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2004.11.23
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カテゴリ:アート虎の穴
というわけで、行って参りました。「ドン・ジョヴァンニ」を観に。

「前から2列目・ど真ん中」という、奇跡的な席をgetできたわけですが・・・前の席に座るとやはり、オケの音も近いし、演じてる歌い手さんたちの、微妙な表情や演技もバッチリ見えてしまうし、時々、指揮者の振ってる手やタクトが見えたりして、かなり大感激でした。

歌い手さん達もそこそこ。役に見合うだけの容姿でした。
(若い娘役や姫役が妙に老けてたり、ぷくぷく・ぴちぴちだったりというのはよくある話。主役級になると「それなりの歌唱力」が要求されるため、どうも避けられないことらしい;)
色男のドン・ジョヴァンニも容姿としては「うきゃー!」というレヴェルではないですが、OKレヴェル。
黒髪(実は澁澤は金髪が苦手)に、黒一色の衣装がまたセクシー。
黒の上着からヒラヒラと揺れるレースの飾り袖も素敵でした。

当時、お洒落としてカツラをかぶる風習があったので、ジョヴァンニも当然衣装を着け、カツラをつけ・・・唖然。
ジョバンニ役・・・薄かったよ、頭(ひゅ~~るりぃ~ひゅ~るりぃ~ららぁ~)。
裾から登場してきたとき、カツラがないと同一人物だと判りませんでした(爆)。

対して、従者レポレロは赤一色の衣装で、主従は「黒と赤」という対照的な色合い。この対照的な色合いの衣装が2つ揃って舞台をウロウロしてると、何事かが起こりそうな予感がして、ドキドキ。
(衣装さん、心理的効果狙ってる?)
声質は非常に良く・通る声で、主役のジョヴァンニよりも目立ってました。キャラが立ってた、とでもいう感じ。

後は、ドンナ・アンナ。最初夜這いを掛けられて白の寝衣姿で登場するのですが、これまたセクシー!頭はボサボサですが(寝てたわけだから)、コルセットにテロテロのスカート、レースのついたゴージャスな袖。コルセットの間から見える谷間まで・・・。
上背のあって、細身で華奢な(でも、谷間は立派!)「いかにも貴族の娘」っぽい気品のある方だったので、見てて結構うっとり、でした。

「ドン・ジョバンニ」もそうですが、オペラを生で観るのが初めてだったので、興奮も感激もあったのですが。
感想をまとめると・・・舞台装置と演出がもうひとつ物足りない感覚でした。あとは歌い手さん。
主役よりも目立つ、レポレロってどうよ?というのもあったり、ジョバンニとレポレロ以外の衣装デザインが、ちょっとなー;と言う感じ(コレは趣味の問題もあるけれど)もあったり。

でも、オケのクオリティは、かなり高かったです(フォローじゃなく)。


少し脱線しますが。
ジョヴァンニが何かを囁いたり、話したりするシーンにはチェンバロ(ハープシコードとも。ピアノの前身的楽器)が使われるのですが、ちゃんとこの日のために、東京からチェンバロ(といっても、復刻版ですが)を用意してあって、一幕と二幕の間に専門の方が調律されてました。

実は私、チェンバロとリュートの音色については「完全にフェチ」なので、この調律の様子をジックリ眺めては、ドキドキしてました。
ピアノの前身といわれる楽器で、姿も良く似ていますが、黒鍵と白鍵がピアノとは逆の色使いであることに加え、何よりも音の出し方が違います。
ピアノを弾かれる方はご存知でしょうが、ピアノは張った弦を叩いて音を出すように出来ています。
が、対してチェンバロは爪のようなモノ(しかも、この爪様のモノは鳥の羽根で作る)で弦を弾いて音を出すようになっています。

なので、ピアノの音が「ポーン」とか「バーン」であるのに対して、「びよよよよん」「ぼよよよよよん」と、どちらかと言うと弦楽器に近いニュアンス。私はその「びよよよよよん」を偏愛してる訳でして。

