか結構テンポが遅くなっている、とか、逆にいつのまにか結構速くなっている、とわかる、という感じなんです。これほど自然で絶妙な緩急変化は、そうそうありません。インキネンのマーラー、これはすごいぞ、と驚きながら聴き進んでいきました。

そしてオケが、初日にもかかわらず、実に良く鳴っています。特に管がいい。これが日フィル?(失礼ごめんなさい)とびっくりするほど、いい音です。特筆すべきはホルンで、日フィルのホルンがこれほど力強く鳴るのを、僕としては初めて聴きました。他の金管も木管も、輪郭がしっかりした、いい音でがんばっています。僕は日フィルはそれほど聴いていないので、良くはわかりませんが、昨年4月に聴いた上岡さんによるメンデルスゾーン5番のときも、今年4月の山田和樹さんによるマーラー4番のときも、僕の従来のイメージどおりの、きめの細やかさにやや欠ける音だったので、今日のこの音の良さは、きっとインキネンが引き出しているのだろうな、と思いました。

第一楽章が進んでいき、インキネンの棒はますます生き生きとしてきます。イキイキねん。柔にして剛。打楽器も、鳴らすところはがんがん鳴らしますが、ちっともうるさくなく、気持ちよいです。力強さ、スケール、うきうきする楽しさ、喜び、すべて十分に表現している感じです。奇抜なことは何もやっていないのに、あっけにとられるほど新鮮な音楽が次々に生まれ、進んでいきます。なんと素敵な夏の行進。

ホルン主題の再現の少し前、いろいな打楽器が同時平行でそれぞれが勝手にドンドンドンとかやっていくところ(練習番号51-52)あたりなども、若い感性で歯切れ良く元気良いだけでなく、非常に音楽的な魅力をもって進行していきます、もう本当に素晴らしい。

いつも書いているように、第一楽章は厳しさというか剛の方向の表現に魅力的な演奏は比較的多いですが、楽しさというか柔の方向の魅力を十分に引き出している演奏はかなり少ないです。コバケンや大植さんがその稀有な例ですが、きょうのインキネンはそれらに匹敵する、柔の魅力を感じます。剛と柔の両方の魅力が出ているという点では、もしかしたらこれまで聴いたなかで最高の第一楽章かもしれないです。(ついでに細かいところを書いておくと、シンバルは冒頭のホルン主題提示時は一人、再現時には二人でした。)

演奏に小さなキズはいろいろとあります。しかし日フィルのメンバーが全力でインキネンにこたえようとしているのが伝わってきますし、ここまで音楽が素晴らしいと、それらのキズが全く気になりません。

すこぶるフレッシュで魅力的な第一楽章が終わりました。次の第二楽章は、前にも書きましたがこの曲の中で、ある意味一番難しい楽章と思います。凡庸に演奏すると、実につまらない音楽になってしまいます。第一楽章が良くても、第二楽章はあれっ?という感じの演奏も少なくありません。果たしてインキネンは?

インキネンの第二楽章、これがまた歌心にあふれた、実にすばらしい演奏です。これほど美しくチャーミングな第二楽章は、そうは聴けません。第一楽章よりも一段と緩急の差が大きいのですが、その切り替わりが本当に自然で、やはり「気がつくとテンポが変化している」という感じで、魅力的です。うっとりとして聴き惚れていると、途中で思わず涙が出そうになったくらいでした。第二楽章が終わって、これはすごいマーラー演奏に立ち会っている、という高揚感が、さらに強まってきました。もし「これで今日の演奏終わりです」と言われたとしても満足して帰ってしまいそうな、すばらしさ。インキネンのマーラーは本物です!

第三楽章が始まりました。僕としては近頃基本テンポがやや早すぎる演奏が多いように感じていましたが、インキネンのテンポは、本当に程よく、音楽に心地よくひたりながら進みます。ポストホルンは、僕の席(LBブロック)からはどこのドアが開閉したのか見えなかったですが、音は舞台左奥の方から聞こえてきました。あとで友人に聞いたところ、舞台上のドアでなく、2階のLAブロックの客席の後ろのドアが開いて、そこから聞こえてきたということでした。僕の席からは、程よい距離感をもって聞こえてきます。そして歌い回しも良かったです。すなわちインキネンはここの歌を奏者任せにせず、大きな仕草で丁寧な指示を奏者に出し、伸びやかな歌を歌わせていきました。大植さんが、この部分で同じように指揮していたのが思い出されます。今回のポストホルンは、目立つミスなく良かったですが、惜しむらくは音色でした。やや細身の音色で、これにもうひとつの魅力があれば、さらに良かったです。

第三楽章最後近くの、「神の顕現」の楽節。ここも実に素晴らしかったです。

長くなりすぎたので、この続き(第四楽章以後)は次の記事にわけて書きます。







Last updated  2011.09.08 04:02:41
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2011.07.30

マーラー3番を聴きに、京都にやってきました。今回は大野さんの振る京響です。
京響を聴くのは今回が初めて、どんな音になるのか楽しみでした。

熱い日差しの中、会場の京都コンサートホールに到着しました。

京都コンサートホール

開場までのひとときを、併設のレストランでカフェオレを飲んで過ごしました。

カフェオレ

このレストランには広上さんのスペシャルメニューもありました。次の機会には食べてみたいです。
さて、時間です。ホールに乗り込みましょう。

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京都市交響楽団第548回定期演奏会
7月24日 京都コンサートホール

