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カテゴリ:宗教と社会
広宣流布のために 悩みに立ち向かう友に、どのような言葉をかけたらいいか……。学会活動に励む中で、誰もが真剣に向き合う課題である。 先日入会したメンバーが語っていた。 「私は幾つもの病気があり、仕事も家庭もうまくいかず、生きる気力を失っていました。そんな時に、友人が何度も励ましてくれたんです。彼の“信心で幸せになろう”との言葉を信じて入会を決めました。今の自分があるのは彼のおかげです」と。 「友人」とは、埼玉の男子部部長である。3年にわたり、自宅から車で1時間半かかる友人の自宅まで通い続けた。家に行っても会えなかったときは、手紙などを置いて帰った。その誠実な振る舞いと、相手を思う言葉が、友人の心に届いたのである。 だが、この部長にも、かつては将来に希望を見いだせない苦悩の時期があったという。そんな中、励まし続けてくれた男子部の先輩がいた。 「たとえ今、どんな苦境にあろうとも、『広宣流布のために』本気で立ち上がった人を、諸天が守らないわけがない」との先生の指導を通して、先輩は絶対の確信を伝えてくれた。 自分に全身でぶつかってくれた先輩の熱意に触れ、信心で乗り越えようと決意。やがて悩みを克服し、今では多くのメンバーを支える広布のリーダーへと成長した。 「真心は必ず届く」と確信しているからこそ、人を励ますことができる。 15歳の時から、国指定の難病「レーベル遺伝性視神経症(レーベル病)」と闘う男子部部長がいる。視力が低下し、視野の中心が欠けているような状態での生活を余儀なくされている。兄も同じ病気を患っており、発症直後は“兄と同じ苦労をするのか”と思うと、涙が止まらなかったという。 調理師になる夢を諦め、専門学校を中退。自暴自棄になり、絶望の淵に沈んだ。そんな彼を救ったのもまた、何度も激励に来てくれた男子部の同志の言葉だった。 「信心で乗り越えられる。一緒に頑張ろう!」との力強い一言に、一歩を踏み出す勇気を得た。その後、盲学校に通い、勉強に挑戦。牙城会大学校へ入校し、同じ視覚障がいのある友人2人へ弘教を実らせることができた。 これまで9人を入会に導いた彼は、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得し、現在、訪問マッサージや疾患のある方へのリハビリをサポートしている。 私自身も「言葉」によって勇気や希望を得た経験が、数多くある。 「私も先頭を切って戦います。一人、戦います。本当の弟子はついてきていただきたい」 本部幹部会の席上、真剣なまなざしで語る池田先生の峻厳な一言は、広布に生き抜こうと誓った原点になった。 しかし、決意のままに折伏に挑むも、なかなか結果に結びつかない。だんだん弱気になっていく私を変えたのもまた、「本気で戦い腹が決まっているのか」との先輩の厳しくも温かい言葉だった。そこから一念を変え祈り抜き、初めて弘教を果たした時の喜びは忘れられない。 「励まされる側」から「励ます側」へ————この過程には、必ず自分を変える存在があり、「言葉」がある。その励ましの連鎖によって、SGIは世界の192カ国・地域に広がっているのだ。
希望を届ける対話を 池田先生はつづっている。「人間の魂が迸る言葉には、偉大な力がある。我らの生命を鼓舞する勇気があり、希望がある。正義の信念があり、邪悪への憤怒がある。ともあれ、人間は言葉なしでは生きられない。『言葉の力』を信ずることは『人間性の力』を信ずることである」と。 私は聖教新聞社に勤務し、書籍販売に携わっている。先生の著作をはじめ、学会による「言葉の力」を育む運動が着実に社会に浸透している様子を目の当たりにしてきた。 毎日新聞社が1947年に開始した「読書世論調査」。一昨年の調査で「自分の生き方に影響を与えた本は何か」という問いに約400タイトルが答えられ、その中で池田先生の小説『人間革命』が第2位となった。他にも『青春対話』『詩集 青年の譜』などが選ばれている。先生が紡ぐ「言葉の力」は多くの人の胸を打ち、苦境と戦う人を鼓舞してきた。 直接会っての対話から、手紙や電話、メールにSNSなど、言葉の届け方は時代とともに多様化してきた。しかし、伝えるのが人間であることは変わらない。 インターネット社会が進み、玉石混交の情報が飛び交う時代だからこそ、我らは「希望の言葉」を紡ぎたい。 日々の仏道修行を根本に、御書や池田先生の指導をわが生命に刻みながら、どこまでも「心の思い」を響かせる対話に挑みゆく決意だ。
【論RON——日蓮仏法の視点から】創価新報2017.10.4 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 12, 2017 05:39:38 AM
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