購読記録帳

2007/08/12(日)12:56

『SFマガジン』9月号 890円

<カート・ヴォネガット追悼特集> 亡くなったと言われても、ピンとこない。日本の作家でもきっとそうなんだろう。わたしにとって、作家=作品。作品が存在し続ける限り、作家はこの世に存在し続けるものなのだ。しかし、ヴォネガット作品。わたしはどのぐらい読んだのだろう。『プレイヤー・ピアノ』『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』・・・はっきり読んだと記憶しているのは、これぐらい。それも、ストーリーはほとんど忘れている。 インタビュウ<功成り名遂げたすえの鬱病>(2006年「ストップ・スマイリング誌」) ヴォネガットへのインタビュー記事。気になった話を書き留める。 「今夜、詩をひとつ書きなさい。それをできるだけいいものにしていく。4行、6行、それとも8行。できるだけいいものに。ただし、その詩のことはだれにも話さない。だれにも見せない。やがて、そして、これ以上にはならないと満足したら、原稿をビリビリひき裂いて、ほうぼうのゴミ箱へばらばらに捨てれば、自分の努力への完全な報酬を受けとったことがわかります」 ――(質問)アメリカに原爆投下の道を歩ませたのはテクノロジーです。そこで知りたいのは、アメリカとしては戦争を戦争を終わらせるためにやむをえず原爆を投下した、という例の説明が、あの当時は一般に受け入れられたんでしょうか?そんな正当化でみんなは満足したのでしょうか?怖気をふるったのでしょうか? 「――(前略)ある朝起きて、玄関に配達された<インディアナポリス・スター>をひろげると、『アメリカ日本に原爆を投下』という見出しが目にとびこんだ。兄はすっかり落ち込んだよ。科学はあらゆるものをよくするはずなのに――昔よりもうんと楽で、うんとたのしい暮らしを実現してくれるはずなのに・・・(中略)当時、この国は善玉だと思われていた。民間人の老若男女を傷つけたりしなはずだった。結局、ドレスデンの無差別爆撃では13万5000人が死んだ。それに日本へ投下された2発の原爆。結局、アメリカも悪玉であることがわかったんだ。」ヴォネガットは、第2時世界大戦中、兵役につき、ドレスデンで捕虜としてアメリカの攻撃にさらされたとある。 追悼記事を、池澤夏樹(作家)さん、太田光(漫才師)さん、風間賢二(幻想文学研究家・翻訳家)さん、香山リカ(精神科医)さん、川上未映子(文筆歌手)さん、沼野充義(ロシア東欧文学)さん、若島正(小説研究者)さん、巽孝之(SF批評家)さんがお書きになっている。肩書きが妙なかたも(^^; 「Boy’S Surface 」円城塔 芥川賞、惜しかったですね。でも、名前が挙がるだけでもすごいことなんですよね、きっと。それで、受賞後第1作とならなかったこの作品。・・・???どういう感想を書いたらよいのか、わからない。ここに書いてあるのは日本語で、そのひとつひとつはわかる。そのひとつひとつのつながりが、迷路のようで。思わず本を横から眺めてみたり、便器にはまったフランシーヌを想像してみたり。しまいには、紙面に印刷されたインクのしみが(確かにそれは「文字」ではあるのだろうが)、こちらを観察しているという妄想に囚われたり・・・これは危険な小説かもしれない(笑。 ところで、フランシーヌって、瀬名秀明さんの『デカルトの密室』にも出てきませんでしたっけ。今、手元にないので確認できませんが。瀬名さんも、円城さんも、東北大のひとでした。 <ワールドコン特集3> いよいよ、来日する作家さんやプログラムが決まりつつあるんですね。おお、テッド・チャン氏が来る。あ、菊池誠さんがインタビューだ!? どんなこと聞くのかな、やはりIT関連か、サイバーパンクか。ロバート・シルバーバーグ氏も来るんだ~! あ、萩尾望都さんも参加。(もう気分はミーハ―)まだ、名前が出ていらっしゃらない方も大勢だそうですが、日本のSF大会には参加されないような作家さんもいるんだろうな。

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