しかし、これらの古楽器は一時はすっかり廃れてしまい、チェンバロなどは復刻されていますが(このオペラのときに来てたのは、1980年代、日本製のもの)リュートなどは絵画の中に残るだけで、実は「正確な製法」が未だ謎だったりします。
そんなミステリアスな部分も、古楽器の魅力であったりします。

大分、話がそれました(汗)。
やはりジョヴァンニが、ツェルリーナ(マゼットという新郎がいる)を
「貴女には私のほうが似合ってる。さぁ、手に手をとって、行こう。私の別荘で、2人っきりで結婚式を挙げるんだ(意訳)」
と誘惑するシーンのアリア「手に手をとって」は良かったです(このアリア、個人的に好きだし)。
それと、エルヴィーラの召使を口説く時、レポレロに化けて
「ああ、窓辺においで、私の愛しい人よ・・・」
とセレナーデ(リュート伴奏付)を歌うシーンも好き。


あと、歌い手さん(の声質・声量)がイマイチだったけど(爆)ツェルリーナのアリア「薬屋の歌」は歌詞が良かったので、聞けましたね。

ジョヴァンニを闇討ちしようとして返り討ちに合ったマゼットを見たツェルリーナが
「ヤキモチを焼かないなら、お薬をあげる。それはどんなお医者でも調合できない薬よ・・・(意訳)」
と、ヤキモチさえ焼かなければ、私の愛で癒してあげる♪と優しく歌うのです。

うーん、やっぱ、「愛」だよなぁ(ごーいん)。。。

愛といえば、エルヴィーラの愛の形も凄い。
ジョヴァンニに3日で捨てられて憎んでるはずなのに、復讐の刃を向けるアンナとオッターヴィオに「あの人を許して。お願い」と庇ったり、放蕩暮らしを諌めたりと、ジョヴァンニへのエルヴィーラの愛は、憎しみよりももっと深いところにある。自分の愛で更生させようとする感もあるような。

本当は今すぐにでもアンナと結婚して幸せになりたいのに、
「哀しみが癒えるまで、結婚は待って」
というアンナの言葉を、アンナの気持ちを大切に思うがゆえ、いともアッサリと受け入れる、オッターヴィオの愛。


いろんな愛の形のあるドラマ、と観るのがいいのかもしれません。



そんなこんなで「オペラな夕べ」は幕を閉じるはずだったのですが・・・実は上演前に、一階席専用入り口を通っていると、どっかで見たような人が。
「あれ?」
小さく呟いたつもりなのに、聞こえちゃったのか、その男性が振り返ってこっちを見た。

手を振ると私だと判ったらしく、ビックリした顔で
「元気?今日は一人?」と。

実は彼は、私がクラシックを聞くキッカケを作った、まさにその人であり私の「音楽の師」だったのです。

私「お久しぶりです。数年前の、ゴスペルのコンサート以来ですね!」
師「いやぁ、そうだね。今日は本当に一人?」
私「ええ。今日はお休みだし、観に来たんです。先生も、お一人ですか?」
師「そう、僕一人。どう、後で食事でも?」
私「今日、携帯持ってないんですけど・・・」
師「じゃー終わったら、カフェテリアの所で待ってるから」


てなわけで上演後、2人でオペラの余韻に浸り、感想を述べながら、イタリアンと洒落込むことに。

師「飲めないのが残念だよねー。」
私「そうそう。久しぶりだから飲みたいんですけどね、私も。そういえば、同窓会にはいらっしゃるんですか?」
師「そういや、何時だっけ?」
私「元日の6時でしたけど?あれって、既婚者には厳しいですよー。特に嫁に行った人にはねぇ。」
師「ああ、でもその日は欠席だな。丁度その日はルツェルンだよ。オペラ見てる頃だ」
私「はぁ?!」

(そんな感じで、続く)






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最終更新日  2004.11.24 21:07:48


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