無意識の証人。
無意識の証人ジャンリーコ・カロフィーリオ文春文庫2015年12月10日 初版無意識の証人南イタリア。38才弁護士のグイード。妻に逃げられ、鬱々とした日々を送り、そして突然パニック発作が起きる。眠れない日々。春、夏、そしてクリスマス休暇を乗り越え、少しづつ仕事を始める。そんな日、ある女性に殺人犯の弁護を頼まれる。9才の男の子が殺され、出稼ぎに来ていたアフリカ人、アブドゥが逮捕された。しかし、彼は無罪だという。裁判が近づき、その女性は金を問題にしないグイードを頼って依頼してきたのだ。そして、グイードとアブドゥの闘いが始まる・・この、眠れない男グイード、そして刑務所のアブドゥがまざまざ目に浮かぶほどの個性があって素晴らしい。クールなグイードは確かな熱い志があり、そして人間味溢れる男。インテリでもあり、本をよく読み、女性との会話で星の王子さまを誦じて言える。映画もよく観ている。女性。同じマンションに引っ越してきたマルガリータとの恋の行方も引き込まれる。圧倒的に不利な裁判、でもアブドゥの無罪を信じるグイードはその状況を根底から覆す、見事としかいえない。その裁判でのアブドゥとの時間の描写では涙が溢れた。素晴らしい小説でした。