(2013.1.1 未来ジャーナル掲載)
第9回 世界が君の本舞台(2)
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──あるメンバーから、「池田先生のように、文化や言葉、宗教も違う人と語り合い、世界に友情を結ぶには、何が大切ですか」という質問がありました。
名誉会長 「世界」と言っても、根本は「人間」対「人間」です。
同じ「人間」という視点に立てば、共通点はたくさん見つかります。
特に「生老病死」という万人の課題を、心ある知性は真剣に思索しています。ですから、仏法を学び、実践しているということは「生命」という最も奥深い次元で心が通う対話を進めることができるのです。
ともあれ、外国の方々と友情を結ぶと言っても、何も特別なことではありません。
人間として尊敬するのです。
人間として率直に語るのです。
人間として理解し合うのです。
ゆえに、人間としての振る舞いが重要です。
例えば、自分からあいさつができる人、自分から声を掛けられる人は、世界市民です。朗らかなあいさつ一つ、明るい声一つで、“ああ、この人は、いい人だな”と、相手が安心し、打ち解け合うことができるからです。
また、「約束は必ず守る」ことも世界の指導者に共通しています。
戸田先生は、「青年の最高の修行は、約束を守ることだ」と、いつも教えてくださった。
偉大な人は、信義を貫きます。友との約束、そして、自分自身との約束を、絶対に破りません。誓ったことを必ずやり通す──この人間としての「信念」が、君を、あなたを、世界市民へと育ててくれるんだよ。
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──池田先生の「人間外交」は、日本と中国、日本とロシアな
ども大きく結んでこられました。
名誉会長 平和を愛する一人の人間として、私は私の次元で「可能な限りの行動」を誠実に貫いてきただけです。
1974年、私が初めて中国を訪問した時、かわいらしい一人の少女が私にたずねてきました。
「おじさんは、何をしに中国に来たのですか?」
私は答えました。
「あなたに会いに来たのです」
それは、まぎれもない私の率直な思いでした。「人間と人間、民衆と民衆、青年と青年を結ぶ懸け橋に」──これが私の決心でした。
中国に続いて、ソビエト連邦(現在のロシアなど)も訪れました。当時、ソ連は“こわい国”という印象を持っている人が少なくなかった。行く前には、“宗教者なのに、なぜ宗教を否定する共産主義の国に行くのか”と、批判もされました。私は答えました。
「そこに、人間がいるからです」
そうやって世界に開いてきた
「友情のシルクロード」を、私は皆さん方に託していきます。
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──池田先生は、アメリカの名門コロンビア大学での講演で、世界市民の模範として──
1、生命の平等を知る「智慧の人」
2、違いを尊重できる「勇気の人」
3、人々と同苦できる「慈悲の人」
の3点をあげられました。
この視点は、世界の争いごとを解決するための重要な条件としても注目されています。
名誉会長 皆さんは、これから世界中の人と友だちになり、平和を創造していく若き指導者です。
学びに学んで、人間としての実力を、じっくり磨いていってください。
世界の文学にも挑戦してもらいたいね。読書は、ただ「情報」を得るだけではなく、その国の文化や歴史も深く学ぶことができる。豊かな「心」の共感を広げてくれます。
とともに、語学をしっかりと学んでほしい。語学は“世界へのパスポート”です。一つの言語と言わず、これからは二つも、三つも必要になります。
東北・岩手生まれの新渡戸稲造博士は、若き日に「太平洋の懸け橋」となることを志し、国際連盟事務次長も務めた世界市民です。初代会長の牧口先生とも、交友がありました。その博士が、こう言われています。
「自分の現在の義務を完全に尽くす者がいちばん偉いと思う。そして、自分の現在の義務は何であるかをはっきり認め得る人は、人生の義務と目的とを理解する道に進むであろう」(新渡戸稲造著『自分をむっと深く掘れ!』三笠書房刊)
博士は、今の自分自身を掘り下げていけば、世界に道は開かれていくと考えていました。
今、この時に、学んで学んで、自分を深めていく──その努力の先に、世界はいくらでも広がっている。
世界がみんなを待っています。
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──未来部員の中には、語学が苦手という人がいます。
名誉会長 これまでは、そうだったかもしれない。しかし、人は変わることができます。学ほうと決意した時がチャンスです。
勉強するのに「遅すぎる」なんてことは、絶対にありません。
「習うより慣れろ」です。最近のあれだけ難しい日本語が話せるんだもの(笑い)、外国の言葉も必ず話せるようになります。
私が、みんなと同じ年代のころは戦争中だったので、英語は敵性語として勉強できませんでした。
もう一度、学生時代に戻れるならぱ、語学をしっかり身につけたいと、つくづく思います。
だから、若い皆さんは思い切り語学を習得して、世界に友情を広げていただきたいのです。
できれば、お父さんやお母さんも、外国に案内して差し上げてほしい。
「世界広宣流布」は、日蓮大聖人が御生涯をかけられた大願です。御書を拝すると、「世界」をあらわす「一閻浮提」「閻浮提」「閻浮」という言葉が、実に200ヵ所以上も、記されています。
この大仏法を持つ皆さんが、立派な世界市民と躍り出て、社会と広布のリーダーとして大活躍していくことは決まっています。
その日を楽しみに、この1年も、皆さんと一緒に前進したい。
さあ、新しい年の始まりに、新しい目標を掲げて出発しよう! 共に未来へ! 共々に世界へ!