Kanaris mieux.txt.

　
すごく長い拘束だった。
すでに鞄もったデザイナーさんに、
行くよっ！と声かけられ、ええっ....。
いついくか教えてくれる余裕もなさそうで、
前もって用意しはじめてたのに...と思ったら、
笑いが込みあげて、おかしくなってしまった。
車中で、奥歯が抜けたから説明してねと...。
(いえ、ごじぶんで喋っておられたのだけど。)
で、1枚ミスプリントでバイク便走らせて、
さらにスポンサー様はこちらのオフィスに...。
あん、気が狂いそ。
また、スポンサーのお名前まちがえて連呼される...。
普通なら出入り禁止なのに。
寝グセの髪を直してあげようと、
花王のケープ持っていかなくてよかった。
なんか、どんどんすべてが
思いどおりでないと不安なのですね。
まだ若いのに老女王になっていかれる。
ひとつの小宇宙で、女王という女性に変身。

昼休みに見てきた
インセンス類を扱うコーナーで、
どうみてもホストの卵みたいな二人が、
カゴを手に一生懸命さがしものしてる。
男性の売り子さんに質問している。
アロマオイルとそんなん燃やすこんなん、
どれがいちばんいいですか？
すごいぞ。そんなすごい質問って。
イエスかノー。オール・オア・ナッシング。
でも、彼等はすごくまじめに質問してる。
困った売り子さん、別の人を呼びにいった。
今日、どこかのホストクラブでは
アロマランプが使われていることだろう。
疲れたお嬢さん！をいやしてあげてね。
くすくす。寝てないと何でもおかしいな。
レジではエクストラ・リッチとかいた
金とピンクのパッケージ入りインセンスの束と
赤い薔薇のドライペタルを持つ女性が。
おお、なにわゴージャス...。
ヒョウ柄もつけとこ。

離れていても　同じ月を見ている

そんなキャッチコピー付きのパッケージ。
裏面にはPL法対応のすごい注意書きがあり、
リサイクルの指示マークがふたつ。
さらに、タイ製とある。ええと、印刷は...。
箱のほうがコストかかってる。
なかみと外箱、表面と裏面で
すごいギャップ。あん、アイデンティティって...。
東山、嵯峨とか祇園など地名モノもあった。
貴船のかすかな香りで水占を思い出した。
春でも寒かった、もう少ししたら雪。
しずり雪。
それに香りはなかったはず。なのに、

香りというのはキオクをたずさえる。
ニオイは、そうならないのだけど。
私だけかもしれない。
香りはキライと言われる方は多い。
でも、いいキオクは香りと見えないコードで
ゆるくたわんでつながって、
どこかでパチンと完成品になって独立する。
キオクになっていく最中、
その下から奇妙なニオイが顔をのぞくと、
もう、キオクのもとと袂をわかつ通達がきた 　　
合図になるみたい。
パチン。
キオクのもとが隠そうとしてるものほど
奇妙なニオイになって、香りを追いやるように
不協和音を弾きはじめる。
すると、香りはいいキオクだけつれて
ひとり歩きをはじめる。
ヒト・モノ・コト。それから、ええと。