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カテゴリ:名字の言
カタツムリの歩み 文豪・幸田露伴は自分の家を「蝸牛庵(カタツムリの家)」と呼んだ。身一つでどこへでも行くという意味で、何度も住まいを替えた ▼最も長く居を構えた地は、東京・墨田区。旧居後は今、カタツムリをかたどった遊具のある児童公園になっている ▼露伴は幼少時代、病弱だった。経済苦で学校を中退もしている。それでも学びを止めず、読書に励み、漢詩や漢学にも親しんだ。それこそ〝カタツムリの歩み〟のような努力を積み重ねて来たといえよう。隅田で書き上げた『努力論』にこんなくだりがある。「努力より外に吾人に未来を善くするものはなく、努力より外に吾人の過去を美しくしたものはない」(岩波文庫) ▼ガンジーは「善いことというものは、カタツムリの速度で動く」(坂本徳松訳)と言った。理想が大きいほど目的地は遠く、道は険しい。日々の歩みに歯がゆさを覚えることもあろう。しかし当たり前だが、止まってしまえば絶対に前には行けない ▼「足元へ いつ来たりしよ 蝸牛」(一茶)。池田先生はこの句を紹介し、「たとえ地味であっても、一歩一歩と着実に進むことが、偉大なる勝利の母となる」と訴えた。誰が見ていなくとも、善の勝利を仰ぎ見るその日まで、自らの努力の歩みを止めるまい。
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Last updated
July 21, 2022 05:24:09 AM
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