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テーマ:小説書きさん!!(609)
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言いたいことを言いきり、息を整えるサチさん。サチさんの気持ちはよく分かります。母のことを大切に思っていた証拠ですから。・・だけど、、言ってみることにしました。
「ねえ、、あのさ、サチさんの言ってることはよく分かるの。だけどね、たとえば、なんだけど、、お母さんが選んだ人だから、、、素敵な人だろうな~なんてことは、、全っ然、思わないんだ?」 サチさんは、きっぱりと、 「当然です。たった数ヶ月、長くても3ヶ月程度のお付き合いで、お相手を妊娠させるような人間は、ろくな人間であるはずがありません」 取り付くシマもない様子に、私は苦笑しながら、 「ねえ、それ、、お母さんにも言ったの?」 「とんでもございません。私にも嗜みがございますから。」 たしなみ。。ねえ。。 「私、、そのろくな人間であるはずがない人の血が半分流れてるんだけど・・」 「楓さんは柚子さんだけのお子様です」 「そんな極端な」 「いいえ、楓さん、柚子さんは命を賭して、あなたというお子様を設けられました。相手の男は、なんの責任も取りませんでした。そんな男に、楓さんの父を名乗るなんの権利もございません。あなたは柚子さんだけのお子様です」 すごいな、、20年以上たっても、こんなにはっきり言い切れるほど怒ってるんだ、と思う私。私はやっとの思いで、いいました。 「・・・でもさ、何か、事情があったのかも知れないよ?たとえば、、、」 と考えてみて、昨日、思ったことを思い出す。 「妊娠のこといわなかったとか。。そもそも、病気のことも内緒にしてたとか」 「だとしても、です。」 サチさんは、言う。 「たとえ、柚子さんが何も言わなかったとしても、何も言わせなかった、いえ、何も言うことができないようなお相手であった時点で、ろくな人間ではないんです」 ・・うっわ~、、こてんぱんだな。コワイコワイ。 と思う私。 「でもさ~。そこのとこ、しっかり分からないと、判断できないじゃない」 サチさんは、食い下がる私を、ゆっくり睨んで、 「なんですか、そんなに肩をお持ちになって。・・・楓さん、、、まさか、父親のことお調べになるおつもりじゃ・・?」 「・・そのまさかのつもりなんだけど・・」 「がっかりなさるだけじゃないでしょうか?」 ・・かもしれない。確かに。私はおずおずと尋ねました。 「・・・サチさんは、、反対?」 サチさんは、小さく首を振り、 「いえ、難しいかとは思いますが、お見つけになられてもよろしいかと、ただ」 「ただ。。」 「お見つけになったそのときには、ぜひ私もその方に、一言ご挨拶させていただきたく思います」 ぷっと吹き出す私。よっぽど怖いご挨拶になること間違いなしです。まだ見ぬ父を気の毒に思ってしまいます。 「・・分かったわ。、、ねえ、それにしても、サチさんって、すっごくよく見てるのね。おじいちゃんとは大違い」 サチさんは、誇らしげに微笑んで、言います。 「当然のことです。・・・楓さんのことも、よく見ておりますよ」 「怖い怖い」 言いながら、気になって聞きました。 「・・ねえ、じゃあ、悠斗のことは?サチさん、どう思ってるの?」 言い終えた瞬間、何を言われるのも怖くて、 「ごめん、いい。聞かない。聞きたくない。聞かなかったことにして」 慌てて取り消した私でした。 ←1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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