指揮:大野和士
独唱:手嶋眞佐子(メゾソプラノ)
合唱:京都市民合唱団(女声)
児童合唱:京都市少年合唱団
管弦楽:京都市交響楽団

マーラー 交響曲第3番
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独唱は、予定されていたアルトの小山由美さん(ドイツ在住)が体調不良で来日不能になったため、ピンチヒッターとして手嶋さんが登場ということでした。手嶋さん、昨年の札響のマーラー3番でも歌ってました。

オケの配置は普通で、弦は下手から順に第一第二のヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバス。合唱団とおぼしきスペースは、舞台上ではなくて、舞台とオルガンの間の数列の座席のうち後方の2列です。なお前方の3列(2列だったかも)には普通にお客さんが着席していたのが、珍しかったです。そしてチューブラーベルが、舞台上ではなく、合唱団席の下手側の端っこ、すなわちマーラーの指示通りの高い位置にセットされていたので、期待が高まりました。

オケが入場し、演奏が始まりました。速めのテンポで進んでいきます。大野さんの指揮による第一楽章、きっちりとしていますが、僕としてはもっと歌うようなふくらみが欲しい感じでした。オケは、第一楽章から良く鳴っていました。とくにホルン隊はいい音色で力もあり、立派でした。

楽章半ば過ぎて、ホルンの主題が再現される直前の舞台裏の小太鼓は、舞台下手側のドアがあけられて、その向こうから聞こえてきました。僕の席は1階3列目のやや左寄り、つまりあけられたドアのかなり近くだったにもかかわらず、この小太鼓は近すぎないで程よい距離感を持って響いてきたので、とても良かったです。

途中ユニークだったのは、トロンボーンのモノローグが終わって、夏の行進が小さく始まってしばらく続いていくところ(練習番号21~25と、63~65)でした。ここは弦の各パートがそれぞれ半分の奏者で弾くように指示されていて、普通は各プルトのオモテないしはウラの一人が弾くのだと思いますが、今回の大野さんは、後ろ半分のプルト、すなわち指揮者から遠いところに位置する奏者で弾かせていました。しかしこれ、指揮者から遠く離れた奏者たちが弾いたため、合わせにくかったこともあってか、アンサンブルの縦の線が不ぞろいになりかけて、はらはらしました。それと、この方法だと指揮者を中心に半径何メートルかの音の出ない空間があり、その外から音が出てくるので、僕のように指揮者のかなり近くの席で聴いていた者にとっては、何か音世界が空洞化したように聞こえました。夏の行進の喜びが徐々に盛り上がってくるこの部分でのこのような空洞化は、少なくとも僕の席では違和感があって、この方法は疑問に感じました。離れた席で聴いたら、また違った印象なのかもしれませんが。

第二楽章が終わったところで合唱団が早くも入場してきました。舞台とオルガンの間の後方2列に、下手側三分の一に児童合唱、中央から上手側三分の二に女声合唱団が並び、着席しました。児童合唱のすぐ向かって左隣に鐘があるという、見るだけでうれしい配置です。児童合唱団の名前は「京都市少年合唱団」なので、男児だけなのかもと想像しましたが、男女比は半々くらいでした。(でも男児がほとんどいない場合も多いので、これだけ男児がいるのは立派です。)さて合唱団が入場し終わって静まってから、独唱者がしずしずと入場してきて、拍手が自然に湧き起こりました。独唱者は指揮者のすぐ左側に置いてある椅子に座りました。

第三楽章のポストホルンは、舞台の右横上方、2階か3階の裏の方から聞こえてきました。いい音色、いい音程で、それが程良い距離感を持って遠くから響いてきて、すばらしいです。また、最初のうちはやや遠くから響いていたのが、最後のほうはさらに遠くから聞こえてくるように小さく響かせていたのも、とっても感心しました。マーラーはポストホルンの距離についてもスコアに細かく指示していて、遠くから始まって、ちょっと近づいて、また遠ざかって終わるようになっていますが、この指定をきちんと実行しようとする指揮者は少ないです。僕の体験したなかでは、今年2月のチョンミュンフン&N響の公演くらいです。(チョンミュンフン&N響の二日目の記事に書くつもりでしたが、今のところ書かずじまいになってしまっています。)あともう一つ、2006年に準メルクルが国立音大を振ったサントリー公演でも、距離感に関する準メルクルの工夫が見られましたが、効果としては不十分でした。)

第四楽章が始まる前に、大野さんは合唱団をあらかじめ起立させました。このあたりのこだわりにも感心しました。第四楽章が終わってから合唱団を立たせる普通の方法と比べると、この用意周到な方法は第四と第五楽章のアタッカの緊張を維持するのに非常に効果的ですが、2002年のシャイー(コンセルトヘボウ)など、ごく僅かな指揮者しか実行しません。

第四楽章の最後の長いチェロとコントラバスの弱音が消えないまま、文字通りアタッカで、第五楽章が始まり、それとともに合唱団にも照明が明るく照らされました。いい入り方です。しかし、肝心のチューブラーベルの音がとても弱々しく引っ込んでいて、あまり聞こえてきませんでした。折角高さにこだわった良い配置だったのに、このベルの音は非常に残念でした。

