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カテゴリ:福祉
基本的には仕事や職場のネタをブログに書くことは控えめにしている。
変な誤解を招く恐れがあるし、生々しい話になってしまうし、グチばかりのブログなんて誰も読みたくないだろうし でも、まあたまには書いてもいいかな 正直この仕事を続けるのが困難に感じている。精神的肉体的な苛酷さ、理想と現実のギャップ、慢性的な人手不足に低賃金、ただ業務をこなすだけの毎日に介護の、そして自分の未来も見えない。 介護者として恥ずべきことだけど、きっと高齢者の前でも僕はイライラを募らせたり、浮かない表情をしているのだと思う。それがさらに自分を追い詰める。 今日のおやつはどこからか寄贈されたケーキ もちろんスタッフの分はないけれど、やはり体が疲れているのか介助しながら「おいしそうだな…」と思ったりもする。 するとひとつ向こうの席に座っていた入居者が、半分のケーキが乗った皿を僕に差し出した 「あなた食べて」 その人は95歳女性。普段は物静かだけれど、不穏状態になると手がつけられない。会話は可能だけど年相応の認知症も入っている方。 本来なら入居者のもらい物を受け取ることもタブーだ。あとで面倒なことにもなるし、仕事に対する姿勢を疑われかねないから。 でも臨機応変に対応しなきゃならない場合もあるし、もともと僕は相手が誰であろうと「もらうもの拒まず派」だ でも一度はその皿を押し返す「○○さん全部食べてください」「いいよ。あなた食べて。そのために半分に切ったんだから」なるほどその半分のケーキは食べかけじゃない。始めからフォークで半分に切ったものだった。 真意はわからない。僕の心を読んだのか、よほど物欲しそうにしていたのか、あるいはその方がケーキが好きではなかったのか… でもその静かな言い方を僕は優しさとして受け止めることにした「ではいただきます」 …甘い。上品な甘さではなく直接的な甘さだ。おそらくはそんなに高級なケーキじゃないのかな…でもその甘さは僕にとっては優しさに感じられた。 介護者の多くは「ありがとう」という言葉に救われていると思う。どんなに辛くても要介護者からの「ありがとう」の言葉がこの仕事の醍醐味だと思えるから。でも最近の僕はその言葉さえスルーしてしまうほど心が折れかけていたけれど このケーキの甘さを覚えている間はもう少しがんばってみようかな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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