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泣いたりしちゃダメだって思ってるのに、そう思えば思うほど、涙がでてくる。
気づいたケースケが、慌てて、 「え、ちょ、ミリ?え~っ。なんでなんで?どうしたんだよ?」 答えられない私。 「俺とやっとHできて感動してる、って泣き方じゃ、ない、よな。。?っごめん、俺、何か変なことした?痛かった?ごめんごめん、優しくしたつもりだったんだけど。って、ああ、ああ、確かに、ちょっと最後のほう?夢中になっちゃって激しくしすぎたかも。。。ちがっ、ちゃんとミリのこと愛してるよ?だけど、だって、俺、2年以上もやってなかったしさ、何より、ミリの中、あんまり気持ちよくってさ、それにミリの声がもう超エロく感じちゃってさ~。ごめんな、ミリのだってトロトロになってたから、痛くないと思ったんだよ。ああ、でも、確かに、ちょっとキツかったし。。いっぱいシまってたからな。。俺は、もう、んっとに気持ちよかったけど、ミリは、、そんなに痛かった?」 ・・っっもう、バカケースケっ。恥ずかしいこと、大声でいっぱい言うのやめて欲しい。それにしても、ケースケの慌てぶりがおかしくて、笑っちゃった私。 こちらを向き、涙を拭いてくれながら、 「怒って、、る?」 って聞くケースケに、息を整えてから、 「怒ってなんてないよ。痛くなんて、、なかったよ」 というと、ほっとしたようにため息をついてから、にこっとして、 「そっか、じゃあ、、、気持ちよかったか?」 なんて嬉しそうなケースケ。私は、恥しく頷いたけど、途端にまた涙が出ちゃう。 「うわっ、また。なんで。。何??どうしたんだよ?」 そっとその胸に抱き寄せてくれる。ケースケの裸の胸にしがみつきながら、しばらく泣き続けてしまった私。もう何も聴かず優しく髪を撫ぜてくれていたケースケに、 「ケースケ」 「ん?」 少し体を離して、私の目を見るケースケ。 「私ね、とっても気持ちよかったよ。ケースケ、すごく優しくしてくれて。すごく幸せだった」 優しく微笑んでから、私のことぎゅっと抱いて、 「ああ、俺も、めちゃくちゃ気持ちよかった。ミリ、可愛かったよ。ほんと幸せ。もう絶対離さないからな」 といってくれる。私は、また泣きそうになりながら、続ける。 「だけど、こうしてケースケの恋人になったってことは、これからずっと、ケースケが他の人ともするのをガマンし続けるってことでしょ?それを思うと、すごく悲しくなっちゃって」 「は??」 「だって、いつもたくさんの女の子とっかえひっかえ寝てたじゃない?ほんとはね、ガマンできるって、それでもケースケは、心では私を愛してくれてるんだからって、Hなんて大した問題じゃないって、、思おうと思ってたんだけど。思えると思ってたんだけど。。でも、無理。他の人に、あんなに優しくて、気持ちいいことしちゃ、ヤだっ」 「ちょちょちょっ、なんでそうなるわけ?お前、これまで2年も俺がダレとも寝ないで来たの知ってるだろ?」 「知ってる、、でも、こうやってHしだしたら、また1人じゃ足りなくなるんでしょ?」 「あのな~。確かに俺、次から次、とっかえひっかえだったかもしれないけど、それと、二股とか、浮気とかとは別だろ?同時に2人3人はないよ。ってか、確かに、女と寝まくってたけど、付き合ったりってなかったからな~、浮気っていう概念がなかったよ。だから、浮気なんてしないし、したことない。」 「・・」 「なんだよ、その疑い深い目は。いや、でも、そう思った上で告ったってことは。。俺、浮気し放題ってこと?しかも公認で?」 ひっど~っ、ケースケっ。 「ケースケの意地悪っ」 泣いちゃうよ??ケースケは、そんな私を優しく見て、 「冗談だよ。浮気なんてしない。そりゃ前は確かにたくさんの女と寝てた。その相手には、ほとんど、やり逃げ、ってか、まあ、相手もそういうタイプを選んだつもりだったけど、ひょっとしたら誰かを傷つけてきたかも知れない。今、ミリを抱いたみたいに、相手を思いやったり、愛しいなんて思うことも、全くなかった。・・自分でも、ひどい男だったと思うよ。だけど、あの時は、、そうするしかなかった」 と私を真剣な目で見るケースケ。あの時、、私がヒロトといた頃。だから、ケースケは。 「だけど、、ミリ、ミリだけには違う。俺、愛してる相手とするHがこんなに気持ちよくて、心まで満たされるなんて知らなかったよ。・・だから心はもちろん、体だって、絶対、浮気なんてありえないから。安心しろ」 「ほんとに・・?」 「ほんとに。俺はミリとしかしない。」 と断言してから、ケースケは、私にまたキスをする。唇に頬にまぶたに、そして首筋に。 「ぁんっ」 小さく声を漏らし、身をよじらせた私に、にっこり笑ってから、 「だから、もっかいしていい?」 っていうか、もう、始めてんじゃんっ。ケースケのキスを体中に受け止めながら思う。 あああ、もう、なんか、完全にケースケのペース。 それからしばらく、超・発情期に入ったらしいケースケに、目が合うたびにって言っても過言じゃないくらい、昼夜を問わず、家中のありとあらゆる場所で、ありとあらゆる体勢で、されまくったし。 「ね、、え?いくらなん、でも、やり、、すぎじゃない?」 「いやか?」 「・・いやじゃないけど、、、やりすぎじゃない?」 「・・いやじゃないなら、、、やりすぎじゃない。」 分かったような分かんないような言い草に言葉を失ってると、 「こんだけ我慢してたってことだから。ま、受け止めてよ?」 だって。