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カテゴリ:戦争映画
2006 ドイツ 監督:アンドレ・マイヤー
出演者:ドキュメンタリー 52分 カラー LIEBTE DER OSTEN ANDERS? - SEX IM GETEILTEN DEUTSCHLAND コミュニストはSEXがお上手?(DVD) ◆20%OFF! DVD検索「コミュニストはSEXがお上手」を探す(楽天) 第二次世界大戦によって東西に分断されたドイツ。1989年にベルリンの壁が倒れるまでの約40年間、社会主義と自由主義に別れて成り立ってきた、東ドイツと西ドイツのセックス事情を描いたドキュメンタリー。ドイツのテレビドキュメンタリーとして製作された作品のようだが、何故日本でDVDになったのかは不明(笑)。私のテリトリーである戦争映画でもないのだが、まあ東西冷戦の絡みということで視聴してみた。・・・というか気になるよね、この題。 まず、東ドイツと言えば、スポーツ大国、特に体操などの女性スポーツが強いというイメージで、社会主義国にありがちな厳しい規制下に抑圧されているのではという印象が強い。例えば、東ドイツの恐怖体制下を描いた「善き人のためのソナタ(2006)」でも暗い生活が表現され、性に関しても党教育によって厳しく監視されているといった印象がある。 ところがである。本作ではまるで正反対のことが明らかにされるのだ。性は厳しく監視され、モラル正しい青少年といった姿ではなく、自由奔放、開放的な性生活があったというのだ。党が率先して性教育を施し、16、7歳で肉体関係、十代の婚前交渉は当たり前、結婚とセックスは別物と言い切る環境はまさに「フリーセックス」そのものだ。従って、22歳までの出産は日常的で、25歳以上の出産は高齢出産と言われるのだそう。片や西ドイツでは教会の道徳観により、性というものが表だって表現されることはタブーなのだ。どちらが自由主義国なのかと驚いてしまう。 こうした性の実態がどうしてこうなったかも本作では触れている。確かに、同じ社会主義国家の北朝鮮の性事情もひどく乱れていることは知られているが、某地方や某学園都市に行くとやることがないので、セックスばかりやっている、などということがまことしやかに言われるように、暇だから?という思いもあった。だが、本作ではきちんと社会学的な見地から考察されているのが凄い。(内容は下記のネタバレにて) まあ、他人の庭を覗くようなどうでもいいようなドキュメンタリーだが、意外に政治背景や社会背景が垣間見れて面白い作品ではあった。ちょっと旧東ドイツに憧れたりして・・・・(笑)。 なお、映像のほかに変なアニメが多用されていて、裸はそこそこ出てくる。 (以下 ネタバレ含むので注意) まず、東ドイツは女性の地位が高い国であること。それは、第二次大戦で多数の男が戦死した結果、捕虜や抑留された男は皆西ドイツに帰ってしまい、東ドイツには男が慢性的に足りなかったということがあるようだ。その結果、女が働いて社会を支えなければならず、西ドイツでも戦後まもなくは同様であったがすぐに元に戻ってしまったとか。労働し、社会的地位も強くなった女性は、自然に性欲も強くなったのだという。 次に、女性が労働をするために母子家庭でも生活できるシステムが充実した。子供の養育費、子供が生まれると住居が与えられるなど子供が負担にならないシステムが構築されていく。そのため、若い頃から性生活や子供養育に対する不安や抵抗がないのだという。 また、社会主義国家にとって若者の育成は重要である。国の礎として政治的洗脳を施すために、下手な反抗心を植え付けるわけにはいかないのだ。そのため、党自体が若者の性に寛容になり、早くから性教育を率先して行っている。若者たちは党公認のもと、正しいセックスライフを堪能するわけだ。若者たちは「特定の相手を作りたくない」「いろいろな相手を楽しみたい」「いろいろ試せる」などと驚きの発言を平然とするのだ。 西ドイツと、東ドイツの差はこのほかにもあげられている。性に開放的な東ドイツだが、実はポルノは禁止だったそうだ。ポルノ雑誌や映画は公然と見ることはできず、アマチュアのセックスビデオがアンダークラウンドで出回っていたそうな。その代わり、公式の性教育映画は充実し、青少年達はセックスに対する正しい知識を得ていくのだ。一方、西ドイツはポルノ映画が氾濫し、金で性も買える環境でありながら、教会の道徳感で性を語ることはタブー視され、1967年まできちんとした性教育が施されなかった。従って、逆に性に臆病になるのだ。東ドイツはやるセックス、西ドイツは見るセックスということか。 また、西ドイツでは女性がオルガスムに達することを重視するが、東ドイツは一体感を楽しむのだそう。ピルについても西ドイツでは避妊薬と言うが、東ドイツでは無料の妊婦用ピルという表現だそうだ。東ドイツでは1972年の法改正で12週まで中絶が許可された。 なお、男のモノの長さも、オルガスムの到達率も、性の目覚め、テクニックも東ドイツが勝っていたそうだ。 東ドイツでは1980年代頃にヌーディストビーチなどヌーディズムが大衆化する。国民の9割が経験しているそうで、裸に対する羞恥心やセックスの目的が大きく異なっていることがわかる。 だが、1989年のベルリンの壁崩壊と共に、東ドイツに西ドイツのポルノ文化が流入し、東ドイツの女は西ドイツの男に群れたがり、西ドイツの男は東ドイツに女を買いに行くようになったという。それから15年たち、すっかり旧東ドイツのセックス事情も均一化されてきたとのこと。 興奮度★★★★★ 沈痛度★ 爽快度★★ 感涙度★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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