第五楽章が終わると、すぐに合唱団と独唱者は座り、緊張感が保たれたまま、第六楽章が始まりました。この4,5,6楽章のつながりを大事にする点も、大野さんは充分に配慮していて良かったです。

第六楽章は、はやめのテンポに始まり、最後のほうは少しテンポを落としてじっくりと歌うという流れでした。

曲の最後の音が、まだ物理的な残響が残っているうちに拍手が始まりました。こういった非常に早いタイミングでのフライング拍手(super early flying)を聞くことは最近はほとんどなかったので、久しぶりでした(苦笑)。(フライング拍手についてはこちらの記事「余韻考(3)」をご参照ください。)

拍手が続く中、オケのメンバーを個別に立たせるときになり、最初に立たせたのはトロンボーン、これはまぁお作法ですね。そのあとトランペット、そして木管の各セクションを立たせたあと、ようやくホルンの番になりました。今日のホルン隊は本当にすばらしかったです。そして、そのしばらく後に、2階の右手サイド奥の客席に、トランペットとおぼしき楽器を持った奏者が登場しました。ポストホルン氏(ぐすたふさんのブログによると早坂氏とのことです)の登場です。このポストホルンも、音色、音程、距離感、すばらしかったです。

なお最後まで合唱指導者が舞台に出てこなかったのは異例でした。そういえばプログラムには、合唱団のメンバーの名前は出ていますが、指導者の名前が出ていないのも珍しいことです。

ところでチェロとヴィオラにどうも見覚えのあるお顔が見えていたので、終わってからプログラムのメンバー表を見たら、チェロの客演首席が神奈川フィルの首席山本裕康さん、ヴィオラの客演首席が神奈川フィルの首席柳瀬省太さんということでした。お二方、京響に参加されてるんですね。

以上、散漫な文章になってしまいましたが、オケのことをまとめると、1日だけの公演で、ここまで充実した音を出した京響は、立派の一言でした。

さて大野さん。大野さんのマーラー3番は、1998年に東京フィルを振ったとき聴きました。このときの細部は覚えてないですが、いささかがっかりしたことを覚えています。今回聴いて感じたのは、大野さんの3番は、全体の設計を優先しているように思いました。この長い音楽を弛緩するところがなくまとめ、そして最後の盛り上がりまで全体の構成をきちんと設計して、それをしっかり音作りしているという感じです。それはもちろん良い点でもあります。その一方、細部の、たとえば管の短いひと吹きやハープの一音などが、あっさりと流れてしまうところが多々あります。そこが僕にはとっても物足りないです。僕はもっと細部のひとつひとつの意味が次々と現れてきて、それがかみ合ったりぶつかりあったりしながら全体が積み重なって出来ていくようなマーラーが好きです。チューブラーベルやハープなど、もっともっと音にこだわってもらいたいと思いました。その意味で僕の好きなマーラーではありませんでした。

でも、全然つまらなかったと言うことではありません。聴いていて、しっかりした構成感というか、整理された見通しの良い音楽の流れの中に浸る心地よさを感じました。ところどころ、あぁいい音楽だなぁ、と感動するときもありました。こういうマーラーもありなのでしょう。それに大野さんの、後半楽章のアタッカにこだわったことや、距離感に関するセンスの良さには、感心しました。

いずれ広上さんの振る京響の3番を聴いてみたいなぁと思いながら、帰路に着きました。







Last updated  2011.07.31 00:31:35
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2011.06.30

二日目から一夜あけた6月19日、三日連続3番公演最終日のレポートです。

開場前、きょうも昨日と同じ場所でコーヒーを飲んでいると、やはり今日も来ました来ました、先生方に引率された男女数十人の中学生くらいとおぼしき生徒たち。目の前を通り過ぎるとき、生徒の人数を数えてみたら、ちょうど50人でした。児童合唱の生徒たちですね、3日連続お疲れ様です、きょうも頑張ってください。

今日も大入り満員の会場で、佐渡さんのトークが始まりました。昨日に続いて六甲おろしの話をしようと思っていたらしいのですが、うっかりそれをし忘れてしまったようでした。今日は「没後100年」は順調に出ましたが、連日何かと突っ込みどころの多いトークとなっていました(笑)。

僕の今日の席は1階のかなり前寄りの、ほぼセンターでした。自分としても初めての、3日連続3番体験が、いよいよ始まりました。

第一楽章から、きょうはオケの音がしっかり噛み合い、まとまって、すばらしいです!席の違いもあるので厳密な比較はできないですが、僕の感覚としては昨日とは全く違う次元の、圧倒的なパフォーマンスです。

金管部隊は、なんといっても特筆すべきはホルン隊の威力です。初日から高いレヴェルだった強力ホルン隊、きょうはますますパワーと安定性が増し、圧倒的なパフォーマンスです。これは凄い。ホルンを筆頭に、他の金管群もすばらしい。柔らかい音色が魅力の1番トランペット(おそらくMCO奏者)も、3日目が一番良かったですが、それでもやはり突き抜ける輝きが欲しい場所でも遠慮がちに聴こえたのが、唯一の、物足りなさを感じたところでした。

