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テーマ:三国志(505)
カテゴリ:ゲテモノ
【レッド・クリフ PartI】で気がつく問題点をすべて書いていくことにしよう。 ☆【Part II】でも主題の大きなアイテムになっている「茶」。 後漢時代に、あのように確立した茶道があったのだろうか。 私は茶の歴史に詳しくないが、四川省から出土した前漢時代の『僮約』つまり奴隷の下僕に遠方に品物を買いに行かせるときに、買い物の内容を指示した文献があって、そこに「茶」らしき商品が出てくるという。 しかし、後漢時代に喫茶が習慣になるのは、孫権が死んだ後の呉の朝廷であり、実際に『三国志』にも「飲酒の習慣をやめて、茶を飲め(以茶当酒)」という布令がある。 しかし、このあたりの文献(原典を散逸した『廣雅』)では、茶はネギ・ミカン・生姜を一緒に煮て、正月の屠蘇散のように飲むと書かれている。 これは西北地域で習慣としても続いていて、私が甘粛省ですすめられた茶は「三宝茶」といってドライフルーツや香草を混ぜた茶であった。 したがって、【レッド・クリフ】の仰々しい茶道の所作はまったくフィクションであり、時代考証の誇張である。 あるいは中国の主力輸出産業である製茶産業の宣伝のために、故意かつ意図的に誇張して挿入されたと考えるのが妥当だろう。 映画でコマーシャルをやっているわけだ。 ☆孔子の子孫、孔融を曹操が処刑したのは史実。 しかし、赤壁の戦いの直前ではないし、出陣に反対して処刑されたのではない。 もうひとつ重要なポイントだが。 孔融が斬首される前に、曹操から飲酒を受けている。 その酒盃が北宋末期の白磁天目茶碗! 1000年の誤差である。 何という時代錯誤であろうか! この時代の陶器製の酒盃といえば、緑釉の双耳盃と決まっている。 そうでなければ青銅の花瓶のような角盃だ。 ☆当陽県長坂の戦闘シーン。 張飛が大声をあげて、鏡の盾を一斉に返して、騎兵たちを転倒させるシーンであるが。 残念なことに、馬は目が横についているのである。 だから前のほうに馬の視線を集中させるために、競馬では馬にマスクをつける。 したがって、あのように夕陽の光線を浴びても、馬は決して転倒しないと思われる。 さらに指摘すると、 あのようにマスゲームのように盾を返すシーンは、別の映画【スパルタカス】の戦闘シーンからのパクリである。 付け加えると、【スパルタカス】と角川映画【天と地と】は、かなり多くの戦闘シーンがパクられている。それは後述する。 ☆さて、最大の戦闘シーン。 八卦陣で、盾を並べた中で関羽、張飛、趙雲が決闘するシーンなのだが。 これも別の映画のパクリである。 【ローマ帝国の滅亡】という映画で、最近の【グラディエーター】の原作に近い。 ここでクリストファー・プラマーが演じる狂気の皇帝コモドゥスと、スティーブン・ボイドの将軍リヴィアスが最後に決闘するシーン。 【スパルタカス】でも、決闘シーンで兵士の盾を四方に並べて臨時の闘技場をつくる。 まあ、そういうわけで、 【レッド・クリフ】は恥ずかしげもないパクリ・パクリ・パクパクパクの映画なのであるからして、 ジョン・ウー監督の 【レッド・クリフ】は インチキ嘘っぱち映画であり、中国史を破壊する駄作である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.05.01 08:01:08
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