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September 25, 2020
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カテゴリ:SGIの日 記念提言

「人生地理学」で提起された問題

気候変動も貿易摩擦も、経済と社会の在り方に深くかかわる問題といえますが、この古くて新しい問題について考える時に思い起こされるのは、私ども創価学会の牧口常三郎初代会長が20世紀初頭に現した『人生地理学』で提起していた視点です。

牧口会長は、武力による戦争が「臨時的」に引き起こされるものであるのに対し、経済的競争は「平常的」に行われる特性があると指摘したうえで、こう論じていました。

「彼(=武力による戦争)が(きょ)(ぜん)として惨劇の演ぜらるるが故に意識的に経過するに反して、(これ)(=経済的競争)は徐々として緩慢に行わるるが故に無意識的に経過するにあり」(『牧口常三郎全集』第2巻、第三文明社。注〈=〉を使い、現代表記に改めた。以下同じ)

牧口会長が強調したかったのは、戦争の残酷さは明白な形で表れるために多くの人々に意識され、交渉や仲裁によって被害の拡大を食い止める余地が残されているが、経済的競争はそうではないという点です。

つまち、経済的競争は自然的な淘汰に半ば一任されているような形で無意識的に休むことなく続けられるために、社会における日常的な様相と化してしまう。そのために、人々を苦しめる状況や非人道的な事態が生じても往往にして見過ごされることになる、と。

当時、世界では帝国主義や植民地主義の嵐が吹き荒れ、他国の犠牲の上に自国の繁栄を追い求める風潮が広がっていました。

こうした風潮が当たり前のようになってしまえば、〝ある程度の犠牲が生じてもやむを得ない〟とか〝一部で被害が出ても自分たちには関係がない〟といった受け止めが社会に沈殿することになりかねない。

その結果、弱肉強食的な競争が歯止めなく進む恐れがあり、牧口会長は「終局の惨劇においては却って遥かに烈甚なるにあり」(同)と警鐘を鳴らしましたが、その危険性は、当時とは比べ物にならないほどグローバル化が進んだ21世紀の世界において、格段に増しているのではないでしょうか。

もとより牧口会長は、社会の営みにおける競争の価値そのものは否定しておられず、切磋琢磨があってこそ新しい活力や創造性豊かに育まれると考えていました。あくまでも問題視したのは、世界を生存競争の場としか見ずに、自分たちだけで生きているかのような感覚で振る舞いつづけ、その結果に無頓着でいることだったのです。

 

 

【「人類共生の時代へ 建設の鼓動」第45回「SGIの日」記念提言㊤】聖教新聞2020.1.26






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Last updated  September 25, 2020 05:47:43 AM
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