屋根裏神護・ブログ編

2019/03/21(木)23:50

春昼・春昼後刻 泉鏡花

小説のおはなし(61)

 数年前、金沢の泉鏡花記念館を訪れた際に購入した一冊であります。 ようやく読む気になり、解説を除き百三十七ページ、数日の通勤内ですらすら終わるであろうと思っていたら大間違い。日本語で書かれているものの、意味を読み取れないのであります。読んだものを現在の日本語に変換し、理解する。そのような作業が必要で、たった一ページを読むのにえらいこと時間が。なにしろ、  奥の方暗く行詰まったあたり、打つけなりの茅屋の窓は、山が開いた眼に似て、あたかも大なる蟇の、明け行く海から掻窘んで、谷間に潜む風情である。  こんな具合であります。  それでも面白いもので、次第に文体に慣れてくると、ぱらぱら前に戻ってみた時、割とスッと読めるものであります。そんな文体と相俟って、物語に追い込まれていく風があり、じわり、じわりと、購読中であります。     

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