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August 21, 2020
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カテゴリ:哲学

自分に向き合い理想を発見

山口大学教授 小川 仁志

 

テーマ 孤独が怖いです

人は或る主の人々にはひとりでいることを気持ちよく許してやり、

よくあるように、彼らをそのためにあわれむような愚かな真似は

せぬようにしなくてはならない。                              ニーチェ

 

ひとりでいることを気持ちよく許し、哀れむような愚かな真似はしてはいけない。ニーチェはこの言葉を誰に向けていったのか? 私には、彼が自分自身向けて言ったように思えてなりません。なぜなら、ニーチェはまさに孤独な人生を歩んだ哲学者だからです。

だからこそ人に対しても、孤独に負けないように強く生きろと訴えたのでしょう。世の中には、友達がいないといって嘆く人がいます。でも、ニーチェはそんなことで嘆く必要はないと言うのです。なぜならば、他者に嫉妬する要因がないことの証しだからです。自分より優れているところがあるから、人は誰かに付き合おうとするのだと。

こんなふうに考えられれば、確かに友達がいないことを悲観する必要はなくなります。友達がいないのは、自分がすぐれている証拠だというわけです。刺激を受けることがなく、学べることも尊敬できるところもないならば、人と付き合う気にはなれないでしょう。

では、孤独な時間を過ごすことで人は一体何を得るのか? ニーチェの表現と言うと、おそらく「高級な自己」を見いだすことができるようになるのだと思います。言い換えると、それは理想の自己の発見です。例えば漫画であれば、「彼が見て描くことのできた彼の最高の幻想」がそれに当たるといいます。

その供給な事故さえ見いだすことができれば、他者がどうであれ、一切動じることなく孤独を追究しているに違いありません。だから自分に向き合う必要があるのです。ニーチェもまた、高級な自己を見つけることができたからこそ、歴史に名を残す哲学者になり得たのだと思います。恐れるべきは孤独ではなく、孤独を哀れんだり、避けたりする態度にほかなりません。

フリードリッヒ・ニーチェ(188441900年)。ドイツの哲学者。著書に「悲劇の誕生」「ツァラトゥストはかく語りき」など。

 

 

【先人が伝える「人生のヒント」5】公明新聞2019.12.26






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Last updated  August 21, 2020 05:00:55 AM
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