眠りの底で

2008/05/23(金)11:49

ガシャ・ポン 天狗編4

ガシャ・ポン 天狗編(14)

                                                                            父天狗が 羽を力強くうつと 風が巻き起こり 樹々の枝がうなった。             子天狗たちも パタパタ 懸命に羽を動かす。             木の葉がくすぐったそうに 揺れる。             「みなにあいさつ せえやー」 と 父天狗。             いっぺぇが 息を吸い込み             「山の番人見習い いっぺぇ やぁー 頼むでー」 と叫んだ。                         じろべぇが              「山の番人見習い じろべぇ も 頼むわー」             樹々の間を すり抜け飛びながら 叫ぶ。             樹の枝や洞 下草の間から             「頼まれたるわー」             「はげめやー」                          そんな小さな声が かえってくる。             「ほら さんぺぇにぃも あいさつし」             よつばが 前へ後ろへ上へ下へ ひらひら 身軽に飛びながら言う。             「山の番人見習い さんぺぇやぁ おねがいしまーす」             「お願いされたろー」             カラスが答えてくれた。             よつばが うれしそうに叫んだ。             「残り福の末っ子 しあわせ運ぶ よつばやでぇー」             「よう来た  よう来たー」             「めんこい めんこいー」             「がんばりやぁ」             山全体が 笑って 答えた。                                                            土に生きるものにも 樹に暮らすものにも あいさつした。                           尾根を飛び 谷を飛び 川に降りた。                                              写真byげこる「げこるでつくる」                          

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