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劇場通いの芝居のはなし

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2019.06.26
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カテゴリ:演出ノート(3)
ネズミは、トビが知らないでいる、従って安全な立場のカエルを巻き添えにするよりも、スズメを食った方が良いと言って、スズメに近づきます。スズメは恐ろしさに叫びます。と、トビの声と、羽ばたきの大きな音。スズメとネズミは同時に叫びます。

おれはさっき来たんだ。スズメの方が古いんだ。順番にしてくれ。
ぼくじゃない。ネズミの方が先だ。
羽ばたきと悲鳴が重なり、トビはスズメを連れ去ってゆきました。

ひとりになると、ネズミも泣き始めます。ネズミの心の孤独と寂寥感が、ブンナにも感じられます。生意気なスズメだったが、正直な奴だった。おれは、生きたくない、覚悟しているとスズメに言ったくせに、いざとなったらスズメを売っていた。おれは悪い奴だ。

モズと同じく、口で偉そうなことを言っていても、その瞬間には本音が出てしまう。自分が生き延びるためには、他の者を犠牲にすることを厭わない。この、あまりに人間らしい行動が、二度繰り返され、観客に印象づけられます。それを肯定するかどうかは、それぞれでしょうが、あっさり否定することはできないでしょう。

夜になって、ミミズクが天気予報を告げます。月は曇り、雨がふるでしょう。
ブンナは土の中から現れて、ネズミに声をかけます。そして、月明かりをたよりに、木をおりてゆくように励まします。トビは夜は目が見えない。だから、逃げるなら今がチャンスだというわけです。
ネズミは怪我をしているけれど、このままだと明日には食べられてしまう。一か八か降りて行こう。観客から見えない側で、ネズミはゆっくりと木をおりてゆきます。しかし、ふっと月が雲に隠れてしまう。明かりが弱くなります。すぐに、アーッという悲鳴とともに、ネズミは落下してゆきます。

明るくなると、再びそこにネズミがいます。トビに見つかって、また連れ戻されたのです。情けない、情けない。残された希望を失って、ネズミはすすり泣きます。
と、また羽ばたきがして、何かが落とされます。後ろ姿をまず見せてみました。
ネズミが悲鳴を上げます。食べないでくれ。
ネズミが恐怖を覚えた相手は、恐ろしいヘビでした。今までの獲物と比べて大きく、また「悪」のイメージが強いです。

これが以前に出て来たヘビと同じかどうかはわかりませんが、ヘビという一つの存在として、同じ演技者で演じれば良いでしょう。元気なときはしなやかに動いていましたが、今は傷ついていますから、動きはギクシャクする感じがあります。衣装に破れや汚れをつけておきます。始めのうちはあまり動かず、顔を持ち上げて相手にむけることで、凄みを出します。
by 神澤和明





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Last updated  2019.06.26 09:00:09
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