木管も、昨日までは奏者ひとりひとりはいい音を出していても、何かそれがしっくり他の音と合わず、微妙な違和感を感ずることが多かったのですが、きょうはそれがなく、オケ全体の音の一部としてふさわしく響いています。

弦も、ますます好調。僕のきょうの席は、佐渡さんとチェロやヴィオラの第一プルトが、かなり間近にかぶりつき的に見れる席でしたので、初日・二日目とも好印象だったチェロとヴィオラの演奏を間近で見聞きできて、ますますその魅力に惹かれました。第一楽章で佐渡さんが、弦へのキューをかなり多く出していることがあらためてわかりました。特にヴィオラやチェロへの弱音部分で、えぐりこむような強いキューが印象的でした。それにこたえるヴィオラやチェロのジャワジャワっとした弱音が、シャープで鮮やかで、実に素晴らしいです。

なにしろ第一楽章の持つ多面的な魅力を、岩山のごとき峻厳さも、夏の行進の歓びも、弱音部でのえぐりこむ緊張感も、十分なパワーとスケールで、表してくれたのは驚異的です。三日目にきてついに、佐渡さんと二つのオケがしっかりひとつになった音楽が鳴っています。これを、これを待っていました!

第三楽章のポストホルン、僕の席はかなり前寄りで、舞台下手奥のドアがあいたとき、ドアの上部が開いたのがわずかに見えるという位置でした。それが幸いしたのか、初日ほどには近くから聴こえず、二日目と同じように、まずまずの距離感を持って響いてきました。佐渡さんは今日もとても遅いテンポでポストホルンを吹かせましたが、頑張っていい演奏でした。なお、このポストホルンの伴奏部分で、二日目の演奏では名手の1番クラリネットが、途中の入りのタイミングを間違えて、かなり音がずれてしまったという、ご本人にとっても悔しいであろうアクシデントがありましたが、きょうは完璧でした。

第三楽章が終わり、合唱団、ついでヤングさんの入場です。今日はヤングさんは、初日、二日目の青緑色のドレスでなくて、漆黒のドレスでの登場です。この歌が本当にすばらしかったです。歌いだしの絶妙な弱音、そして「O Mensch!」のschとか、「Gib Acht!」のchtとか「Ich schlief!」のfとかの語尾の子音が巧みに強調され、そのたたずまいに深い余韻があり、引き込まれて聴きました。名唱です。昨日までの青緑のドレスも美しい色でしたが、夜の闇の深さを歌うこの楽章には、黒いドレスがとても似合うと思いました。なお第四楽章の半ばで、ホルンの本数が増えて独唱者の伴奏の和音を奏でるところ、二日目の演奏ではホルンの音がちょっとばらけて不揃いでまとまらなかったのですが、きょうはここも完璧にクリアしたホルン隊でした。

第五楽章への入り方は、佐渡さんは第四楽章が終わってから合唱団に起立の指示を出し、譜面をめくって、振り始めるという方式でした。それから終楽章への入り方も、第五楽章が終わってから独唱者が座り合唱団を座らせてから振り始めるというやり方でした。どちらも、二日目までと基本的には同じ方式です。二日目までは、間合いが間合いとして感じられ、各楽章が別個のものに途切れ途切れになった感じがしました。しかし今日は、間合いそのものがおそらく二日目までよりも短かったように思いますし、間合い自体に緊張感が保たれていて、アタッカに近い雰囲気となっていました。これならば、興をそがれることなく、4,5,6楽章が一続きの音楽として感じとれます。

そして終楽章。あぁ三日目にして、ついにミューズの神は降りてきてくれました。非常にゆっくりとしたテンポ、フレーズの終わりから次のフレーズにはいるところの粘り。CDに聴くバーンスタインの演奏が想い起こされます。そしてオケの奏でる音の美しさ。節目節目で出てくるホルン隊の強奏の、なんと力強く、なんと神々しい響き!PAC+MCO+ジョナサン・ハミル氏による終楽章のホルンの響き、忘れられないものとなりました。

最後近くの金管コラールの1番トランペット、二日目は惜しくもはずした最高音も、きょうはきっちりと決まりました。

最後のティンパニの大いなる歩みのところ、悠然とした歩みによるスケール感が、すばらしいです。この部分、チェロとコントラバスもティンパニと同じ音程、音型で主音属音を繰り返しますね。今日初めて気がつきましたが、この部分でチェロの人たちが、指揮者ではなく、ティンパニにあわせるべく、右を向いてティンパニを見ながら弾いていました。(コントラバスは僕の席からは視認できず。)ただしチェロパート全員ではなく、首席をふくめておよそ半数の奏者が、そうしていました。おそらくMCOの奏者だろうと想像します。なるほど、こういうふうにしてあわせるやり方もあるんですね!充実した主和音の響きに浸りながら、このシーンを眺めていたひととき、僕にとって忘れられない幸せなひとときとなりました。

