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カテゴリ:抜き書き
「恥を知らねば恥かかず」という言葉も、変化に関連する金言として肝に銘じておかねばならない。恥をかいたことのない人間は本当の恥を恥と認識できずに、次々と新たなヘマをやらかす。きちんと自分の失敗を省みて、さらなるステップに活かすことが肝要だ。
私は、「失敗」と書いて「成長」と読むことにしている。まさに読んで字の如し。失敗を活かせる者はそれを放置するものに勝る。それが「変化」となって現れる。 ◇ 「感性を磨いておけ」と、私が諄々と選手達に説く理由はそこにある。 「小さくて気がつかないようなものにこそ、美しさがある」とは、文豪・夏目漱石の明言である。 微細な変化や移ろいに気づく感性は、野球ばかりでなく、どのような分野にでも生かされるはずだ。 ◇ 天才型の選手は、おしなべて物事を深く考えようとしない。その必要もないからだが、肉体やそれにともなう技術の衰えをカバーしなければならなくなったとき、誤った考えに陥ることがある。(略) しかし、この世に生きるほぼすべての人間は天才ではない。努力をせねば追いつき、追い越せない、あるいは先頭に立つことはできない。 そのためには、「気づく」「感じる」そして「考える」ことだ。「人間は他者との差異や違いで勝負する存在」なのだから、小事、細事に神経を行き届かせ、その積み重ねによって自己を確立していかねばならない。勝者と敗者の分岐点もそこにあるのだ。再度申し上げるが「小事、細事が大事を生む」という理念を大切にしたいものだ。 【エースの品格】野村克也著/小学館 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 17, 2019 04:07:00 PM
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