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劇場通いの芝居のはなし

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2019.03.12
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カテゴリ:ミュージカルの話
わたしが小学生、中学生のころ、ミュージカルに触れるには、どうしても映画とレコードがその手段になります。東宝が最初のブロードウェイミュージカルの上演として、やっと "My Fair Lady" を江利チエミ、高島忠夫主演で上演したころです。舞台で観る機会は、まだ少なかった。ですから、ミュージカル映画というのは、大切な勉強手段でした。
自分が認めるミュージカルの定義、創りたいミュージカルを舞台のもので考えてきましたが、映画オリジナルのミュージカルについても、この際、少し述べてみます。

舞台の映画化ではなく、映画オリジナルとして創られたミュージカルも数多くあります。その中で非常に印象強く観たのが、フランス映画の『シェルブールの雨傘』です。ジャック・ドミー監督の作品で、全編が歌という、今は増えましたが、当時は大変に珍しい作品でした。音楽はミシェル・ルグランです。多くないメロディをモティーフとして繰り返し、場面を進めて行きます。シャンソンを思わせる主題歌の旋律が、大変に美しいです。愛しあう若い恋人二人。しかし男は出征し、長い戦争の間に、連絡も途絶えてしまいます。女は男を待つことができず、自分と母を助けてくれる金持ちの男性と結婚します。戦場からようやく帰ってきた男は、気持ちがすさんでしまっていましたが、自分を支えてくれる親戚の娘と結ばれます。何年か経って、男が経営するガソリンスタンドに、給油のため車が停まる。乗っているのは、かつての恋人とその子どもです。互いに相手を認め、短い言葉を交わし、それぞれの今の生活を大切にするため、車は立ち去って行きます。そこに流れる主題歌。もし戦争がなかったら。運命の勝手さというのでしょうか。彼らが幸せか不幸せか、などと愚かなことは問いません。ただ、それが人生というもの。なんてセンチメンタル、切なく美しい作品でしょう。そして、おとなの作品です。

ジャック・ドミーはミュージカルが好きな監督で、ルグランと組んでこの後『ロシュフォールの恋人たち』『ロバと王女』と、3本のミュージカルを撮っています。主演は3作ともカトリーヌ・ドヌーブ。2作目、3作目は、一般的なアメリカンミュージカルのテイストでした。だから、いまいち。『ロシュフォール』ではジーン・ケリーとジョージ・チャキリスが出演しました。ということから、彼のミュージカルの嗜好性がうかがえます。『シェルブールの雨傘』は、特別な一本だったのでしょう。

ヨーロッパの映画では、ミュージカルではなくオペレッタ映画というべきもので、ドイツ映画の『会議は踊る』に興味をもっていました。ナポレオン失脚後、ヨーロッパの政治体制を検討するために、各国首脳がウィーンに集まって会議を開いた。そのウィーン会議を背景に、身分を隠した王族と町の無邪気な娘の悲恋の物語です。と言っても、暗いものではありません。白黒画面に時代を感じながら、"Das ist einmal" の軽快な歌に、のどかな気分になっていました。ああいう作品を、「ウィズソングス」形式かヴォードビルとして上演するのは面白いなと思っています。
by 神澤和明





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Last updated  2019.03.12 09:00:14



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