ティンパニの最後の一打ち、二人のティンパニ奏者の打撃が、二日目は微妙にずれてしまいまいたが、今日はびしっとそろって、画竜点睛の一打ちが決まりました。

きょうは本当に何もかもが決まった、ミューズの神に祝福された演奏でした。

終わった後、ポストホルンを吹いたPACの赤堀さんが立ったとき、持っていたのは、ポストホルンにしては随分大きめで、ちょっとしたホルンくらいの大きさがあるかもしれない楽器でした。やはりバルブつきのポストホルンなのでしょうか。だとすれば三日ともこの楽器を使って吹かれたということなのでしょう。初日の音色からはポストホルンは使っていないだろうと思ったのですが、僕の耳はやはりあてになりません。ともかく三日間、堅実で安定したポストホルンを聴かせていただきました。

3番3本勝負、三日目は文句なしの満塁ホームラン。

またひとつ、幸せな3番体験ができました。佐渡さん、PACとMCOの方々、ヤングさん、合唱の皆さん、すばらしき3番をありがとうございました。







Last updated  2011.06.30 21:19:14
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2011.06.29

初日から一夜あけた6月18日、二日目の演奏会のレポートです。

きょうも開場前に館内の喫茶でコーヒーを飲んでいると、中学生くらいの男女数十人が大人に引率されて目の前を通り過ぎていきます。昨日見た光景とそっくりです。3番を歌う児童合唱団かと思われます。

今日の僕の席は、2階左サイドの中程です。昨日と逆サイドで、昨日より舞台から遠い席でした。

開演前、佐渡さんが舞台に出てくると、拍手の始まりに混ざって、客席から「今回はおめでとうございます!」と祝福の掛け声があがりました。佐渡さんも嬉しそうで、きのうより少々くだけた感じでベルリンフィルを振った感激に始まるトークをされました。お話の内容は昨日とほぼ同じでしたが、昨日と違うのは、「昨日サイン会で、ファンの方から、マーラー3番は六甲おろしに影響を与えているのですか、と言われて、考えたことがなかったのでびっくりした」で会場は爆笑。また途中、「マーラーは今年没後100年でして、、、あれっ、200周年だったかな?」にはずっこけました。地元で愛されリラックスしているマエストロの、愛嬌あるトークでした。

六甲おろし、あんまり知らなかったので後日YouTubeで聴いてみましたが、メロディーはマーラー3番とあんまり似ていないと思いました。第一楽章の元気な行進のイメージか?そのファンの方がどのような意味合いでおっしゃったのか、興味深いところです(^^;)。

さて演奏は、昨日よりは断然音がまとまってきています!弦はきょうも好調で、チェロやヴィオラの現代的でシャープな音色が斬新でいい感じです。木管は、きのう緊張が感じられた1番オーボエ(PACの奏者)も、きのうよりしなやかな音で、調子をあげてきています。きのう活躍が目立っていた1番クラリネット(MCOの奏者オリヴィエ・パテーさん)は、今日も良くて、木管セクションを引っ張るような存在感があります。ホルン隊はきょうも力強く、かなりのハイレベルです。惜しむらくは1番トランペット(おそらくMCOの奏者)が、初日と同様に、いつでも弱くやわらかい音色で吹くことです。そういう曲想のところでは魅力的ですが、しっかりとした音を出してほしいところでもそのままの音で、引っ込んだまま前にでてこないので、もどかしく感じました。

第三楽章のポストホルンは、僕の今日の席が左サイドで、舞台下手の開いたドアが見えなくて、間接音だけで聞こえてきた関係上か、昨日よりも遠くから柔らかく響いてきて、なかなか良かったです。

なお初日で書き落としましたが、第三楽章が終わってから、楽章の間合いで合唱団が入場してくるときに、ポストホルンを吹いたと思われる奏者(PACの赤堀さん)が入場してきて、1番トランペットの向かって右隣に座りました。もしかして後半の楽章の演奏に参加し、終楽章のコラールなどの重要なところを、それまでの1番奏者と代わって吹くのだろうかと思って注意して見ていましたが、最後までアシスト的な参加だけでした。第一楽章から1番トランペットを吹いていた奏者が、最後まで1番のパートを吹いていました。これは二日目も同じでした。

独唱のヤングさんは、きのうと同じ青緑のドレスで、歌いだしの弱音がやはりとても美しく、引き込まれました。

終楽章は、やはり相当ゆっくりとしたテンポで、ゆったりと演奏されました。きょう二日目の演奏は、全体として、初日より断然音がまとまってきて、いい音楽になってきました。初日よりはずいぶん良かったし、それなりに感動もしました。しかし僕としては、いまひとつ充分に音楽に浸ることができず、やはりある種のもの足りなさを感じた演奏会でした。

昨日も今日も、終演後にオケの奏者を一人ずつ立たせるところで、佐渡さんが最初に立たせたのはもちろん1番トロンボーンでした。次に1番トランペットが立ち、その次にポストホルンを吹いたPACの赤堀さんが立ちました。赤堀さんは、昨日立ったときは特にポストホルンらしい楽器は持っていなかったですが、今日は、ポストホルンらしい楽器、それもバルブ付きと思われる楽器(遠目なのではっきりとは確認できませんでしたがバルブ付きに見えました)をもって立たれました!バルブ付きの楽器ということは、この楽器で吹いたのでしょうか。音色的には良くわからなかったのですが(我ながら頼りない耳)、ポストホルンを用いてあそこまでしっかり吹いたのだったら素晴らしいと思いました。

