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カテゴリ:シナリオ
![]() 男雛:久々に明るい場所に出されて、いささか眩しい思いをしておったが、ようやく慣れ てきたぞ。そなたはどうじゃ。 女雛:眩しさには慣れてまいりました。ですが、暗い場所に置かれている時は退屈な らものんびりと気ままにしておりましたのに、このように晴れがましいところに 出されてすまし顔を続けるのが、少しばかり苦痛になっているところでございま す。 男雛:そなたの気持ちも解らぬではないぞ。しかしながら、そう長いことではない。また、 近いうちに暗い場所に連れて行かれるはずだから、今しばらくの辛抱じゃ。 女雛:さようでございますね。では、とびきりのすまし顔を続けることに致します。 男雛:それにしても、あそこに座って我らを見ている女の子の笑顔には降参じゃ。 女雛:ほんに、あどけなく可愛らしい笑顔でございますこと。私どもはあの娘の母親に連 れられてこの家にやって参りましたが、あの娘は母親以上に私どものことを気に 入ってくれているようでございますわ。 男雛:母親も我らを大切にしてくれたが、あの娘はさらに大切にしてくれそうじゃな。 女雛:あのつぶらな瞳をご覧下さいませ。純真無垢な眼差しが美しゅうございますね。 あの娘には辛いことが降りかからないように祈りとうございます。 男雛:そちはすっかり母親の気持ちになっておるようじゃ。だがな、人生、良いことばか りではないはず。むしろ、辛いこと・悲しいこと・苦しいことに出会った時にこ そ、逃げたり取り乱すことなくきちんと向き合って、冷静な判断をし、くじけな いで前に進もうとする芯の強さを、あの娘には身につけて欲しいと思うぞ。 女雛:さすがでございます。まことにご立派なお考えで。まもなく私どもはまた暗い場所 に連れて行かれますが、再びあの娘に会う日が楽しみでございますね。 男雛:そうじゃ、その時はどのような表情を見せてくれるのであろう。次に会う時のことが 今から待ち遠しくてたまらぬわ。肩が凝ってきたが、あと少しの間、威厳のあるす まし顔を続けることにしようぞ。 女雛:ハイ、頑張ります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.03.03 07:46:45
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