お狐さまだぁ
わあ、お狐さまだぁ
お狐さまだぁ
てんてん手鞠は天天へ
走った!
走った!
くすくす笑いに手鞠は転がり
童は贄と かくれんぼ
もーいいかい
もーいいかい
――――――― お狐さまが迎えに来たよ ―――――――
白い少女はただ前見据えて
軋む 軋む
晴天かかる虹の橋からお狐さまのお篭の御成
細いつり目が捕えた嬢の
躯と心は
憑かれた恐怖にくるくる回り
ぎしし
ぎしし
背後に忍んで絶叫幻影
まだまだまだまだまぁーだだよ!!
閉めた鍵など ぱちん と堕ちて
ぎしぎしぎしぎしぎしぎしぎしぎしぎし
嗚呼嗚呼 狐が狐がやってくる
耳については嘲り罵り
ぽろぽろ剥がれる心が笑う
――――――成らば殺して下さいと
あ あ みぃーつけた あ あ
お狐やさしく
嗚呼お狐はやさしく
少女の声は何処へ
狐の嫁入りそのまま途絶えて雲居に昇るお篭に監禁
手鞠は転がり 首も転がり
なかよしこよし
さぁ、おかえりなさいまし。