カテゴリ:日々のあれこれ
本日は、富本憲吉記念館でお世話になった、 国領寿人さんの御宅へお邪魔することに。 つい数ヶ月前までは、 そんなことになろうとは思わなかった訳ですが。 バタバタとコマが揃い、 こんな滅多にないチャンスが訪れました。 つくづくご縁の不思議さを思うわけです。 先日もご一緒した、なぎさんと、 近鉄と京阪を乗り継いで五条へ。 五条駅からテクテクと歩いていると、 焼き物のお店がたくさん並んでいて、 いやがうえにも気分が盛り上がってきます。 五条橋から望む鴨川 五条坂を歩いていると、 なんだかモダンなタイル張りの壁を発見。 それを凝視していたら、あらま、びっくり。 図柄が、銅鐸の袈裟襷文様です。 (考古学好きの血が騒ぐ!) あわてて写真をパチリ。 銅鐸の文様です その奥には、賃貸住宅と思しきお洒落な建物があり、 そのエントランスにはまたまた同じ雰囲気の壁が。 不法侵入(?)なのですが、ちょっとお邪魔して その全貌を覗いてきました。 儀式で使われたとされる「見る」銅鐸です なんでも、ここに居を構えていた方がいらっしゃって、 そこを壊してこの建物を建てる際に、 この壁を設置してモニュメントにしたんだとか。 記念モニュメントだったらしい しかし、京都で銅鐸の文様を拝むことになろうとは思いもせなんだ。 ちょっと親近感(笑) その、更に奥には、焼き物関係の建物があって、 どうぞお入り下さいになっていたので、ちょっとだけ覗いてきました。 モダンな建物 その後、ちょっと道に迷いつつフラフラとしていたら、 普通の民家の窓が素敵だったり、 何気ない建物がお洒落だったり。 民家の窓 河井寛次郎記念館 京都に和服はよく似合う(^^) こういう所は京都には勝てません>奈良は。 まあ、奈良には奈良の良さがあり、 京都には京都の良さがありますから。 何も競うて勝ち負けを決めるようなことでもありません。 結局迷うことを楽しみにしながら、 道に迷ってしまったらしく、 国領さんの奥様にお出迎えにきていただいて(すみません) 無事、国領さんの御宅にたどり着きました。 (どこをどう行っても、間違いようのない場所でした) 先日のお礼もそこそこに、 茶菓のおもてなしを受けて恐縮しきり。 あー、私はお客様なんてものじゃなくて、 なぎさんの腰ぎんちゃくなんですが。 まずはお菓子を頂いて お菓子もさることながら、このお皿も素敵でしょ。 (この写真では判りませんが、足の長い高杯風なのです) もちろん、国領さんの作品です。 皿の周囲に「ぽち」「ぽち」と置かれた 黄緑色のポッチが、とても今の時期に合います。 のちに、我々はこの、緑色に魅せられてしまうことになろうとは このときはまだまだ気がついていませんでした。 そして、お茶をいただいて、 いよいよ、作品拝見です。 この一画、素敵でしょ カラフルな水次は上から見ても、美しい。 持ち手や、クチの部分にも施された文様が細かく、 こんなに凝ったものは少ないとのこと。 お茶の世界は門外漢なので、お道具のよしあしってのは 全然判らないのだけど(恥) こういう水次があったら、お茶席も華やかでしょう。 お茶碗拝見とか、お茶入れ拝見ってのはあるけど、 水次拝見とかいうのは滅多にないとのことで、 実際に云われて驚いて用意をしたとのこと。 確かにこんなキレイなものがあったら、 しみじみと見てみたくなりますよね。 国領さんの他の水次も華やかなものが多いです →骨董屋さんのページの販売品 部屋の一角は作品でイッパイ その一つ一つを手にとって、 国領さん自ら解説をしてくださるなんて、 こんな贅沢あっていいのでしょうか。 なぎさんはともかく、私のような無教養な若輩者には 敷居が高かったのですが、 まさにこんな滅多にないチャンスですもの。 色彩豊かなお皿の数々 その一つ一つを、作ったときの秘話を交えて、 語ってくださった国領さん。 本当に、物を作るのがお好きなんだなあと 思えるお話が満載で、またもや、 この話を二人だけで聞いたのではもったいないと 思えることばかりでした。 中でも、奥様が旦那様の作品を手にとって 「これいいわ~」「素晴らしいわ」 とすんなりおっしゃるところがまた素敵。 身内のものを褒めるとなると照れもあるでしょうが。 