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カテゴリ:lovesick
「もう、会わないから」
悠斗はもうそれ以上、何も言わず、私を家まで送り届けてくれました。私ももちろん、何も言えず、車から降り、見送ってから、力ない足取りで部屋に戻り、キッチンで、お風呂で、ソファーで、誰はばかることなく、、、泣きました。私は、いつの間にか、泣くほど、誰かを愛しく思える気持ちを取り戻していました。それは悠斗のおかげでした。取り戻しても、、もう遅かったけれど。。 私の額にそっとくちづけた悠斗のキス。 同じ場所に2度目のキス。 1度目のキスとは全然違うキス。 私は、悠斗を愛していたのに。 私の心はきっと、揺れてなどいなかったのに。 失ってから気づくなんて。 ごめんね、悠斗。 私、1度も気持ちを伝えられなかった。 でも悠斗、私をひっぱりあげてくれたこと、すごく感謝してるよ。 誰かに告白された、、って、、、他の人がいるなら、私なんかといるより、幸せになれるよね。 だから、私も、、時間がかかっても、ちゃんと悠斗をあきらめるよ。 たくさん、辛い想いさせてごめんね。 私も、これから、同じ気持ちを味わうから。。 そして、謙吾の熱いキス。 謙吾、、、 プロポーズ、本当にびっくりだったよ。 でも、それよりも、キスされて初めて、謙吾の本当の激しい愛情を知って驚いた。 私、謙吾を、ずっと我慢させてきたんだよね。 悟がいた頃からずっと。 出会ったときから、、ずっと。 ごめんね、謙吾。 間違いなく、迷いなく、悠斗を、、愛しているのに、 謙吾の、その、圧倒的で、強引な愛に、飲み込まれそうになる。。。 プロポーズの返事どうすればいいの? 悠斗の言うように、受けるべきなの? 私は、一体これからどうするの・・・? 一晩中、泣いた後、自分の気持ちに答えを出すために、私は、窯にこもることに決めました。 そう、選択肢の一つは、もう失われているとしても。 そして、フジシマくんにメール。 楓→フジシマくん:すぐに迎えにきて。 フジシマくん→楓:すぐに迎えにいくよ。 まだ暗い時間だったのに、本当にすぐに出てくれたんだろうフジシマくんに、私は、泣きはらした目で、「私、明日から、窯にこもる。誰にも会いたくないんだ。協力してくれる?」と伝えると、フジシマくんは、「楓、、お前。。。」と、心底驚いたようでしたが、何も聞かず、「もちろん。ちゃんと、ガードするよ。気が済むまでこもればいい」と頷いてくれました。 窯に行く前に、私は、1通のメールと、1枚の葉書を書きました。 楓→謙吾:謙吾、夕べはありがとう。気持ちとても嬉しかった。誰にも会わずに考えたいことがあるから、窯にこもります。土曜日には、きっと、間に合わないと思います。約束守れなくてごめんね。また、必ず、連絡するから。待ってて。 謙吾→楓:分かった。気が済むまで考えて。楓を待つのは、慣れてる。だから、気にしないでいいよ。 ・宗太郎と彩への葉書 旅行楽しかった?楽しかったに決まってるよね?私、ちょっと、窯に籠もります。またちゃんとこちらから連絡するから、心配しないで待っててね。フジシマくんは、きっと完璧にガードしてくれるけど、彼を悪く思わないで。 自分の心が見えないときには、いつにもまして、俄然、創作意欲がわく私。 土を形にすることで、ずっと自分の心を理解してきた私。 だから、きっと何かが見つかっているはず。 窯から出る時には、答えが・・・。 ← 1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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