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瑞希の後を追って、玄関に急いだけれど、瑞希は既にばっちりその写真を父さんの前に出していた。
「ね~ね~、パパ、この写真見てみて、この人、お兄ちゃんの今の恋人なんだよ~っ」 くそっ、瑞希め、余計なことをっ。しかも、「今の」ってなんだ。「今の」って、、、。 俺の恋人に対する父さんのいつもの反応を知ってるから、またあれ言われるな、やなんだよな~と、思いながら、 「おい、瑞希っ」 って手から写真を取り上げようとしたけれど、一瞬父さんの手が伸びるのが早くて。父さんは機嫌よく、 「ん~。どれどれ」 って言いながら、写真に目をやる。 そして・・・。 ・・・一瞬、父さんの表情が止まった? 目が細められ、そして、口元が静かに動く。「-コ・・・」 ・・・? と思うが、すべては一瞬のことで、それ以上不思議に思う暇もなく、父さんは、瞬く間にいつもの顔になって言う。 「・・綺麗な人じゃないか。それに、今度はえらく上品そうなお嬢さんだな、悠斗。」 父さんは、ただ、それだけを呟くように言う。瑞希は父さんの表情の変化になど、何も気付かなかったようで、 「でしょ~?並んでお兄ちゃんとつりあってるんだから、すごいよね~」 「そうだな。」 うなずく父に、 「中身もとっても素敵な人なのよ~。すっごいやっさしいの。ね、お兄ちゃん」 「ああ」 他愛ない俺たちのやりとりを前に、父さんが、若干、ぼんやりとした表情に思えるのは気のせいだろうか。もともと、職業柄、思ったことを表情からは読み取りにくい人だけれど。 瑞希が言う。 「あっれ~?パパってば、珍しいね、、あれ、言わないんだ?」 ったく、やっぱり言うの分かってて見せたのか。しかも、せっかく言わなかったのに催促する必要もないだろうに。 「余計なこといわなくていんだよ、瑞希・・」 瑞希に突っ込む俺にむかって、父は、やっぱり口にした。 「・・・避妊はちゃんとしてるのか?」 はい。出たよ。いつもどおりのお言葉が。 「・・・してるよ」 でもそれは父さんに言われるからじゃなく、 「彼女が大事だからね」 と付け加えてから、部屋に向かった。 着替えながら考え続ける俺。 「-コ・・・」 どこかで、以前感じたような違和感。。 あれは、一体いつのこと、だったっけ・・・? 楓の家に向かった車を走らせながらも、まだ、そのことを考え続けていた俺だった。 ←2コクリでよろしくお願いします。いつもありがとうございます。 今日のゆる日記の方は、こちらです。バカップルにご注意ください お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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