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そのまた、昔のまた昔。
ずぅーっと昔のまた昔。 美しく、気高い女皇がおりました。 女皇は幽玄の丘の神殿に住み、日の神に仕えておりました。 女皇にはひとりの弟君が居り、 弟君の仕事は、女王の詔(みことのり)を聞き、 詔の如く国を治めることでした。 未だ暗き朝。 夜露を踏んで弟君は丘の上の神殿に参内し奉ります。 姉君である女皇を、まどろみからお起し奉り、 絹衣を脱がせ、湯殿にとお連れ申します。 真白き肌に触れ、その裸身を浄めることは弟君だけに許された仕事でした。 そして、弟君は女皇の裸身を朝日の射る褥に横たえます。 やがて高窓から朝一番の陽が差し込み、女皇を照らしはじめます。 女皇は日の神と契り、厳かな快楽へと身を委ねます。 その間、弟君はお側に控え、静かに神と皇との契りを見守ります。 身の内に巻き起こる甘美と嫉妬とに絶えながら。。。。 弟君は姉上を愛しておりました。 命、賭けて。。愛しておりました。 しかし、それは皇と臣故、 姉と弟と故、 姉は神と契る者故、 永久(とわ)に、秘められた恋情でございました。 ある時、姉と弟の国に、隣国荒ぶる神の国の軍勢が攻め込みました。 荒ぶる神の軍勢は、鉄の剣と鉄の盾を持ち、 黒い騎馬に乗る強大な軍勢でありました。 弟君は、姉君を護って槍を取り勇敢に戦いましたが、 やがて、槍は折れ、矢つき、傷つき倒れてしまいました。 女皇は囚われ、丘の上の神殿に幽閉され、 荒ぶる神と契り、妃となることを強要されてしまいました。 弟君は八雲立つ国に逃れ、隠れ棲み、 血の涙を絞って、お誓いになりました。 七度、生まれ変わってでも、荒ぶる神を滅せんと。 今度こそ、皇と臣としてではなく、 彼のひとを褄として愛さんと。。。。 歴恒の時を経ても、必ず、必ず、愛さんと。。。。。 むかし、むかし。 そのまた、昔のまた昔。 ずぅーっと昔のまた昔。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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