独断と偏見による3番3本勝負、初日が凡打とすれば、二日目は二塁打という印象でした。

明日はいよいよ最終日、どういう音楽になるのでしょうか。昨日よりは、やや明るい見通しが見えてきたような、そんな気分で、ホールをあとにしました。

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付録:各パートのトップ奏者の所属オケ

初日の記事で書いたように、PACとMCOの参加奏者は47人ずつと、ちょうど同数です。では各パートのトップ奏者などはどうなっているのだろうと興味がわきました。そこで二日目の演奏会に臨む前に、ネットでPACとMCOのメンバー紹介ページの写真を見ておきました。プログラムの記載およびネットの写真、そして実際の舞台を見て判断した結果を、わかった範囲で書いておきます。(間違っているかもしれません、その際はご存知のかたご指摘いただければ、大変ありがたいです。)

コンマス:PAC(四方恭子さん)
2nd ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス: いずれもMCO

フルート、クラリネット、ファゴット :いずれもMCO
オーボエ:PAC

トランペット、ホルン、トロンボーン :いずれもMCO
ポストホルン: PAC(赤堀裕之史さん)

ティンパニー:MCO
ハープ:PAC

すなわちPAC奏者はコンマス、ポストホルンを含めて4人でした。かたやMCO奏者は11人で、トップ奏者でみると断然MCO奏者が多い編成でした。







Last updated  2011.06.29 20:34:33
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2011.06.28

佐渡さんのマーラー3番を聴きに、兵庫県立芸術文化センターを初めて訪れました。

第44回兵庫芸術文化センター管弦楽団定期演奏会
6月17,18,19日
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

指揮:佐渡裕
メゾソプラノ独唱:ミシェル・デ・ヤング
女声合唱:オープニング記念第9合唱団
児童合唱:大阪すみよし少年少女合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団(以下PAC) & マーラー室内管弦楽団(以下MCO)

これまで佐渡さんの音楽を聴いたのは去年のキャンディードの東京公演だけで、マーラーは初めてです。また実力オケMCOとの合同演奏というのも、非常に楽しみでした。そして3日連続で3番を聴くというのも、3番中毒の自分としても未体験です。果たしてどんなことになるのでしょうか。

17日金曜日、会場の兵庫県立文化センターに多少早い時刻にやってきました。

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エントランスに向かう通路には、佐渡さんののぼりが立ち並び、「佐渡城」にやってきたという実感をいだきます。

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館内に足を踏み入れると、星々の輝きが想起されるような天井が、素敵です。まだ人のまばらな館内は、シンプルで洗練されたデザインの空間で、古楽の展示コーナーもあり、チェンバロによるゴルトベルグ変奏曲の映像と音声が流れていたりして、美術館風の落ち着いた佇まいです。

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まだ閉まっている大ホール入り口には、本日の演奏会のチラシ(普通の小さいチラシ!)が掲示されています。これもなかなかお洒落です。

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ホール掲示板には、「本日の公演のチケットは全席完売です」と貼り出されてありました。金曜日の15時開演の公演で完売ですから、土日の公演は当然満席でしょう。三日連続の3番公演を行うこと自体、チケットが売れる見込みがあるということですから、すごいことですし、それが実際に完売になってしまうというのは、すごいものです。

館内の喫茶店でコーヒーを飲みながら、ゆったりと開場を待っていると、中学生くらいの男女生徒数十名が引率の大人とともにぞろぞろと歩いてきて、館内に入っていきました。児童合唱団かもしれませんが、全く関係のない団体かもしれません。

やがて多くの人々が集まってきて、さきほどまでの閑静な雰囲気から一転、コンサートの雰囲気が盛り上がってきました。開場となり、ホールにはいりました。

プログラムには親切に、詳細なメンバー表がのっていました。演奏者107人のうちMCOのメンバーが総計47にものぼります。内訳は弦が60人中28人、木管が17人中8人、金管が19人中9人、打楽器とハープが10人中2人です。一方PACのメンバーは、コンマスの四方恭子さんを含めて、コアメンバー、レジデント・プレイヤー、アフィリエイト・プレイヤー、アソシエイト・プレイヤー(それぞれがどのように違うのかは良く知 りません)が、あわせて47名で、MCOと丁度同人数でした。これで合計94名。残りの13人はエキストラ奏者11人とスペシャル奏者(賛助出演のような ものと思われます)2人でした。スペシャル奏者のうち一人は、東京交響楽団の主席ホルン奏者ジョナサン・ハミル氏という、なんとも豪華なメンバーです。

会場のKOBELCO大ホールは、オペラ向けに馬蹄形の造りです。落ち着いた茶色の色調で、天井の照明はエントランスと同じで、星々が輝く夜空を見上げるよ うなイメージで、素敵な雰囲気です。ホールに早めに入ったので、すいているうちに、あちこちの席に座ってみました。サイドの客席は舞台方向に向けてかなり 斜めにセットされているので、舞台が見やすいですし、1階席も、平土間ではなく、列による段差がきちんとついていて1列目より2列目、2列目より3列目と 高くなっていくので、どの列でも舞台が見やすくできています。

