かぽんのこだわり道場ミリタリー館

2008/11/08(土)20:33

戦争映画「タンネンベルク1939 独ソ侵略戦争」 評価★☆ ドイツ軍士官とユダヤ女性の禁断の恋

戦争映画(632)

2007 カナダ 監督:ダミアン・リー 出演者:キム・コーツ、ニーナ・ドブレフほか 96分 カラー The poet タンネンベルク1939 独ソ侵略戦争(DVD) ◆20%OFF! DVD検索「タンネンベルク1939」を探す(楽天)   第二次世界大戦序盤の1939年、ドイツ軍によって占領されたポーランドを舞台にしたラブロマンス。著名な将軍を父親に持つドイツ軍士官がユダヤ人女性と禁断の恋に落ちていく話しで、ドイツ軍がポーランド侵攻の後にソヴィエトとの開戦に至る過程が背景となっている。  近年カナダ製作の映画が増えているが、新進監督によるものが多く、かなり当たりはずれの差が大きい。本作監督のダミアン・リーは決して新進監督と言うわけではないようだが、はっきり言ってB級ラブロマンスの域を出ない。  メインジャンルがラブロマンスだけに、背景となっているドイツ軍のポーランド侵攻や独ソ戦描写はあまり期待できない。とはいえ、ドイツ軍としては少数ながらもドイツ国防軍、SS親衛隊、対するはポーランドレジスタンスとロシア人ゲリラが登場し、レジスタンスやゲリラの組織的背景や構成は映画中では余り解説されることはないものの、それなりの雰囲気だけは味わうことが出来る。  レジスタンスとの銃撃戦や、ユダヤ人虐殺シーンの描写はまあまあの出来。グロすぎない程度のリアルな描写で、戦場の悲壮感を浮きだたせている。  だが、メインとなるラブロマンスとしてはかなりの駄作。戦争の不条理に反抗心を持つドイツ軍士官、妙に理解のある士官の母親、貞操の軽いユダヤ人娘など、設定がかなり安直。冒頭からいきなりエッチしてしまう主人公らにも萎えるが、その後も両者が禁断の恋愛感情を持ち続けるというモチベーションがどうも感じられない。さらに、いきなり妊娠、出産と映画内のエピソードに比して早すぎる時間展開も混乱を招く。映画中のイメージだと翌日の雰囲気なのに、実は数ヶ月たっていたりするのだ。ストーリーの熟成度という観点では全く駄目。  また、登場人物の性格付けもかなり浅く、先の恋愛感情の盛り上がりを感じられないことにも影響を与えている。厳格なドイツ軍人である父親の価値観というものの表現が足りないために、息子である士官の反抗心と背徳の苦悩がやや表現し切れていない。また、ユダヤ人女性が性を武器に生き延びていく過程も表現がさっぱりしすぎていて、心情の動きが全くわからない。  映像という点では悪くはないが、ストーリーとしては心に響くものがほとんどなく、ラブロマンスの深みも感じられない。お手軽に相対する二人をくっつけてラブロマンスに仕立て上げてみました的な印象だ。もう少し捻りや深みが欲しかったなあ。 興奮度★ 沈痛度★★★ 爽快度★ 感涙度★ (以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)  1939年のポーランド。ドイツ軍はポーランドに侵攻し、ユダヤ人の村を攻撃し虐殺を繰り返していた。ドイツ国防軍のコーニッグ少将を父親に持つオスカー・コーニッグ中尉は特殊部隊員としてポーランドに潜入していたが、吹雪で行き倒れたユダヤ人娘レイチェルを助ける。  レイチェルを介抱したオスカー中尉はレイチェルと恋に落ち、素性を明かす。レイチェルは翌週にユダヤ人男性ベルナルドと結婚することとなっていたが、オスカーと逃げようと提案する。だが、仲間のドイツ兵の手前上、オスカーは彼女を村に帰さざるを得ない。  しかし、彼女のガー村がドイツ軍の襲撃の対象となっていることを知り、オスカー中尉は助けに向かう。レイチェルは戻る途中ベルナルドと出会い、逃げていた。次々に殺されるユダヤ人。ついにレイチェルとベルナルドもドイツ兵に見つかってしまうが、危ないところでオスカーが現れ、二人を逃がすのだった。  オスカー中尉のもとにコーニッグ将軍と母親がやってくる。コーニッグ将軍のやりかたに反抗するオスカー中尉だったが、母親はユダヤ人女性との恋愛に理解を示し、レイチェルを見つけ出し、二人でカナダに逃げることを示唆する。  一方、レイチェルは妊娠が発覚。オスカー中尉の子であることを知りながらもベルナルドはレイチェルと結婚することを決意する。ドイツ兵から逃げながらレイチェルは子供を出産する。しかし、子供を育てていくためにはドイツ軍露営地ビュトゥで働くしかなく、レイチェルはそこで歌手兼ドイツ軍高官の夜の相手をして生活し始める。  コーニッグ少将がビュトゥにやってくる。美しいレイチェルを認めて夜の相手をさせようとする。愛するオスカーの父親だと知り苦悩するレイチェルだったが、少将はそのまま寝てしまう。  オスカー中尉もビュトゥにやってくる。そこでレイチェルの姿を見つけ、二人で逃げ出そうと約束する。しかし、赤ん坊がドイツ兵によって殺されてしまい、怒ったベルナルドがドイツ兵を殺害。ベルナルドとレイチェルは露営地を逃げ出し、ロシアゲリラによって捕らえられてしまう。  オスカー中尉はロシアゲリラの掃討のために出発。ロシアゲリラを発見して捕らえる。ロシアゲリラの首領はベルナルドらにオスカー中尉の狙撃を命じる。ドイツ兵がオスカー中尉だと知ったベルナルドはレイチェルにオスカーのもとに走れと命じ、反転してロシアゲリラに銃撃を加える。ベルナルドは撃たれ、オスカーにレイチェルを頼むと言い残して死ぬ。

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