浅きを去って深きに就く

2019/04/29(月)07:39

【因果倶時―確信の哲学】創価新報08・10・15

哲学(28)

教学随想(四国男子部教学部長 藤代 悟) 「永遠の時」をめぐる夢 アインシュタインの特殊相対性理論。これは、一側面から見れば、「未来へのタイムトリップ」の可能性を示した理論といえる。 ある速度で動いている人の時計は、それより遅い速度で動く人の時計よりも、進み方が遅くなる――特殊相対性理論では、このことが予言され、実質的に確認された。 宇宙で最も速く移動するとされるのは「光」。この光速に近い速さで運動する物体は、ほとんど時間の進みがない。例えば、光速の90%の速度宇宙船で旅行する。すると、制止している人が1年間を過ごした時点で、宇宙船内の時計ではまだ0.44年しか経過していない。 宇宙船で10年過ごし、出発地点に戻れば、そこではすでに約23年が過ぎている。まさに、一足先に未来に行くタイムマシン。「ウラシマ効果」と呼ばれている現象である。 夢はつきない……とは言っても「光速」は実に秒速30万キロ。人間が乗った世界最速の乗り物とされるアポロ宇宙船の秒速約11キロよりも、2万7000倍以上も速い。ちょうど、自動車とカタツムリほどの違いである。タイムマシンの実用化は、まだまだ先になりそうだ。 しかし、実はこの光速、私たちの身近なところにもある。人の脳で数千億の神経細胞が発する電気信号である。細胞間を伝わる際に抵抗が生じるため、光速と全く同じではないが、限りなく光速に近い。 生命の営みの中に“時を超えるスピード”が駆け巡っている。「永遠」と「一瞬」が互いに交錯しているのである。 科学談義が過ぎたようだが、ともあれ、古今東西、多くの科学が、文学が、そして宗教が、「時」「永遠」という問題を思索して来た。 その中で、最新の自然科学や科学が発見し、たどりついた生命「永遠」と「一瞬」という点を科学が発見し、たどりついた「永遠」と「一瞬」という点に、常に目を向けてきたのが仏法である。 仏法の因果とは、仏因(九界)と仏果(仏界)のことである。そして、この仏法の極理に「因果倶時」という思想がある。 「因果倶時」。それは、まるで光のように「永遠を一瞬に凝縮させ」、同時に「一瞬を永遠に拡大させる」、壮大なスケールの哲学である。 (つづく)

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