4819448 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

浅きを去って深きに就く

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

July 15, 2021
XML
カテゴリ:紙上セミナー

心の重荷を軽くする関わり

幼児・家庭教育部長  市川 由紀絵

 

苦しむ子に寄り添う

池田先生の「私の最後の事業は教育である」との言葉に感銘し、教員になって33年。これまで、さまざまな子どもたちと出会いました。苦労や悩みもたくさんありましたが、それ以上に、子どもたちから「生きること」のすばらしさ、人間の持つ可能性の大きさを教わり、教育という仕事の偉大さを感じます。

忘れられない出会いの一つに、私が担任を受け持った、ある6年生の児童がいます。

この学年は、前年度に学級崩壊しており、新年度がスタートしてからも、男子児童数人が授業中に勝手に立ち歩いたり、授業を妨害したりしました。それを注意した教員に集団で暴力ふるうこともしばしば。その影響で、他の児童も無気力になってしまい、手のつけられない状況でした。

こちらが何を言っても、返ってくる言葉は「うざい」「くそ」「死ね」という暴言ばかり。どうしたらこの子どもたちと心を通わせることができるのかと、悩みながら題目をあげ、自分なりに懸命にかかわっていたある時、リーダー格の子がつぶやいた一言に、はっとしました。

「どうせ俺たちなんか、何をしたって認められない」

〝ああ、この子たちは、心の中では認めてもらいたい、がんばりたいと思っているんだ〟—そう気付かされました。問題行動の奥にある、子どもたちの心が見えた瞬間でした。

以来、子どもたち一人一人に、活躍の場を与えていき、少しの変化でも保護者に伝えるようにするなど、粘り強く成長を見守り続けました。

迎えた卒業式。それぞれ立派に成長した子どもたちの姿に心を打たれ、「どんな子でも、必ず伸びることができる」との確信を深めました。

 

感染拡大の中で

御書に、「一度妙法蓮華経と唱うれば一切の仏・一切の法・一切の菩薩(中略)一切衆生の心中の仏性を(ただ)一音(ひとこえ)()び顕し奉る功徳・無量無辺なり」(557㌻)とあります。

私たちの唱える題目には、ありとあらゆる生命から、仏性という最極の善性を呼び覚ましていく響きがあります。〝どの子にも無限の可能性がある〟と信じて祈り、関わり続けるこちらの心は、子どもたちの心にも必ず伝わると確信します。

新型コロナウイルスの感染拡大で、学校生活は一変し、マスク着用やフィジカルディスタンス(身体的距離)を取りながらのかかわりは、人と人との距離を遠ざけるものとなりがちです。

コミュニケーションが取りづらいことに加え、授業時数の確保のために夏休みも短くなり、学習の遅れを心配する周囲の雰囲気に、重苦しさを抱えている子も少なくないでしょう。また、大人自身が不安を抱えている様子を、敏感に感じ取っている子もいます。

一方、外出自粛の期間を「家族のつながり」を再確認する機会と捉え、日々の生活の中に楽しさを見つけるなど工夫していた家庭では、子どもも安心して過ごせていたと感じます。子どもたちの悩みや心の声に耳を傾け、同苦し、心の重荷や不安を軽くしてあげるような周囲の関わりが、今こそ大事ではないでしょうか。

 

長男の不登校

わが家の長男が中学1年生の時、同級生の暴力がきっかけで学校に行けなくなりました。長男は穏やかな性格で、頼まれなくても手伝うような優しい子なのですが、断ることができず、また自分のやりたいことをはっきり決められないところもありました。中学に入学してからも、やりたい部活が見つからず、成績は徐々に下がっていく一方、朝になっても起きてこない日があり、「具合が悪いのか」と聞いても返事はあいまいで、無気力のようでした。やっとの思いで登校したものの、友達とトラブルが起こり、とうとう、行けなくなってしまいました。

この時、私は「息子よ、強くなれ 強くなれ」と祈っていました。しかし、そうではないと気付かされました。ある時、夫が長男に、「君のいいところは、その優しさだ。その優しさをずっと大事にしてほしい。君は変わらなくていい。君は、君のままでいいだよ」と話したところ、長男は大粒の涙をこぼしながら、その言葉を聞いていたのです。

それから、長男の状態は好転し、学校にも行けるようになり、生き生きと学校生活を送れるようになりました。進路も自分で決め、中学・高校と勉学に励み、家じゅうに響き渡る声で題目をあげて、志願した大学の合格を勝ち取れたことは、長男の大きな自信になりました。

日蓮大聖人は「人に教えることは、車輪が重かったとしても油を塗ることによって回るようにすることである」(御書1574㌻、趣意)と仰せです。

子どもは、環境が整えば、必ず自分自身で一歩を踏み出せる時が来ます。そのためにも、周囲の大人が、子どもにとっての最大の教育環境となっていくことが何より大切ではないでしょうか。

池田先生はつづっています。

「どんなに困難な現場に遭っても、子どもたちを取り巻くすべての皆様に、『それでも対話を!』と申し上げたいのであります」

「『一番苦しんでいる子どもの側』に立って、対話を進めていただきたいのであります」

心通わせる実践を通して、子どもたちが幸福を感じられる社会を構築していきたいと願っています。

 

[プロフィル]いちかわ・ゆきえ 創価大学卒業後、東京都内の公立小学校に勤務し、現在は校長を務める。1965(昭和40)入会。埼玉県川口市在住。婦人部副本部長。総埼玉副教育部長。

 

視点

抜苦与楽

仏法では、仏の崇高な慈悲の行為として、「抜苦与楽(苦を抜き楽を与える)」の実践を説きます。

日蓮大聖人は、一切衆生の苦悩は「ことごとく日蓮一人の苦である」(758㌻、通解)と仰せになり、苦しみにあえぐ民衆にどう駆使、苦難を乗り越えていくよう、力強い励ましを送られました。

〝同苦〟とは、上から哀れむような〝同情〟ではありません。相手に寄り添い、悩みを共有しながら、相手が自力で立ち上がれるまで、粘り強くかかわり続けていく実践です。

それはまた、「相手の可能性を信じ続けること」と言い換えることもできるでしょう。こうした慈悲の精神に基づく〝励ましの絆〟で結ばれた連帯が、創価学会なのです。

 

 

【紙上セミナー「仏法思想の輝き」】聖教新聞2020.8.11






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 15, 2021 04:17:09 AM
コメント(0) | コメントを書く
[紙上セミナー] カテゴリの最新記事


Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

ジュン@ Re:悲劇のはじまりは自分を軽蔑したこと(12/24) 偶然拝見しました。信心していますが、ま…
エキソエレクトロン@ Re:宝剣の如き人格(12/28) ルパン三世のマモーの正体。それはプロテ…
匿名希望@ Re:大聖人の誓願成就(01/24) 著作権において、許可なく掲載を行ってい…
匿名です@ Re:承久の乱と北條義時(05/17) お世話になります。いつもいろいろな投稿…
富樫正明@ Re:中興入道一族(08/23) 御書新版を日々拝読しております。 新規収…

Headline News


© Rakuten Group, Inc.