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解体用設備の設置規定を設ける 尾松 亮 チェルノブイリ法の約束 ウクライナは「チェルノブイリ廃炉法」(1998年12月成立)で、チェルノブイリ原発4号機に設置された「新シェルター」を、「原子炉解体・デブリ取り出し」用施設として建設・運用することを義務付けた。同法1条の規定に基づき、シェルター内部では「デブリ取り出し」に向けたクレーンの取り付け、運転試験が続いている。 「新シェルター」はG7やEUの支援国による財政支援により建設されたが、支援国側は短期的に「環境汚染の拡大を防ぐ」ことしか関心がなかった。シェルター内部で石棺の解体やデブリ取り出しをする複雑な施設を建設する意図はなかった。従って時間的・予算的制約から「新シェルターを建設して終わり」となることも予想できた。 しかし、廃炉法が結果として「新シェルター」を「単なる被せもの」にすることを阻んだ。それは擬態的にどう進んだのだろうか。 2004年から新安全シェルター建設事業者の選定が行われ、07年9月、ウクライナ国営「チェルノブイリ原発」社(ウクライナ側の発注者)と仏コンソーシアムNOVARKAが「新安全シェルター」の設計・建設に係る契約を締結した。その際、NOVARKAには「廃炉法」が規定する条件を守ることが求められた。 例えば、設計者は、新シェルターはその内部で「石棺解体・デブリ取り出し」が実施できる解体用設備の設置に適した設計をしなければならない。従って遮蔽施設としてのシェルター「防護用建設物」(第1複合施設)とともに、「石棺」施設の不安定な構造物の解体用設備(第2複合施設)を建設することが前提とされている。 11年に締結された「新安全シェルター建設に関する趣意書」では、建設対象施設(シェルター)の機能について次の規定が設けられている。 〈「石棺」施設の不安定構造物の補強及び解体、燃料含有物質(デブリ)の取り出し及び放射性廃棄物の取り扱いを含む、「石棺」施設の環境学上安全なシステムへの変容に係る活動を実施するための条件の保証〉 この趣意書における石棺解体・デブリ取り出しよう設備としての「新安全シェルター」使用は「廃炉法」1条の規定を反映したものである。これに従い、受注者であるNOVARKAは「デブリ取り出し」を目指す施設であることを考慮して新安全シェルターの設計・建設を行うことを求められたのだ。 (廃炉制度研究会代表)
【廃炉の時代―課題と対策―㊵】聖教新聞2022.7.19 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 11, 2023 06:24:43 AM
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