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「・・・美莉?」
大きく揺れ動いていた美莉の心が、ひとつの場所に静止した気がして、 私は、美莉に小さく呼びかけました。 ・・・小さく。 美莉の心がまたぶれてしまうことが怖くて。 美莉は、ゆっくりとこちらを向きました。その瞬間、私は、心の奥でほっとしました。 次に美莉が口にする言葉が私の望む言葉だと、分かったから。 そして、美莉は言いました。 「私、ちゃんと、話すわ、楓。・・・ケースケと、、離れることなんてできない。」 「美莉・・・」 悠斗に話を聞いてから1週間。本当は、私からケースケに話してしまったほうがいいのかも、と思ったりしたこともありました。だけど、やっぱり、、、先に美莉と話したかった。美莉自身でそうすることを決めるのなら、それに越したことはないのだから。 ・・・よかった、本当に。。 私は、しっかりと心を整えてから、微笑みました。 「・・・よかった」 喜びが大きすぎて、それ以上の言葉がでてきません。 「ありがと、楓」 お礼を言う美莉。 「私は、、何もしてないわ。・・ねえ、もうすぐ来るわ。話すなら、・・・二人きりのほうがいいよね?部屋どこ使ってくれてもいいわよ」 なんだか、気が逸ってそんなことまで言ってしまう私です。美莉は、ちょっと笑って、 「・・・そんな。帰ってから話す。宗太郎さんと彩さんもいるし」 「え~。あの2人のことは、気にしなくていいのよ?ねえ、早く話してあげたほうがよくない?」 なぜか急いだ方がいいような気がして、縋るように言ってしまう私に、美莉は落ち着いた声で、 「ううん。家に帰ってから、、にする。いっぱい泣いちゃいそうだし、、、ね?」 そういって、にっこりと微笑んだ。 「・・・そっか。わかったわ。・・・そうね、それにきっと、美莉のその笑顔見たら、、、話さなくても、やっぱり、別れられないって思ってること、慶介すぐに気づくと思うわ」 そういうと、くすぐったそうに微笑んだ美莉。 最高の笑顔。 荷物を下ろしたようなすがすがしい笑顔。 症状に気づいてから、きっと、ずっと、見れなかったはずの笑顔。 もしかしたら、二度と、永遠に、見れなかったはずの笑顔。 美莉をこんな笑顔にできるのは、慶介だけ。 慶介といられるから、だけの笑顔。 「早く、慶介、こないかな~」 なんて、すっかり、ラブラブモードに戻った美莉の無邪気なかわいい笑顔。 その笑顔をただ、微笑ましく眺めていた私には、 それが、ほんの束の間だけのことになるなんて、 予想もつかないことでした。 だけど。 ←2コクリでよろしくお願いします。いつもありがとうございます。 今日のゆる日記の方は、こちらです。バカップルにご注意ください お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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