私の耳元で、 「愛してるよ、ミリ」 変わらず囁くケースケ。それを聞くと、私だって言いたくなる。たとえ、それが火に油を注ぐことになったとしても。 「私も愛してるよ、ケースケ」 結局は、やっぱりそれが次のスタートの合図になっちゃう。 でもいやじゃない、だって、ケースケの体温を受け止めながらいつも、こう、思えるから。 こんなに安心できる場所はないって。 ケースケはきっと、私をずっと守ってくれるだろうって。 ある日、(家にいると襲われ続けるから)ケースケを散歩に誘った。 2人で手をつないで公園を歩く。 そして、いつもの噴水。 噴水に日の光が反射して細かい光の粒が飛び散る。とてもきれい。 光にみとれていると、その先に、私たちは人影を見つけた。2年ぶりに会う懐かしい彼女。 「・・ナギコさん」 「・・ナギコ」 私たちが名前をつぶやくのも、ナギコさんがこちらに微笑むのも、同時だった。 ナギコさんはゆっくりと光を眺めながら、こちらにきた。 「なんだか急にここに来たくなって。・・ヒロトの大好きだった場所だから」 私たちは頷く。ナギコさんは私たちのつながれた手を見て微笑む。 「・・そういうことか。だから、ヒロトに呼ばれたのかな?・・今も、あの部屋に?」 「はい」 「これからも?」 今度はケースケが、 「ああ、多分」 「そう、ヒロト、幸せね」 ナギコさんは、噴水に、その飛び散る光に、目をやる。 「ヒロトが何か言いたいみたいよ?」 そういってナギコさんは、手をかざし、目を閉じた。いつもどおり右目だけに力を込めて。 そして、ナギコさんの手のひらに集まっていく光の粒。 不思議なのに、当たり前のように見つめている私とケースケ。 ケースケはポツリとつぶやく。 「腕上げたな~、ナギコ」 って、それって、言い方合ってる?? 確かにここは、ヒロトが大好きだった噴水。 ヒロト、今、あなた、ここにいるの?? そう思ったときに、ナギコさんが目を開く。 そして彼女は私とケースケのつないだままの手にそっと触れ、その光をこぼし、ヒロトからのメッセージをくれる。 闇を受け取るような衝撃はない。ただ、体がふわりとする。 ケースケが目を閉じた私を、噴水の縁まで連れて行き、座らせてくれる。 ふうっとため息をつき、心を緩めると、懐かしいヒロトの声が響きはじめた。 「美莉、僕がこっちの世界にきて、もう随分経った。・・・・」 メッセージを聞き終えた時、そこにナギコさんの姿はなかった。 そっとケースケを見上げる。ケースケも私を見ていた。 唇を少し動かして、微笑むケースケ。 同じメッセージを聴いたはずのケースケは、振り向き、その光にうなずく。 そして、少し息をついてから、そっと私を抱き寄せて、甘くて長いキスをする。 キラキラと空に舞い上がっていく光の粒を感じながら。 ケースケは、甘い甘い長い長いキスを繰り返す。 ヒロトに見せ付けるように? ・・・ううん、きっと、 ヒロトに安心してもらえるように。 2人でしばらく空を見上げた後、ケースケが私の手を取って立ち上がる。 「そろそろ、行こうか?」 「うん」 私はうなずいて立ち上がる。手をつないでゆっくりゆっくり歩く。私を守ってくれる大きな手。 確かめるように何度も握りなおすと、ケースケも握り返してくれる。 ケースケが思い出したように聞く。 「なあ、ミリ?」 「なあに?」 「あのこと、もういいだろ?」 「あのこと?」 「今も続いてるやつ」 なんだろ? 「ほら、パソコンでの挙動不審」 おっと。。。 「教えろよ?何してんのか。それにヒイラギって人、何者なんだ?」 私は少し考える。 「ノーコメント」 「うわ、そういうの、通るわけ?だって、恋人だろ?隠し事のある恋人なんてな、ロクなもんじゃないぞ」 「ま、そのうちにね。今は、まだだめ」 「なんだよそれ」 「いいでしょ?もう、私、ケースケのものなんだし」 「だけど、気になるって」 「気にしといて。気が済むまで」 「ひどいな~、相変わらず」 挙動不審か。 小説にして吐き出してきたことで、 そして、そのことでたくさんの人からアドバイスと励ましをもらったことで、 私は、こうして今、ケースケと幸せにいられる。 そのことにとても感謝する。 最後の一押しをくれた楓にも。 そしてもちろん、ケースケがしてくれた、2年間の添い寝。 ケースケ、ありがと。 「ねえ、ケースケ」 「ん?」 私は、隣を歩くケースケを見上げて言う。 「これからも、ずっと添い寝してくれる?」 ケースケは、甘い笑顔で、 「もちろん。まあ、その前にいつも、ヤることヤるけどな」 ったく、ケースケは。 「んっとに、エロいんだから。他のこと考えられないの?」 「今は、まだ無理。だけど、その俺にちゃんとつきあえてるミリだって相当エロい」 私は、黙って繋いだ手を離し、背中をぶってやる。大げさにうめいてよろけるケースケ。 私は、ふと立ち止まり噴水を振り返る。 まだ、キラキラと空に舞い上がっていく光の粒を見ながら思う。 ねえ、ヒロト、私、幸せだから。 安心して? ケースケをずっと愛していく。 ヒロトのいないこの世界で、それでもちゃんと幸せになるから。 もう一度、振り返れば、そこには、全てを受け入れてくれる、 ケースケの微笑み。 温かいまなざし。 優しい表情のまま、大きく肯いて、そっと差し出してくれるその手を、 私はもう一度、しっかりと掴んで、歩き出す。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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