泣くな。
先生、涙を止める方法・・・ない?先生、涙が出ん方法・・・ない?振り絞るような声で訴える。それに対して、私の言葉は・・・冷たい。泣くな。泣いたらあかん。泣いても先には進まへん。止まっとくことはできんやろ。進まなあかんやろ。…うん…なら、泣いたらあかん。今は、泣くときやないで。歯を食いしばっても唇噛んででも涙は出したらあかん。…うん…いい?とにかく、先に進むんやで。泣いたら、そこで止まってしまうで。判らん問題は、今からも出てくるで。いい?よう聞いてや。自分がどうして判らんのか。どこで、混乱起こしてるのか。それを、見つけるんや。落ち着いて、考えることせなアカン。それが、今、せなあかん事やで。…うん…それでもどうしても、どうしても涙が出そうやったら、泣いてもかまへん。でも、時間は最短の時間やで。思いっきり泣いたら、すぐに戻っておいで。いい?先生たちは、ここにおるから。いつも、一緒におるから、一人やないから、、、いい?冷たいようやけど、キツイこと言うようやけど負けて欲しくないねん。自分に負けて欲しくないねん。涙は、ココロを楽にしてくれる。涙は、ココロを流してくれる。でも、今は、それじゃなくて自分の弱ったココロに勝たなあかん。いい?受験ってな。もちろん、勝つのは、他人にやで。でも、その前に・・・くじけそうになる自分に勝つんやで。いいな。泣くのは、まだ早いで。泣くのは、桜と一緒やで。それも笑いながら泣こうな。そん時まで、涙は取っとこうな。ほら。もう1回、向かってみような。いい?どこから混乱してるか…それを見つけるんやで。ほら。行こう。先生たちも一緒に行くから。一人やない。一人やない。さっ。行こう。…うん。行く。もう1回、やってみる…差し出した手をもうまた握りなおす。さっきまでよりも、もっと、もっと、強く。強く。受験。私たちの二人三脚。一緒に戦って、一緒に勝つ。