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October 3, 2013
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カテゴリ:脳科学
 

脳はあらかじめ目標を設定し、その達成の仕組みを作る。目標があらかじめ設定されないと、脳は何の達成の仕組みを作ってよいのか分からず、混乱し活性化しない。「きょうはこんなことがしたい」という目標がないと朝起きられないのは、この脳の機構によっている。従って、脳を活性するためには、こんなことがしたいという目標(イメージ)をまず設定することである。このことから、脳ではイメージが先で現実は後追い、と言える。

脳があらかじめイメージを設定し、そのイメージが実現できたととらえると、それは即現実となる。現実にはそのことがいまだ達成されていないにもかかわらず、脳がそのイメージを達成されたととらえた時が、現実となるのである。

 

○女子柔道の田村亮子選手の場合

1996年のオリンピックの決勝で無名の新人に敗れ、大番狂わせとなって苦杯をなめた。彼女は準決勝で宿敵を倒し、決勝の相手が取るに足りない選手であることから、この段階で金メダルを獲得できたとイメージしてしまったのであろう。

脳が目標を達成できたとイメージしたので、決勝に挑んでも力が発揮できずに金メダルを逃し、涙を飲んだと思われる。金メダルを獲得することを目標にオリンピックに出場すると、実際に金メダルを取ることは極めて難しい。

 

○サッカーの三浦和良(カズ)は、ワールドカップに出場することを夢見て長年サッカーに取り組んできた。そして、ワールドカップに出場できると言う夢が実現しそうな段階に至ったころから、深刻なスランプが始まった。おそらくワールドカップに出られるとカズ自身がイメージした時からであろうと推測される。

 

昔、日本帝国軍は味方の遭難者を救助した後、優しい言葉掛よりも鉄拳を加えた、ということが知られている。「よく頑張った」」などの慰労の言葉よりも鉄拳を加えるほうが、救助された者を生かせることを統計が示している。それは「味方の船に救助されたい」という遭難時の目標が失われた者には、早く次の目標の再設定を促すことが緊急の生命救助に連結するからであろう。

山の遭難者には、山小屋を目前にして亡くなる人がいることが報告されている。小屋を目にして「やっとたどり着けた」とイメージするときが最も危険であると言えよう。目標が達成されたと思って満足を得ているときは、実は精神的にも身体的にも下り坂を転がり落ちている時かもしれない。

 

【脳を活性化するために】脳神経科学者・松本元/京都新聞2002・8・6~






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Last updated  October 3, 2013 06:39:00 AM
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