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眠りの底で

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2008.05.15
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                    台風


            末っ子の言葉に驚いて 父天狗と兄天狗が さんぺぇを取り囲んだ。

            「わぁ ほんまや 羽がない」 と じろべぇ兄。

            「よつばが 気ぃつかんかったら 危なかったな」 と いっぺぇ兄。

            「ふふふん」 と よつば。

            さんぺぇは 自分の背中を肩越しに見る。 

            右肩からのぞいても 左肩から探しても 兄や妹の背に動く新緑色の羽が みつからない。


            「オト~」
 
            泣き声を出したさんぺぇに 父天狗が言った。

            「なんか 山ノ神さんに考えがあるんやろ。 ま どっちゅうこと ない。 
            
              ほな 巣立ちも無事 終わったことやし 山の皆にあいさつしに行こか」 


            「行こか」
            
            パタパタ 背中の羽を動かしながら いっぺぇ兄が さんぺぇの右腕を抱えた。

            「行こ 行こ」

            じろべぇ兄が同じように さんぺぇの左腕を抱えた。

            パタパタ パタパタ。

            兄二人に挟まれて さんぺぇも 宙に浮いた。 

            
            「ちゃんと ついてこいや~」

            バッサバッサと 父天狗が 樹々の間をすり抜けて 飛んだ。 


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                台風 写真byげこる「げこるでつくる」





     





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Last updated  2008.05.15 09:32:37
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