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2006年07月20日
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カテゴリ:友人
 ミッシェルと知り合ったのは、犬の散歩。私の犬とミッシェルが仲がいいので、一緒に、散歩をするようになった。

 私の家の裏庭が、グリーンベルトと呼ばれる公園に面しているので、ミッシェルの姿が見えると、私もは犬の散歩に出て、二人で、いろいろなことを話した。

 私の犬が、今年の11月に7歳になるので、ミッシェルとは、6年半のおつきあいだ。しかし、ここ、2、3年、彼女の様子がおかしい。鬱病ではないかと思われる。

 私が、今年の5月に日本からアメリカに戻った時に、ミッシェルの犬のセサミの散歩を彼女の息子(昨年、大学卒業、現在サンタバーバラ在住)のスティーブがしていたので、「お母さんは」と訊くと、「She is in the hospital. She is depressed」という返事が返ってきた。

 病院といわれて、精神科と思ったので、それ以上、訊くのをやめた。スティーブを傷つけるような気がしたからだ。お見舞いに行こうかとも思ったが、精神病だったら、彼女も喜んでくれるかどうか分からないと思ったので、やめた。

 6年半前、私がミッシェルと出会った時、彼女は、とても苦しんでいた。彼女のボーイフレンドのジーンが猟銃自殺をして間もない頃だったからだ。

 彼女は、ジーンとの思い出を、あれやこれや、私に話してくれた。私との会話が、彼女にとって、一種のセラピーになっていたのではないかと思う。私が外人であるので、いろいろと話しやすかったのだろう。

 当時、ミッシェルは、我が町の大学のインターナショナル・スチューデント・センターで働いていた。ボーイフレンドのジーンは、かなりのインテリのようなので、大学の先生だったのではと思っている。

 自殺した人の話を好奇心から訊くのもイヤだったので、彼のことは、あまり訊かなかった。しかし、ジーンが末期がんに罹っていて、人生の清算するために死を選んだのだということを、ミッシェルが言っていた。彼女にとっては、「何故?」という気持ちだったのだろう。

 バツイチだったミッシェルにとって、ジーンは彼女の心を支える柱のような存在だった。ジーンとは事実婚で、彼女の家にジーンが住んでいたようだ。

 ジーンには結婚歴もなく、子供もいなかった。だから、癌が転移したと知った時、彼女に迷惑をかけたくないので、死を選んだようだ。しかし、ジーンの死は、彼女に大きな衝撃を与えたらしく、彼の死と共に、彼女の苦しみは始まった。

 彼女は、数年前に職場を辞めさせられた。組合運動にクビを突っ込んだからだ。それからだ、彼女が、本格的に塞ぎこむようになったのは。だんだん、話をしなくなっていった。最近は、廃人のようで、視線の定まらない。

 スティーブに会っても、「お母さん、元気。よくなるといいね」としか言えない。スティーブからは、「You are a good friend」と言われたが、私は、ミッシェルとの散歩が好きであった。私も、苦しい時、彼女との会話に助けられていたからだ。彼女も私を必要としていたのかもしれないが、私も彼女を必要としていた。それが、友人というものではないかと思う。





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最終更新日  2006年07月21日 02時39分51秒
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