4981889 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

浅きを去って深きに就く

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

October 21, 2024
XML
カテゴリ:社会

封印された100年前の悲劇に迫る

森達也監督

福田村事件

集団心理の怖さ、「恐怖・不安」が産む暴挙、100年前の事件だが今につながる問題を孕む作品が誕生した。それが映画『福田村事件』だ。

1923年9月1日11時58分、関東大震災が発生、東京は壊滅的な打撃を受ける。その5日後、事件は起きる。利根川沿いの千葉県葛飾郡福田村(現在の野田市)で、香川県から薬の行商15人の集団が朝鮮人と間違われ、村の自警団によって9人が無残にも殺害されたのだ。彼らの話す佐貫弁を理解できなかったのも一因だ。しかもその遺体は利根川に流された。

当時、このような事件は各地で発生。曰く「鮮人(朝鮮人)が集団で襲ってくる。井戸に毒薬を投げ込んだ」等の流言蜚(飛)語、デマがまことしやかに囁かれた。また内務省からの通達にまで「朝鮮人が混乱に乗じて犯罪、暴動を画策をしているので警戒すべし」などの情報が流され、多くの住民に「恐怖・不安」の感情が広がっていく。時として、この感情は平常時には極穏健な人々を暴徒にまで変えてしまう。まさに震災後の状況はこれであり、福田村の悲劇もこれが背景にあった。

事件はタブーとなった一方で、行商談が被差別部落民だったため、差別を恐れ、被害の声を上げにくかったなどの事情から、長く封印されてきた。フィクションではあるが、『A』『——新聞記者ドキュメント——』で知られるドキュメンタリー作家の森達也は当時の状況に鋭く迫った。

これを果たして100前に起こった不幸な事件と言い切れるだろうか。「恐怖と不安」が生み出す事件は現代でも起きている。いつの時代も人は些細なきっかけで暴走する。作品は史実の要素を損なわない範囲で想像力(朝鮮から戻った夫婦は創作)を働かせた群像劇だ。

自警団8人は殺人罪で逮捕投獄されたが、2年後、大正天皇死去の恩赦で全員釈放されている。

(映画ライター 浅野桂二)

 

 

 

【ソーシャル・シネマ】公明新聞2023.9.8






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  October 21, 2024 04:14:50 AM
コメント(0) | コメントを書く
[社会] カテゴリの最新記事


Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

シャドウズ@ Re:アフリカ出身のサムライ 弥介(弥助)(10/08) どの史料から、 弥助をサムライだと 断じ…
ジュン@ Re:悲劇のはじまりは自分を軽蔑したこと(12/24) 偶然拝見しました。信心していますが、ま…
エキソエレクトロン@ Re:宝剣の如き人格(12/28) ルパン三世のマモーの正体。それはプロテ…
匿名希望@ Re:大聖人の誓願成就(01/24) 著作権において、許可なく掲載を行ってい…
匿名です@ Re:承久の乱と北條義時(05/17) お世話になります。いつもいろいろな投稿…

Headline News


© Rakuten Group, Inc.
X