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December 15, 2016
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カテゴリ:コラム

探検家、医師、武蔵野美術大学教授  関野 吉晴

 

ペルーアマゾンに住むマチゲンガ族の家族と40年の付き合いをしている。

男たちは狩りの名手だ。狩りには弓矢を使う。弓用は椰子、矢軸用はイサナという葦のような植物を栽培している。矢じりは動物用には竹を、鳥や魚用には椰子を使う。コンゴウインコやオウギワシなどの羽根を矢にあった大きさに切り、樹脂の接着剤と糸で丁寧に取り付ける。弓は15メートル、矢は2メートル近くになる。強弓で、弓を引くにはかなりの力がいる。彼らが45度の角度で射ると軽く100メートルは飛ぶ。そんな強弓を射る彼らも投げるという行為は不得意だ。

私は川に向かって川原の石を投げていた。およそ50メートル幅の川の向こう側に届く。彼らが見ていたので、「投げてみない」と言うと、投げ方はぎこちなく、向こう側に届く者はいない。野球やソフトボールをしたことのない女の子がボールを投げているかのようだ。

試しに彼らに私に3メートルくらいの距離で石を放ってもらった。私はそれをほとんどキャッチする。すると彼らは目を丸くして「凄い」というのだ。逆に私が彼らに石を投げると彼らは逃げてしまう。「逃げないで捕ってよ」というと、捕ろうとするがうまく取れない。

矢を射る時は剛腕の彼らが石を投げたり、石をキャッチする時はまるでか弱い女の子のように、小さく見える。川や森で一緒に行動していて私が身体能力ですぐれていると感じるのはこの時だけだ。筋肉の発達した彼らも、やったことのない投げるとかキャッチするという行為が不得手なのを見ると、子供の時からしていない動作は筋力と関係なく、うまくできないんだなと思った。

 


【すなどけい】公明新聞
2016.10.14






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Last updated  December 15, 2016 05:37:26 AM
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