客席は4階からなる構造ですが、1階のサイド席はほぼ2階相当の高さがあります。(4階だと実質5階相当で、かなり高いです。)1階サイドの前方は、オケのすぐそばになり、かぶりつきの雰囲気があります。

初日の僕の席は、2階サイドの前方寄り。普通の会場だと3階くらいの高さがあり、予想していたよりも舞台から遠くに位置していました。

オケの配置はごく普通(弦は対抗配置でなく通常配置)で、ティンパニ2セットを中央にして打楽器群が横一列にずらっと並べてあります。肝心のチューブラーベルは、打楽器の列の一番右側、すなわち舞台上手に、普通の高さに設置されています。合唱団席もごく普通に、舞台奥に、5列の雛壇が用意されています。独唱者用の椅子は、これも普通に指揮者のすぐ左側に席が用意されています。(なぜか指揮者のすぐ右側にも椅子がひとつ用意されていて、この目的は不明です。)

開演前、佐渡さんが舞台に出てきて、ベルリンフィルを振った凱旋報告と、マーラー室内管やヤングさんとともに演奏できることの感謝のお話しと、3番の簡単な曲紹介がありました。

オケが入場してきました。僕の席からはホルンが良く見えます。スペシャル奏者のうちの一人、スキンヘッドがおなじみの東京交響楽団の主席ホルン奏者ジョナサン・ハミル氏は、3番ホルンに位置しました。いよいよ演奏が始まりました。ホルンの主題が、8分音符をちょっと粘って力強く、堂々とした良い始まりです。 良く響くホールです。響きながらも、各声部の分離が明瞭に聴きとれるので、オケものにもオペラにもどちらにもいいように考えられているホールだなと思いま した。

第一楽章で、チェロやヴィオラが弱音器をつけて弾くところの発音が、ジャワっという感じの尖った音作りが強調されていて、現代的で新鮮でした。木管は、1番クラリネットを筆頭に、きつい音から柔らかな音まで、とても表現の幅のあるユニークな音が多く、耳新しさがありました。これが佐渡さんの指示なのか、あるいはMCO奏者の自発的な表現なのかは、良くわかりません。金管は、ホルンやトロンボーンはまずまずの響きでしたが、1番トランペットが、弱くやわらかく吹こうとしすぎて、しっかり出すべきところでも音に輝きと芯がなく、小さなミスも多く、不調でした。

こまかな話ですが第一楽章のシンバルは、冒頭のホルン主題部分も、それが再現される部分も一人という“シンバル奏者節約版”でした。折角合同オケでやるのですから節 約しないで欲しかったです。それからホルン主題再現の直前の舞台裏の小太鼓、これは舞台上手のドアをあけてそのすぐそばで叩いているようで、巨大で強烈な 音で距離感がまったくなく、舞台裏の意味がないなと思いました。

弦はいい音を出しているし、オケの各奏者は面白い表現をしています。しか しオケ全体として、各パートの音が、何か噛みあわず、まとまらず、ちぐはぐな感じが否めません。聴いていて疲れる感じの音です。おそらくまだ佐渡さんと二つのオケがあわせた練習時間が、十分ではないのでしょう。このまとまらない印象は、後続の楽章になっても同じでした。

第三楽章のポストホルンは、舞台下手の奥のドアが開き、その奥で吹かれました。これも音が近すぎて、距離感が感じられなかったのが残念でした。(ただしこれは僕の席が右サイドの前寄りで、開いたドアがま正面に良く見える位置だったことも関係していたことと思います。2、3日目は違う席で聴き、そこそこの距離感が感じられました。)音色から、使用楽器はポストホルンではなくてトランペット系かな、と思いましたが、良くわかりませんでした。

佐渡さんはポストホルンのパート、特に後半部分をかなりゆっくりとしたテンポで歌わせていたので、吹く方は大変だったろうと思いますが、ほとんどミスなく、立派な演奏でした。

第三楽章が終わって、合唱団が入場してきました。児童合唱と女性合唱が前後に分かれて並ぶ通常の配置ではなく、両者が左右にわかれ、児童合唱は上手側の半分に、女声合唱は下手側の半分に位置し、着席しました。合唱団の入場が終わり、会場がほぼ完全に静まってから、独唱者が入場してきました。当然のように盛大な拍手が沸き起こり、佐渡さんも片手で指揮台の背中のバーを軽く叩いて歌手を迎えます。青緑の美しい色のドレスをまとったヤングさんは指揮者のすぐ左手に立ち、軽くお辞儀もされました。拍手が起こることを当然の前提とした登場方式でした。

独唱の始まり「O Mensch!」の冒頭の長く伸ばす「O」が、デリカシーある絶妙な弱音で、思わず息をのむような美しさがありました。

第四楽章が終わったあと、佐渡さんは合唱団を立たせ、合唱団が体勢をとるまでの間合を少々とって、指揮台の譜面をめくって、第五楽章を開始しました。わずかな間合いではありましたが、アタッカとは言えない方式でした。また第五楽章が終わったときは、独唱者は自発的に座り、佐渡さんは独唱者と合唱団に指示を出して座らせました。そして両手をあげたまま、舞台上の雰囲気が静まるのを待ち、その後に第六楽章を開始しました。すなわちこれも、アタッカとは言えない方式でした。