本当に奥様は、国領さんの作るものが好きなんだろうと 見て取れて、美しい夫婦愛を見た気がします。 世の中のヨメ諸氏は、自分の夫の良いところなんて 探して褒めたり、持ち上げたりなんてしませんから。 (うちのオットは、自分で自分を天才扱いする人だから、 私が褒めてあげるまでもない、 手のかからない人だからいいのだ^^) すくっと伸びた絵柄のお茶碗と朝鮮のたんす 緑が印象的なお皿 室内には朝鮮のたんすが置かれ、 日本のものとの違いを見せています。 日本のものは、正確無比な、きちんとした造りで、 朝鮮のものは、なんとなくのんびりした、おおらかな感じ。 とりあえず、島国のものと、大陸の一部の違いなんでしょうか。 作っているニンゲンの国民性の違いというか。 朝鮮のたんすは、すべてを広げて物を入れる部分がなく、 小さい扉からものを入れるような印象を受けました。 室内もおしゃれでしょ 最近はスタンドもよく出るようです。 陶器のスタンドってのは、さすがに、織部や、信楽では 今のマンションでの生活には馴染まず(黒いし、重たいし) 国領さんのような、華やかな、楽しい、 温かみのある多色使いの スタンドのものが似合うでしょう。 (カーテンにもあわせやすいし) 湯のみや、マグカップなどでは揃いのものもありましたが、 お皿や鉢などは、一点ものが大半。 だから、この時は出せた色が、 もう別の皿では出せなかったりする。 こういうところでも、『一期一会』ってあるのかな、と。 自分の作品とはいえ、窯から出てくるまでは どんな発色になるかは出してみるまでは判らないわけだから。 そのお皿が無造作に積まれている山を手に取り、 重なっているお皿を一つ一つ見ていくと、 ふちの色と、中の色が違ったり、 思ってもいなかった色や柄が出てくる楽しみがあったりします。 また、国領さんのお皿は、裏にも気を配ってます。 普通は、使用時に見えている表面には 柄や色にこだわりますが、 洗っているときにも楽しい配慮も(^^) 高大まわりの色も美しいのです。 うちのように、水切り籠が向かって左にあって、 皿をどんどん並べていくと、 自分から見て皿の裏面が並ぶわけですが、 その時ですら、楽しい気分が続くという配慮。 見て楽しく、使って楽しく、使い終わってなお楽しく。 洗うときまでその気持ちが持続するという焼き物は なかなかないんじゃないでしょうか。 そして、なぎさんとわたしは、 譲り受けていくお品を、これはどうかしら、 あれもいいわねえと、目移りしつつ、 一つ一つ吟味して選び出しました。 なぎさんの気に入ったお皿は、本当にきれいな緑で、 一同大絶賛のものでした。 これも一枚だけのもの。 笹の葉を敷いて水饅頭とか、 ごろごろした氷をはってそうめんとか、 中に何を入れるかでも大盛り上がり。 私が譲り受けたものは、お茶飲み茶碗。 来客用に良いお茶碗がなかったので、 これを見た瞬間に、うわ、これ、いい! こういう場合は、ひらめきと直感を大切にする私。 決めたら、こう!もう動きません。 それとなく、のけておいて(笑) コレ!と決めておいたのでした。 お茶飲み茶碗 一番上の波模様が動きがあって音楽みたい 中の花模様もカワイイ やっぱり私には生活に密着した、 普段使いのものが似合います。 (てか、美術品とか、骨董とかは手が届きませんもん) 途中、蕨餅や、びわ茶などもいただき、 国領ご夫妻の人柄の良さにつられて、 なんだか、心地よくて、お話が楽しくて、 すっかり長尻になってしまいました。 選んだ品物を包んでいただき、 私のものはともかく、 なぎさんの品物は結構な量。 奥様には「持てますか?」と 心配されましたが、 「ええ、逞しいので平気です」と 手に心地よい幸せの重みを感じつつ、 お帰りとなりました。 長居をお詫びしつつ、御宅を辞したら 外は明るいながらも午後五時をまわり、 日傘もすっかりお役御免な時刻。 時間を忘れるとはこういうことなのかと…。 ☆ またまた、贅沢な時間を持つことができました。 国領さん、奥様、とても楽しい時間をありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年06月19日 16時52分59秒
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