実習中の出会い
実習中に受け持った患者さんで忘れられない人がいます。この患者さんは自宅で「心筋梗塞」を起こして緊急入院されました。心筋梗塞は一分一秒を争う病気ですが、この方は幸運にも家族の目の前で前兆があった後に意識を失ったのですぐに救急車を家族が呼べたことと、目の前に救急の総合病院があったことで、すぐに搬送されて処置が受けられたことで一命を取り留めました。70歳の男性で、とっても頑固実習生が付くことなど、もってのほか!!という方でした。でも病棟師長の説明で同意?され私が担当することになったのです・・「あまりひっつかないでくれ!」「出来ることは自分でやる!余計なことはするな!!」毎日この言葉・・・「この○○おやじ~!!」心の中は、こんな関係で実習が無事に終わるのだろうかという不安でいっぱいでしたそんな私と患者さんの中和剤になってくれていたのが、この患者さんの奥様でした。いつも怒鳴られる私に、患者さんの見えないところで優しく声をかけてくれました(感謝)「私はあの頑固に何十年も付き合っているの。あれが本音ではないのよ。本当は孫のようなあなたが毎日来てくれるのを楽しみにしているのよ」と。この言葉を励みに、毎日この患者さんに出来る「看護」を考え接しました。この時に 「何かをしてあげることだけが看護ではない」 ということを学んだのです 「患者さん一人ひとりに合った看護を提供する」学校はその基本となるものを学ぶところであり、応用や実践は、やはり「臨床」という現場でしか得られないものであることを実習で痛感するのです実習最終日、患者さんへ挨拶に行きました。すると「頑固じいさん」は右手をそっと差し出して「ありがとう。君が毎日一生懸命、僕のために看護をしてくれたことが嬉しかった。一度は失いかけた命だ、君の一生懸命さを見ていて僕ももう一度元気にならなきゃと思えた。君はいい看護婦さんになるよ。」と言ってくれ、御礼にとスカーフをくれました。あれから15年・・・今でもそのスカーフは私のお守りとして、大切に持っています