ゆっくりめの終楽章で、悪くはなかったですが、なにしろオケの音がまとまりきらないまま、聴いていて音楽に入り込めないままに、曲が終わってしまいました。初日が終わって、正直マーラー室内管が半分近く参加しての演奏としては、全然物足りない、と思いました。シンバル奏者節約、舞台裏楽器の距離感不足、独唱者の拍手前提入場方式、そして4,5,6楽章のアタッカ不実行など、佐渡さんのこの曲へのこだわりが特別感じられなかったことも、残念でした。(考えように よっては、中途半端に奇をてらった変な方式をとるよりは、良いのかもしれませんが。。)

3番3本勝負、初日は、凡打に終わりました。これが残り二日でどこまで変わってゆくのか、きょうの演奏をきく限り、期待よりも不安が強いまま、ホールをあとにした初日でした。







Last updated  2011.06.29 00:18:21
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2011.06.21

久しぶりにコンサートのことを書きます。

ダニエル・ハーディング指揮、新日本フィルによるチャリティコンサート
3.11 東日本大震災、明日への希望をこめて

を聴いてきました。6月20日、すみだトリフォニーホールで、曲はマーラーの交響曲第五番です。

このコンサート、USTREAMで生中継放送されてましたので、ご覧になった方も多いかもしれません。

3月11日の震災発生当日に、ハーディングと新日本フィルが、ここすみだトリフォニーホールで、定期演奏会でマーラー5番を演奏しました。以前の記事に書いたとおり、 僕はそのチケットを買っていましたが、震災の影響で行けなくなりました。それでもコンサートを聴きに集まったごく僅かな人々のために、演奏は予定通り行われました。(行けなかった人には、後日払い戻しがありました。)

新日フィルのホームページにハーディングのインタビューが載っています。
http://www.njp.or.jp/archives/2479

このインタビューで、3月11日の演奏についてハーディングは語っています。
『マーラーの第5番は私にとって一生忘れることのできない作品となりましたし、このコンサートそのものが一生忘れることのできないコンサートとなりました。オーケストラのメンバーも素晴らしい演奏をしてくれました。この交響曲を演奏するたびに私は3月11日を思うことでしょう。私の中ではマーラーの交響曲第 5番イコール3月11日として刻まれています。これは私だけでなく新日本フィルのメンバーにとっても同じだと思います。』

そして今回、ハーデングと新日フィルは、3月11,12日の定期の代替演奏会として、6月21,22日に特別演奏会で5番をあらためて演奏することにして、さらにその前日の20日、チャリティコンサートとして5番を演奏することにしたわけです。

この5番再演にかけるハーディングの想いも、同じインタビューで語られています。
『マーラーの第5番が選ばれた理由はいくつかあります。第1に3月11日に 演奏された作品であったこと。第2にオーケストラが本当にすばらしい音楽を演奏したという事実。あのような演奏を是非再び皆さんに聞いていただきたいと心 から思っています。そうすることで初めてこの演奏会は完成することができるのです。そしてもう1つ。それはマーラーの第5番が葬送行進曲、つまり死に始ま りながら、生への喜びと愛に満ちた作品であり、とてもポジティヴな要素が多く見られる作品だからです。本当に卓越した作品です。』

僕も、あらためてチケットを買い直し、この演奏会に来ました。

演奏会冒頭には、震災で亡くなられた多くの方々に捧げるため、
エルガーのエニグマから第九変奏ニムロッドが演奏されました。

ゆっくりと奏でられたニムロッドが静かに消えていき、一度舞台裏に引っ込んだハーディングが、間をおいてあらためて登場し、そして5番が始まりました。

まさにハーディングと新日フィルの全精力が注がれた演奏でした。重い第一・第二楽章、いたみを鎮めるように響いた第四楽章、そして終楽章は、コンマスの崔文洙(チェ・ムンス)さんを筆頭としたオケとハーディングの力がひとつになって、前向きな大きなエネルギーがほとばしった、すごい音楽でした。ハーディングがこの日のプログラムに寄せた文章のとおりの演奏でした。

『このチャリティ演奏会においてマーラー5番を演奏できることは私にとってこれ以上ないことです。この作品は愛、悲劇、生命と死を描いた壮大な物語です。この交響曲を指揮することは私にとっていつも特別ですが、特に今回は、震災で亡くなられた方々、愛する人を失った方々、住む場所や生きる力を失った全ての方々に全身全霊を込めて捧げたいと思います。』

熱い大きな拍手はいつまでも鳴り止まず、オケが引っ込んだあとハーディングの呼び戻しがありました。そして呼び戻されたハーディングが引っ込んだ直後、さらに崔文洙さんがハーディングをつかまえて(^^)、指揮台につれてきたのが素敵な見ものでした!熊のように体の大きな崔文洙さんが、ちょっと照れているような細身で小柄なハーディングを抱きしめたり、二人で肩をくんだり万歳したりと、ふたりの全身から達成感があふれていました。

終演後のロビーにはオケの方々が横にずらっと並び、義援金を呼びかけていました。列の最後から3番目はオーボエの古部さん、最後から2番目は崔文洙さん、そして列の最後は、義援金箱を持ったハーディング自身でした。

ありがとう新日フィルの皆様。ありがとうハーディング。







Last updated  2011.06.22 01:24:03
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