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劇場通いの芝居のはなし

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2019.05.24
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カテゴリ:演劇科の新入生に
先生や先輩・同期生に敬意を払いましょう。

指導してくれている先生は、プロとして仕事をしてきた人達であり、その実績や実力が評価されるから、指導者として呼ばれてきているわけです。それに対して、学生はやっと演劇の勉強を始めたばかりにすぎず、なんの実績もありません。もちろんプロとして認めてくれる人は誰もいません。
先生の言うこと、することは、経験に基づいたものです。それによって自分に力がついた、うまく演技ができた、あるいは、こんなことをしたらまずい結果になった、そういうことを直接に教えてもらえるのです。役者にとって、そうしたことは自分の財産ですから、本来は人に教えません。教えられた人が、そのお陰で自分よりうまい役者になった場合、自分の役を取られてしまうからです。
しかし、指導する者として学生の前にいる時、先生はそんなことを気にしません。自分の持っているすべてのことを学生に提供する気持ちで、指導をしています。だから、厳しい言い方がされます。本気で指導するからです。それはありがたいことです。そしてそれに応えるには、真面目にその指導を受け、取り入れるように努力して、自分の力を高めることしかありません。

先輩は、自分よりも前を走っている人です。芸術の仕事では、経験は大きな要素です。観客の前に立って芝居をしたことがある人は、ない人よりずっと上の役者です。本番の舞台を経験した回数が一回でも多いことは、それだけ舞台との相性を良くしてくれます。もっとも、真剣に舞台を務めるのでなければ逆効果ですが。ときどき、いろんな劇団に参加して、舞台経験は割とあるのだけれど、ただ楽しんでいるだけで、悪い癖だけついて、ちっとも良い役者にならない人を見かけます。よく劇団から呼ばれるんだと、良い気持ちになっているようですが、巧いから呼ばれるのか、都合が良いから呼ばれるのか、はき違えないようにしましょう。本当にその人が必要なら、ギャラを払ってでも出演依頼がされるはずです。
真面目に芝居に取り組んでいる先輩を見ていると、芝居をすることの喜びが伝わってきます。先輩はもちろん、良い所も悪いところももっています。そのどちらも、自分の参考になります。自分もしてしまうようなことを、先にやってくれているのです。
大学では、複数の学年が一緒になって演技実習をする、舞台を作るということがあまりされません。残念なことです。上級生が役をとってしまう、ということもあるかもしれませんが、先輩の演技を見る、後輩の演技を見ることは、有益だと思います。
宝塚やOSKのように、下級生が上級生の付き人をする必要はありませんが、プロンプターを務めるなら、良いのではないでしょうか。

同期生が指導を受けているとき、注意して見ましょう。その学生も、自分とほぼ同じレベルにあるだということを忘れないことです。そうすれば、その人が受ける指導は、自分にも役立ちます。また、一緒に学び、一緒に舞台を作ってゆく仲間なのですから、それぞれがどんな特徴や個性をもっているか、知っておかなければなりません。演技は自分だけではできない、相手役があってやれることです。だから他の人たちに注意して、よく知っておきましょう。
by 神澤和明





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Last updated  2019.05.24 09:00:14
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