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カテゴリ:哲学
何か苦しいことがあり、困り果てたりすると「運が悪い」とあきらめて、それ以上努力するのをやめてしまうものがある。こういうのを思考停止といい、ダメ人間の典型というのである。
実際は、運が悪いのではなく、知恵がないのである。知恵がないというより、知恵を出そうとしない怠け者といったほうがよいのかもしれない。 だいたい運が悪いという場合、よく調べてみると、過去においてヘマな事をしたり、サボったり、手を抜いたりしてきたことが、たまりたまってどうにもならなくなってしまったというのが実情というケースが少なくないのである。
たとえば、自分の所属している業種が斜陽化しているので、どうにもならない。まずい業種を選んだのが運が悪かったなどという。よく考えてみるがいい。今から十数年前には、景気がよく、将来性があると思ったからこそ入社したのではなかったか。一時的な繁栄と高給に目を奪われ、将来のことは考えず、あるいは楽観して入社したのだから知恵が足りなかったのである。
その当時でもすでに、先進国ではその業種は衰退しており、いずれは歴史は繰り返すで、わが国でもそうなるであろうことはわかっていたのではないか。
石炭、紡績、鉄道、肥料といった業種は二十年前にはとてもよい就職先であった。逆に松下電器、トヨタ自動車、日産自動車といった会社は三十年程前には、労働争議でつぶれそうな会社であった。その試練を必死でくぐりぬけたからこそ今日がある。
易きに就いた者は、自分の選択の知恵のなさで今日苦しんでいるのである。 また、同じ紡績といっても日清紡のように業界斜陽化のなかで堂々と黒字になっている会社もある。これは知恵と努力で悪い条件を切り捨て、プラスを生み出したからである。
今非常によいといわれる業種でも、油断をし、おごり高ぶっていると、第二、第三の炭鉱や国鉄と同じ運命をたどることになるであろう。歴史の審判は厳正である。
改善工夫、合理化の努力を怠り、組織と特権の上にあぐらをかいている者の将来はないと断言してよい。組織の中に安住し、組織に保護を求めはじめると、人間はダメになるというのはどうやら本当らしい。これからの人類の最大の課題の一つになりそうである。
【「リーダーシップの名言集」】鎌田 勝著/三笠書房 1986年5月10日発行 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 20, 2019 03:25:25 PM
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